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2013/02/13
第二回認知文法研究会
日にち:2013年3月23日(土)
会場:愛知県立大学サテライトキャンパス(http://www.winc-aichi.jp/access/)
(JR,地下鉄,名鉄,近鉄「名古屋駅」徒歩約5分,愛知県産業労働センター(通称,ウィンクあいち)15階)
[(小さな会なので)立て看板も掲示もありません。自力で来てください。くれぐれも大学の本キャンパスには行かれないようにご注意ください。]
プログラム
11:00 挨拶
11:10 第一発表(論文レビュー):南佑亮 (神戸女子大学)
「複数の主体の融合と分離―subjectificationにおける「主体」の問題」
Langacker(1990)で提唱されたsubjectificationの定義は、後にLangacker自身によって棄却された。しかし、実は棄却された定義と新たな定義は互いに矛盾するものではない可能性がある。本発表は、Langacker(1990)の内容を吟味したうえで「主体」の概念を3つの観点から規定し直し、新旧2つのsubjectificationが捉える現象の射程範囲について、具体例と共に探っていく。
(なお、各自、事前に下記の論文を入手し、読んできてください。入手困難な場合には、世話役まで。Langacker, Ronald, W. (1990) “Subjectification,” in Concept, Image
and Symbol,315-342. Berlin/New York, Mouton de Gruyter.)
13:30 第二発表:平岩加寿子 (愛知県立大学大学院博士後期課程)
「認知文法的品詞論」
認知言語学的カテゴリー観から品詞を論じるとき、「名詞と形容詞」や「前置詞と副詞」などの各々の境界線が曖昧であるのは当然のことであるが、各品詞が重なり合いながら概念領域上に分布していることを、実例を用いながら示すことを目指す。分布についてはCroftのSemantic Mapを下敷きとする予定である。またその際、Langackerが意識的に捨象している認知図式の詳細にまで触れ、認知(構造)的に近しい概念が図式の上でも類似点を持っていることを明らかにする。
14:40 第三発表:對馬康博 (札幌大学)
「セッティング主語構文に対する認知文法的再考」
本発表では、Langacker (2009, ch. 5)で提案されている認知文法の概念と中村(2009等)で提起されている「認知モード」を用いて、セッティング主語構文(setting-subject
construction)を再考することを主たる目的とする。特に、英語の無生物主語構文はセッティング主語構文の一事例であることを提案し、それに対応する日本語表現と比較しながら、これらの構文に関わる認知プロセスを明らかにしていく。
15:50 第四発表:村尾治彦(熊本県立大学)
「認知文法における構文形成」
認知言語学では、構文全体の意味が構成要素の意味から予測できないものに限らないとすることで、あらゆるサイズと抽象度の言語単位を構文として、記述の対象とする。しかし、言語の意味は、指示物をその背後の認知ドメインに照らして相対的に捉えて決定されるものであるという認知意味論の考え方を厳密に適応するならば、複数の要素から成る構文の意味も認知ドメインから相対的に規定される意味の組合せによってできあがると考えられる。通常背後にあるドメインは複数のものから構成され、各構成要素の中心的なドメインは構文形成の際に結びつく相手によって変動し、構文全体の意味に影響を与える。
本発表では、本来言語表現はどのような単位であろうと個々の要素から構文全体の意味を完全に予測することはできないという考えを前提とし、語、句、文といった構文レベルに関係なく、認知ドメインの活性度の違いが構文全体の情報に含まれ、ゲシュタルト的特性を持つことを示す。
16:50茶話会
※ なお,準備の関係上参加者の人数を把握しておく必要があります。当日参加も可能ですが,参加希望の方はなるべく事前に世話役までご連絡ください。
連絡先(世話役)
広島大学大学院総合科学研究科
町田 章
akimachida(at)hiroshima-u.ac.jp