発表論文

トランスポゾンと反復配列の研究

A. Hikosaka, K. Nishimura, T. Hikosaka-Katayama, A. Kawahara

Recent transposition activity of Xenopus T2 family miniature inverted-repeat transposable elements.

Molecular Genetics and Genomics 285: 219-224 (2011)


2010年の論文(下記)ではバイオインフォマティクス解析によってT2ファミリーの中に現在もアクティブな「元気で長生き」なサブファミリーがあるらしいということを報告したわけですが、それを実験的にも示してやろうということで行なった仕事です。アクティブであると示唆されたA1、Cサブファミリーと、もう活性を失っていると示唆されたEサブファミリーについて、トランスポゾンの挿入/欠失の種内多型を調べました。その結果、予想どおり、A1、Cサブファミリーでは高い比率で種内多型が見られたのに対し、Eサブファミリーでは多型は確認されませんでした。ドライとウェットの結果をうまく結びつけることができました。


A. Hikosaka, A. Kawahara

A systematic search and classification of T2 family miniature inverted-repeat transposable elements (MITEs) in Xenopus tropicalis suggests the existence of recently active MITE subfamilies.

Molecular Genetics and Genomics, 283(1): 49-62 (2010)


ツメガエルゲノムで大量に増幅しているMITE型トランスポゾンであるT2ファミリーの、ゲノム内でのポピュレーションの全貌を明らかにしたいとい考えて行った研究です。ゲノム情報を使ってMITEを検索・分類するための新しいストラテジー(TS clustering法)を考えて、Rubyでプログラミングし、解析しました。ニシツメガエル(ネッタイツメガエル)のT2ファミリーを16のメジャーなサブファミリーに分け、そのうちのいくつかは恐らく現在でも転移活性を保持しているだろう、ということを報告しています。これらのMITEsはアフリカツメガエルにも存在するので、両種が分かれた数千万年前からずっとアクティブに動き続けてきた、きわめて「元気で長生き」なトランスポゾンだと考えられます。この論文は僕にとってははじめての純粋なインフォマティクス(実験なし!)の論文で、アクセプトに至るまでだいぶ苦労しました。はじめの構想から数えると、3年か4年くらいたっているのではないでしょうか。(そういえば、はじめはPerlでプログラミングしていたのでした。)でも何度かリジェクトされたおかげで(?)、内容は初期のバージョンよりもだいぶ良くなったと思っています。


A. Hikosaka, T. Kobayashi, Y. Saito, A. Kawahara

Evolution of the Xenopus piggyBac transposon family TxpB: Domesticated and

untamed strategies of transposon subfamilies.

Molecular Biology and Evolution, 24(12): 2648-56 (2007)


ツメガエルの新規トランスポゾンTxpBの進化についての論文です。とても思い入れのあるプロジェクトなので、あこがれの雑誌であるMBEから出版できてとても嬉しく思っています。やはり「このトランスポゾンはちゃんと動きそうだ」ということを(確実な証拠とは言えないまでも)実験的に示せたのが大きかったのではないかと思います。同僚の斎藤先生に多大な助力をいただいたおかげです。piggyBac”というスーパーファミリー名にちなんでサブファミリーにつけた「Uribo」「Kobuta」という名前も、可愛くて良いと思いませんか?


A. Hikosaka, A. Koga

PCR detection of excision suggests mobility of the medaka fish Tol1 transposable element in the frog Xenopus laevis.

Genetical Research, 89(4): 201-6 (2007)


メダカのTolトランスポゾンの研究で有名な名古屋大学(現在は京都大学)の古賀先生に声をかけて頂いて共同研究をしました。カエルがなかなか良い卵を産んでくれなくて苦労しましたが、なんとかまとめることができました。ちなみに古賀さんはむかし広大総合科学部にいらっしゃったことがあるという縁もあるのです(時期は僕とは重なっていませんが)。


A. Hikosaka, A. Kawahara

Lineage-specific tandem repeats riding on a transposable element of MITE in Xenopus evolution: A new mechanism for creating simple sequence repeats.

Journal of Molecular Evolution, 59, 738-746 (2004)


我々は、染色体の高次構造の進化にMITE等のトランスポゾン由来の「動くSSR」が大きな役割をしているのではないかと考えています。これは、そのような観点から行った研究です。 ところで、“Xmix (Xenopus MITE including Xstir)”という命名はなかなか素敵だと思うのですが、いかがでしょうか?


A. Hikosaka, E.Yokouchi, A. Kawahara

Extensive Amplification and transformation of a Novel Repetitive Element, Xstir, Together with Its Terminal Inverted Repeat in the Evolution of Xenopus.

Journal of Molecular Evolution, 51, 554-564 (2000)


トランスポゾンや反復配列の進化の研究に足を踏み入れることになったきっかけの研究です。卒業生の横内さんの研究を受け継いでまとめました。ところで、“Xstir (Xenopus short tandemly and invertedly repeating element)”という命名はなかなか素敵だと思うのですが、いかがでしょうか? 発見した遺伝子にキャッチーなネーミングを考えるのは、生物学者の楽しみの一つですよね。


彦坂暁

「小さな動く遺伝子MITEの起源」, 化学と生物,38(10) , 673-674, (2000)

両生類の変態メカニズムの研究

A. Hikosaka, K. Takaya, M. Jinno, A. Kawahara

Identification and expression-profiling of Xenopus tropicalis miRNAs including plant miRNA-like RNAs at metamorphosis.

FEBS Letter 581, 3013-8 (2007)


N.Shintani, T. Nohira, A. Hikosaka, A.Kawahara

Tissue-specific regulation of type III iodothyronine 5-deiodinase gene expression mediates the effects of prolactin and growth hormone in Xenopus metamorphosis.

Development, Growth & Differentiation, 44, 327-35 (2002)


A. Kawahara, Y. Gohda, A. Hikosaka

Role of type III iodothyronine 5-deiodinase gene expression in temporal regulation of Xenopus metamorphosis.

Development, Growth & Differentiation, 41, 365-373 (1999) 


A. Kawahara, A. Hikosaka, T. Sasado, K. Hirota

Thyroid hormone-dependent repression of alpha1-microglobulin / bikunin (AMBP) gene expression during amphibian metamorphosis.

Development Genes and Evolution, 206, 355-362 (1997)

ホヤの発生における遺伝子発現制御の研究

T. Kusakabe, A. Hikosaka, N. Satoh

Coexpression and promoter function in two muscle action gene complexes of different structural organization in the Ascidian Halocynthia roretzi

Developmental Biology, 169, 461-472 (1995)


A. Hikosaka, T. Kusakabe, N. Satoh

Short Upstream Sequences Associated with the Muscle-Specific Expression of an Actin Gene in Ascidian Embryos.

Developmental Biology, 166, 763-769 (1994)


大学院時代の研究のまとめ的論文です。試行錯誤しつつも、ホヤでの顕微注入による遺伝子導入法を一応ちゃんと形にできたということで、満足しています。


A. Hikosaka, N. Satoh, K. W. Makabe

Regulated spatial expression of fusion gene constructs with the 5' upstream region of Halocynthia roretzi muscle actin gene in Ciona savignyi embryos.

Roux's Archives of Developmental Biology, 203, 104-112 (1993)


発生の分子メカニズムの種間比較という観点からの仕事です。 別種のホヤ間でも筋肉アクチン発現に関与するプロモータ配列の機能が保存されているのかどうかを調べるために、マボヤのプロモータをユウレイボヤで機能解析しました。いわゆる Evo-Devoです、たぶん。伝統あるRoux’s Archivesに載せていただけました。


A. Hikosaka, T. Kusakabe, N. Satoh, K. W. Makabe

Introduction and Expression of Recombinant Genes in Ascidian Embryos.

Development, Growth & Differentiation, 34 (6), 627-634 (1992)


ホヤで初めて外来遺伝子を発現させたという報告です。デビュー作をDGDの表紙にしてもらえて、ちょっと嬉しかったです。

共同研究

K. Ukena, E. Iwakoshi-Ukena, A. Hikosaka

Unique Form and Osmoregulatory Function of a Neurohypophysial Hormone in a Urochordate

Endocrinology, 149 (10), 5254-5261 (2008)


総合科学研究科の同僚の浮穴先生との共同研究です。私は相同性検索や分子系統解析のお手伝いを少ししただけですが、著者にいれていただきました。最近、ホヤは他の脊索動物から分かれてかなり独自に進化した生き物だということが明らかになりつつありますが、そのホヤの面白さの一端を明らかにした、浮穴先生ご夫妻の力作論文だと思います。 私も十数年ぶりに心の故郷(?)であるホヤの研究に参加させてもらって嬉しいです。

無腸動物ワミノアの藻類共生メカニズムの研究(共同研究)

T. Hikosaka-Katayama, A. Hikosaka

無腸動物Waminoa sp. の人工飼育と産卵法 ―動物‐藻類共生研究のモデル系解発に向けて―

広島大学総合科学研究科紀要 I, 人間科学研究 5, 39-45 (2010)

彦坂-片山智恵らとの共同研究で無腸動物(Acoelomorpha)と微細藻類の共生進化についての研究を開始しています。まずは飼育するところから、ということでサンゴ寄生性の無腸動物の一種、Waminoaの飼育方法について検討しました。Waminoaは左右相称(三胚葉性)動物には珍しく、卵を通して藻類を親から子へ伝搬(垂直伝搬)するという非常に興味深い生き物です。この生き物を用いて宿主-共生者の共進化を探って行きたいと考えています。