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研究対象種

  ここでは,水産増殖学研究室が研究対象としている主要な魚種(メバル類タイ類ニホンウナギブルーギルなど)を紹介します。

  学部学生や大学院生はフィールドに頻繁に出かけて,標本採集を行っています。



メ バ ル 類【アカメバル,クロメバル,シロメバル】 (カサゴ目フサカサゴ科)【左下写真】

 
英名: rockfish, 学名: Sebastes inermis, Sebastes ventricosus, Sebastes cheni

 メバル類は,広島県が瀬戸内海における栽培漁業の有力種として,大きな力を注いできた魚種です。

 従来,Sebastes inermisとされたメバル類は単一種と考えられてきましたが,体色や遺伝学的特性により,最近,3種(アカメバル,クロメバル,シロメバル)に分けられました。しかし,それら3種を比較した詳細な生態学的研究はありません。

 そこで,水産増殖学研究室では,瀬戸内海における栽培漁業種としてのメバル類,特に最近,別種された3種に注目して,それら
3種における寄生虫相の差異に関与する要因解析を行っています。


マ ダ イ (スズキ目タイ科マダイ亜科)【右下写真】

 英名: red seabream, 学名: Pagrus major

 瀬戸内海を代表する魚類にマダイがあります。「魚の王様」と呼ばれることもあります。瀬戸内海では,1960〜1970年代に資源豊度が著しく減少しました。しかし,1980年代から増加傾向に転じ,その傾向は瀬戸内海東部海域で顕著です。

 かつて、マダイの栽培漁業が始められた頃,多くの研究がなされ,その生物学や増殖に関する多くの知見が蓄積されました。私たちが現在持っている知見の多くは,この時代のものです。しかし,資源が増加した近年のマダイに関する情報は極めて少なく,マダイ種苗の放流が本当に資源量増加に貢献したのかなど,明らかにしなければならない多くの問題があります。

 水産増殖学研究室では,こうした背景から,瀬戸内海におけるマダイ資源の適切な維持・管理のために,栽培漁業の意義の検証も含めて,本種の生活史や生態に関する研究を始めました。現在は,水産研究所や各県水産試験場の協力を得て,
寄生虫を生物標識として,分布や回遊など生態に関する基礎的研究を実施しています。




クロダイ (スズキ目タイ科ヘダイ亜科【左下写真】

 英名: blackhead seabream, black porgy,学名: Acanthopagrus schlegelii schlegelii

 クロダイは,水産増殖学研究室が最も精力的に研究している魚種です。瀬戸内海において,栽培漁業の重要種として,これまで多数の人工種苗が放流され,近年はかなり高い資源豊度を維持しています。この資源増加のメカニズムについては,海野徹也先生らによって精力的に研究されています。

 長澤和也先生らは,
日本周辺海域におけるクロダイの寄生虫相を調べその系群識別や回遊範囲を解明する研究を進めています。




ニホンウナギ (ウナギ目ウナギ科)【左下写真】

 英名: Japanese eel, 学名: Anguilla japonica

 1970年代から,わが国におけるニホンウナギの漁獲量は減少しています。かつて3000トンを越した漁獲量は,近年,1000トンを切っています。その原因として,生息環境の悪化や海洋環境の変動などが考えられていますが,その詳細な実態は不明です。一方,このようなニホンウナギ資源の回復を図るには,その生態をよく知っておくことが重要です。しかし,自然水域に生息するニホンウナギの生活については,よく分かっていません。また近年,東京大学の研究者によって,従来,川にだけ棲むと考えられてきたニホンウナギには,海ウナギ・河口ウナギ・川ウナギという3つの生態型が知られるようになりました。

 水産増殖学研究室では,減少したニホンウナギ資源の回復を最終的な目的として,自然水域における本種の生態に関する研究を始めました。特に,上記した
ニホンウナギの3生態型に注目して,寄生虫相や耳石の元素組成の違いを指標に,それらの生活様式を解明しています。


ブルーギル (スズキ目サンフィッシュ科)【右下写真】,他の外来魚

 英名: bluegill, 学名: Lepomis macrochirus


 わが国の水界生態系で,現在,最も大きな問題となっているものに外来魚があります。例えば,北米原産のブラックバスやブルーギルは河川湖沼に広く分布域を広げ,在来魚の生存を脅かしています。一方,外来魚が外国から移殖されるときに,その体内外に住む寄生虫も一緒に日本に持ち込まれると推測されますが,そうした寄生虫に関しては,ほんんど研究されたことがありません。このため,外国から来た寄生虫が,異国の日本でどのように生き延び,日本の在来魚を宿主として利用しているのかなどに関して,知見がまったくない状況です。

 水産増殖学研究室では,外来寄生虫が日本の水界生態系に及ぼす影響を評価し,その対策を立てるため,まず
ブルーギルやブラックバスを対象として,その寄生虫相の解明と主要寄生虫の生態研究を実施しています。また並行して,日本の在来寄生虫が,外来魚を宿主として利用するメカニズムについても,研究しています。外来魚研究としては,これまでにないアプローチです。