「原爆詩集」でヒロシマの核被害を告発した峠三吉が、2003年3月、没後50年を迎えます。ヒロシマの文学の半世紀をたどりつつ、あらためて、峠の詩を再評価し、その今日的意味を探ることを目的に、この度、広範な文学者、文化運動に携わっている人たちによって「峠三吉没後50年の会」をスタートさせました。読者、市民に広くお知らせいただきたく、ご協力のほど、お願い申し上げます。
峠三吉(1917年2月19日生まれ)は、広島市翠町で被爆後、肺の病に苦しみながらも戦後文化運動の中で詩人としての社会的役割を自覚し、多様な運動を展開してきました。「反戦詩歌集」「われらの詩」、山代巴さんとともに取り組んだ子供達の詩文集「原子雲の下より」などを挙げることができます。
病床で編まれた「原爆詩集」は、朝鮮戦争で再び核が使用される危機に抗して、GHQによるプレスコードをかいくぐり、ガリ版刷りでひそかに出版されました。画家・四国五郎さんと組んで展開した“ゲリラ戦法”の「辻詩」もその一つです。
そうした峠の足跡をたどることは、単に原爆文学史を総括するだけに留まらず、自衛隊の軍隊化に道を開く有事関連法案、メディア規制法案などが準備されている現在の危機的状況を、戦後史から照射する今日的な意味もあります。
広島では近年、原民喜の再評価をはじめ、広島に文学館を!市民の会など、ヒロシマの戦後文学を検証する文化運動がささやかに、しかし、着実な広がりを見せて展開されています。「ヒロシマの文学」半世紀、ようやく、その文学的評価と次代に読み継いでいく試みが、被爆地・広島に根づき始めた証し、といえます。被爆体験だけではなく、戦争体験の継承そのものが、被爆者・戦争世代の高齢化、記憶の風化で困難になりつつある今日、ヒロシマが紡いできた言葉の重さ、辛さ、そして哀しみや叫びの意味を、とりわけ次代を担う若者達につないでいきたい、との願いが新たな文化運動には凝縮されています。
「峠三吉の会」も、そうした思いを込めて立ち上げました。今月26日の第1回例会を手始めに、来年にかけて諸企画を進めていきます。広く参加を呼びかけたく、取材・広報などのご協力をお願いする次第です。
「峠三吉没後50年の会」第1回例会(文学館を!市民の会との共催)
◇ 日時◇5月26日(日)午後1時(雨天決行)
◇ 場所◇平和公園内、「にんげんをかえせ」の碑前(雨の場合は資料館ロビー集合)、中区中島町の西応寺(峠家の菩提寺)
◇ プログラム◇公園内の峠三吉、原民喜「碑銘」の詩碑などの碑めぐり、緑陰朗読会。その後、西応寺(平和公園のすぐ前)で懇談会
【今後の展開】
◇8月ごろに「原爆詩集」の路上朗読会、街頭詩画展「辻詩」の試み(既に詩人会員は大勢います。画家の参加を求めます)
◇10・12月にトークショー「峠三吉と私」(仮題)
◇2003年3月初旬にシンポジウム「峠三吉と原爆文学の半世紀」(仮題)
3月下旬から春休みにかけて峠三吉文学展(なお、文学展については今夏から希望を募って学校、公民館などで巡回展も企画)
◇上記の成果などをまとめた峠と原爆文学論集の刊行など。近くホームページも立ち上げるべく準備中。
【経費】
会費として1口3000円
別途、賛助カンパも歓迎します
なお、本会は「没後50年」の名称通り、2003年末までの有限の組織とします。
【呼び掛け人】(50音順)
池田正彦、伊藤真理子、海老根勲、亀岡恭二、北村均、久野成章、好村冨士彦、古浦千穂子、四国五郎、寺島洋一、成定薫、深川宗俊、福谷昭二、御庄博実、水島裕雅
【共同代表】
御庄博実(中四国詩人会会長)
水島裕雅(広島に文学館を!市民の会代表)
海老根勲(広島花幻忌の会事務局長)
【事務局】
池田正彦(広島市中区本川町 2−1-29−301)
Tel・Fax 082(291)7615
携帯 070・5425・3921
久野成章(広島市西区天満町 13−1−709)
Tel・Fax 082(297)7145