福岡文学館を訪ねて、都市の品格について考えさせられた

池田正彦

(「広島に文学館を!市民の会」事務局長)


 第7回原爆文学研究会に参加したおり、福岡文学館を訪れた。これは、福岡市赤煉瓦文化館の一階を文学館、二階は文化的な市民のサロンとして利用されている。建物は明治時代の建築物で、国の重要文化財に指定されたのを機に福岡市に譲渡され、歴史遺産として保存・活用したもの。文学館というには本当に小さな空間だが、街の中心に位置し、文学館の「入口」という趣で、もっと奥深い中身については「福岡市総合図書館へどうぞ」という仕掛けになっているようだ。(ちなみに、その管理・運営は福岡市総合図書館、文学・文書課が行なっている)いわば、図書館の「文学窓口」として位置付けられ、市民の文化交流の交差点としての役割を担っている。福岡市総合図書館は、中心地からやや離れた場所にあり、通常の図書館機能と同時に広島でいう「映像文化ライブラリー」をあわせもっており、さらに「文学館」をも分掌している。

 あえて広島の現実と比較してみるのだが、旧日本銀行の活用を福岡の赤煉瓦文化館に置き換えてみれば、そこに際立って見えてくるものは、行政のやる気のなさだ。旧日本銀行の有効活用の一つとして私たちは「文学館」を主張したが、結果的には、貸会場として(しかも、空調やエレベーターは停止したまま、備品類はお粗末としかいいようのないシロモノで)落ち着くらしい。

 福岡市総合図書館の担当の方のお話では、財政的には広島と同じように厳しく、「文学館」に学芸員二人を嘱託として確保しているにすぎない。(広島市中央図書館の<広島文学資料室>は、専任の配置もなく単独の予算はゼロ) それでも、「福岡文学館」の次回の企画展<「本」を創る、フクオカ出版物語>の案内チラシ(文庫本カバーとしても利用できる)からも、熱い意気込みが十分伝わってくる。その気合の入ったチラシ文章の表題は「出版活動は都市文化のバロメーターです」とくる。ついつい「文学は平和?都市のバロメーターですか」といいたくなった。

 もちろん、福岡と広島は都市の規模も歴史も違い、単純比較することはできない。しかし、無策に近い広島の実態を突きつけられ、都市の品格ということを改めて考えさせられた。(2003年7月7日記)