【保存策】文化財としての保存ですから、外観、内装とも改築は不可能と聞いています。しかし、常時一般公開するのであれば最低限のバリアフリー化のための施設改善と空調設備は必要です。
「原民喜展」は三週間の期間中、四千人を超える入場者があり、車椅子の障害者も数人ですが、お見えになりました。警備の方と一緒に運び上げましたが、地下室などの見学は不可能でした。恒久的な公共施設として生かすのであれば、スロープやエレベーターは必須の条件だと思います。一階フロアへ入るのも段差があり、車椅子を押して越えるのはかなりきつかったです。
空調施設も必要です。三月の一階フロアはとても寒かったのを覚えています。延べ七日間、会場の案内役をしてくれた七十歳の先輩は回顧展終了後、神経痛を悪化させて入院を余儀なくされました。
二〇〇一年には夏にも「原爆文学展」が開かれましたが、暑さと湿気に悩まされました。地下室も湿気がよどんでいる感じで、現状では例えば資料保存などには不向きと思われます。これらの改善は今後、市民に開放する際に、必ず求められるものだと思います。
【活用策】一階フロアは、オープン施設として、広い空間を利用したパフォーマンスに使うべきでしょう。ただし、例えばクラシック演奏などを考え、反響板は必須です。現状では共鳴しすぎて、「残響一秒」は望むべくもありません。なお、旧日銀松江支店のカフェ利用は一つの参考例かと思います。
問題は二、三階の小部屋をどうするか、でしょう。これまでにも市民レベルでは自然史博物館、カキ博物館、広島文学館など多様な提言がなされてきました。しかし、小部屋ばかりでは資料保存はスペースの関係から難しく、博物館としての活用には無理があります。むしろ、小さな貸しギャラリーと、情報の集積・発信基地としての活用を提言します。
私の立場からいえば、「バーチャル広島文学館」として二、三室の活用ができないか、と思います。幸い、市中央図書館には一万点を超える広島の文学資料が保存されています。資料目録づくりも原民喜、峠三吉らをはじめ、進んでいます。市民の間にも貴重な資料を保存している方がいます。それらを基礎にした「バーチャル文学館」構築の場として活用されるよう望みます。
広報「市民と市政」九月十五日号には、平和記念施設の保存・整備方針も作成中、とあります。「記憶の風化」が言われてもいます。ならば「風化しない文学の言葉」を広範に活用する具体的な施策として、旧日銀も利用できないかと考えます。