広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 分子病理学研究室

わたしの研究

8)Htoo Zarni Oo(大学院生D2、2009年卒)同門会報第26号(2011年12月)より
I am honored to become a doctoral student in Department of Molecular Pathology, Hiroshima University, in April 2010. Time flies quickly, as one and a half years have passed already. When I enrolled, there have established a new technique, CAST (Escherichia coli ampicillin secretion trap) method that is a powerful strategy to identify transmembrane and secreted proteins. CAST is a survival-based signal sequence trap method, with pCAST vector, containing kanamycin resistance gene and mutant β-lactamase lacking the endogenous signal sequence. cDNA library, reverse transcribed from mRNA, is ligated into pCAST vector and if it is transfected successfully into bacteria E.coli, the β-lactamase gained ampicillin resistant activity and colony can survive on ampicillin agar. Then surviving colonies are picked up and gene transfection is confirmed by PCR before sequenced them eventually. In my study, transmembrane proteins present in scirrhous type gastric cancer (GC) is emphasized and CAST libraries from 2 human scirrhous type GC tissues were generated. About 3,000 ampicillin-resistant colonies from CAST libraries were sequenced and compared these sequences to those deposited in the public databases using NCBI. Candidate genes were listed-up while excluding those detected in normal gastric mucosa. Among them, TM9SF3 (transmembrane 9 superfamily member 3) is the most detected clone in present study, which is one of the transmembrane 9 superfamily members and there is no report about correlation between the gene expression and human cancers yet. Next, TM9SF3 positive gastric cancer cases are frequently having poor prognosis. Besides that, I got opportunities to do poster and oral presentation in international congresses like 9th IGCC (Korea, Seoul), 8th ISMRC (Osaka), Japanese Cancer Association and Japanese Society of Pathology and so on. Last but not least, I am very grateful to each and every member of Molecular Pathology Department, especially to Professor Wataru Yasui, Associate Professor Naohide Oue for accepting me as a graduate student, as well as giving me an excellent mentorship throughout my study. I have dedicated to do my best with interest and motivation in research and study.
Htoo Zarni Oo(大学院生D2、2009年卒)同門会報第26号(2011年12月)より
7)大上直秀(講師、平成11年卒)「アメリカNIH留学記」
平成22年11月2日から平成23年4月16日まで約6ヶ月間、メリーランド州ベセスダにあるNIHのLaboratory of Human Carcinogenesis(LHC、Harris教授)に留学させていただきました。Harris教授の研究されているテーマとしては、p53の機能、テロメアや細胞老化、炎症と発癌、miRNAの発現解析等が挙げられます。最近は細胞の非対称分裂の研究もされており、非常に興味深いところです。NIHで行った研究については、今後出版される論文を参照していただき、ここでは留学中の研究以外のことについて述べさせていただきます。
 以前にアメリカ癌学会(AACR) に参加したことがあり、アメリカの風土は私に合わないと感じていました。さらに、当研究室の講師のポジションのまま留学させていただけるとのことで教室運営(病理診断業務や研究活動)のことを考えると大変申し訳なく、留学に対してあまり積極的ではありませんでした。しかし今、留学を終えて思うことは、アメリカは非常によい所であったということです。NIHの人々は非常に親切で、人をけなすような発言は絶対にせず、ちょっと会った場合でも「Hi」と挨拶をしたり、扉も通りそうな人がいたら必ず開けて待っていますし、通った人も必ず「Thank you」と言います。帰国してからは日本でも、扉を通過しそうな人がいたら必ず開けて待ち、開けて待ってくれている人がいたら「どうもありがとうございます」と必ず言っています。NIHのラボは純粋な研究室で病理診断業務や教育活動等はなく、時間が非常にゆるやかに流れていいました。多くの人は9時から10時ぐらいにラボに来て、メールのチェック等を行った後、Cafeでコーヒーを飲んだりしています。そのような状況で、研究のことを話したり、その他いろいろな情報交換をしています。ラボでは分業体制が完全に機能しており、研究者は、例えばネットワーク設定や研究サンプルの管理などは全くする必要はありません。さらに、パソコンのソフトウェアやプリンタ、ペンやノート等はすべて準備されており、研究者が私費で準備することは絶対にありません。
 留学をして3ヶ月が経過するころには、様々な人に対して感謝の気持ちでいっぱいになりました。留学の機会を与えてくださいました安井教授はもとより、Harrisと交流の深い田原名誉教授、広島で病理診断、教育、研究に奮闘している教室員の皆さん、同門会の先生方(LHCでは広島大学第一病理は有名で、第一病理出身ということだけで多くの人が協力的になってくれました)に心より感謝申し上げます。NIHでは、Dr. Harrisをはじめ、私のつたない英語を聞きながら研究の指導をしていただいたAaron、先端の研究機器の使用方法を教えていただいたJudyth、組織の準備をしていただいたElise、途中から共同で研究するようになった中国人のTangに大変お世話になりました。LHCには日本人が比較的多く、Staff scientistの堀川先生にはアパートを斡旋していただきました。堀川先生は田原栄俊先生とCarl Barrettのラボで一緒だったと聞きました。留学後4ヶ月が経過するころにはアメリカ生活も慣れ、苦手だった英語も多少話せるようになり、アメリカ人に対しても少しは冗談を言えるようになりました。
 この度の留学で、アメリカにおいて研究がどのように進められているのかよく分かりましたし、ある程度の人脈もできました。今後は海外の研究室・大学とも共同研究を進めると共に、AACRやDDW等のアメリカの学会にも積極的に参加していきたいと考えています。最後に、LHCへの留学の機会を与えていただきました安井教授にもう一度厚く御礼申し上げる次第です。ありがとうございました。
大上直秀(講師、平成11年卒)「アメリカNIH留学記」
6)内藤 寛(大学院生M2、平成21年卒)同門会報第25号(2010年12月)より
医歯科学専攻修士課程M2の内藤です。分子病理学研究室に来て早いもので1年と8ヶ月が過ぎました。学生時代を過ごした県立広島大学生命環境学部生命科学科では、遺伝子のプロモーター解析の研究をしていたこともあり、安井教授から「消化器特異的遺伝子であるREG4の発現調節機構解析」という研究テーマをいただきました。最初は異なる研究環境下で戸惑うことも多かったのですが、大上先生をはじめ諸先生方に丁寧に教えて頂き、現在では朝から夜遅くまで楽しく研究、勉強に励んでいます。
 REG4という遺伝子は、当研究室で行った胃癌組織サンプルを用いたSAGE法により、胃癌で発現が亢進するものとして同定されました。これまでの当研究室での検討並びに共同研究結果から、Reg IVは癌において、EGFRを介したアポトーシス抑制、腹膜播種転移に関与することが見出され、癌の悪性化に極めて重要であることが示されました。また免疫染色での検討により、Reg IVが腸型形質を有する細胞で発現し、腸の転写因子であるCDX2が陽性の細胞は、Reg IVも陽性であることが明らかとなっていました。そこで私たちは、Reg IVの発現調節機構について解析を行っています。REG4遺伝子上流2000塩基を解析すると、CDX2のコンセンサスシークエンスが4カ所見いだされました。続いて、REG4遺伝子の上流約2kbと、そのDeletion Mutantのレポーターベクターを構築し、ルシフェラーゼアッセイを行いました。その結果、遺伝子上流約0.65kbまでの間に、REG4の転写に重要な領域が存在するというデータが得られています。さらに、各予測CDX2コンセンサスシーケンスに変異を加えると、レポーターの活性が顕著に抑制される領域が存在することが分かりました。現在は、クロマチン免疫沈降によりREG4の上流配列にCDX2が結合できるかどうかを検討しています。しかし、この解析がなかなかうまくいかず、悪戦苦闘しているところです。このテーマに関しては、未だ論文として発表できるレベルにまで至っていませんが、精一杯取り組みたいと考えています。来年4月からは博士課程に進み、癌を学ぶにあたって最高の環境である当分子病理学研究室で、引き続き研究者としての資質を磨いていく所存です。
内藤 寛(大学院生M2, 平成21年卒)同門会報第25号(2010年12月)
5)若松 雄太(大学院生M2、平成21年卒)同門会報第25号(2010年12月)より
平成21年4月から分子病理学研究室で勉強させていただいて、はや1年半が過ぎました。研究では、「胃癌の原発巣とリンパ節転移巣における粘液形質発現およびCancer stem cell makers 発現に関する免疫組織化学的検討」というテーマをいただき、胃癌の原発巣とリンパ節転移巣における各粘液形質マーカー (MUC5AC、MUC6、MUC2、CD10)の発現の比較、Cancer stem cell(癌幹細胞)マーカーとして知られているALDH1、CD44、CD133発現との関連という2つの事項について検討しています。私は薬学部出身であり、研究を始めた当初、過去に顕微鏡を使ったことがほとんど無い状態でしたので、使用方法がままならず見たい視野と逆に動かしたり、動かす速度が速すぎて10分も経たないうちに激しい眩暈を起こしてしまうという状態でした。しかし、仙谷先生、坂本先生に顕微鏡の使い方をはじめ、正常部と腫瘍部の違いについて一から懇切丁寧にご指導していただき、今では胃癌の組織型の違いまで見られるようになりました。胃癌をはじめ、がんは全身性疾患であり、原発巣よりも転移巣が病態に影響を及ぼしますが、転移巣における分子病理学的解析は十分になされているとは言い難いのが現状です。一方で胃癌では、腺管構築を指標とした組織分類に加え粘液形質発現による分類がなされ、メチル化や遺伝子変異等の分子病態との相関が指摘されています。私は、胃癌の原発巣とリンパ節転移巣における粘液形質発現の比較を行い、さらに、癌幹細胞マーカーに関する免疫組織化学的な検討も行なっています。これまでに得られた結果では、胃癌全症例の60%が原発巣・リンパ節転移巣ともに同じ粘液形質を示し、粘液形質が変化した症例に関しては分類不能型に変化する頻度が高い傾向が見られました。また癌幹細胞マーカーの原発巣と転移巣における発現を比較した結果、ALDH1がリンパ節転移巣で有意に高頻度に陽性を示し、特に低分化癌で有意な差を認めました。この知見から、転移巣の制御において分類不能型胃癌の特徴に関して検討することが重要であり、癌幹細胞マーカー分子では、ALDH1が腫瘍の進展に寄与していることが考えられ、これからの診断・治療に貢献できることを期待しています。この1年半を振り返りますと、全く知識の無い状態で入学したにも関わらず、安井教授、大上講師を始め多くの先生方に支えられ、実験の楽しさや常に向上心を持って物事に取り組む姿勢の大切さを学ぶことができました。これからは研究成果を論文という形で完結できるように努力する所存です。
若松 雄太(大学院生M2, 平成21年卒)
3)阿南 勝宏(特任助教、平成13年卒)同門会報第25号(2010年12月)より
平成19年10月に広島大学大学院へ入学後、一貫してCAST(Escherichia coli ampicillin secretion trap)法という網羅的遺伝子発現解析法を用い、胃癌に特異的な膜蛋白質、分泌蛋白質の新規同定に関する研究を行ってきました。CAST法とは、シグナルシークエンスを欠損させたアンピシリン耐性遺伝子(βラクタマーゼ遺伝子)を含む特殊なベクター(pCAST)にサンプルから抽出したcDNAライブラリーを組み込み、大腸菌へ導入した後にアンピシリン含有培地で選択し、生存できたコロニーに組み込まれた配列を解析する方法です。大上 直秀先生が中心となって行われたSAGE法に引き続く網羅的遺伝子発現解析法として期待が大きかったものの、CAST法も最初から順風満帆というわけではありませんでした。既に大学院の先輩でもある大原慎也先生、坂本 直也先生、林 哲太郎先生らが着手されていましたが、当初は培地にコロニーが全く形成されませんでした。うまくいかないときには、試薬の濃度を変えてみたり、反応させる時間を変えてみたり、扱う人間を変えてみたり…と時にはとても論理的、科学的とは言えないようなことも含めて改良を重ねていき、少しずつ自分たちなりの手法を確立していきました。最初にコロニーが大量に形成されたときの喜びは今でも覚えています。その後はひたすらコロニーを回収、培養し、PCRによるバンドの確認の繰り返しであり、昼夜を問わず実験を行いました。この頃は、右手が腱鞘炎になって痛むこともありましたが、回収したクローン数が増えていくことの方がはるかに大きな喜びでした。PCRでバンドが確認されたクローンだけを再回収してシークエンスを行い、NCBIのデータベースと照合して遺伝子を同定、その後はそれぞれの遺伝子についてhomologyチェック、局在の確認等…と書いてしまえば簡単ですが、実際は多くの時間と労力をかけていたと思います。私達は除外したクローンなども含めると約1万クローンを回収したことになりますが、今思えば充実した日々を過ごしていたと懐かしく感じられます。このような経過を辿りながら、正常胃と2種類の胃癌細胞株(MKN-1、MKN-28)から得たCAST libraryから多くの遺伝子を抽出することができました。それらの候補遺伝子については、上位のものから定量的RT-PCR法を用いて胃癌組織などにおける発現を確認していきました。私は、それらの遺伝子群から、デスモソーム構成因子の1つであるdesmocollin 2(DSC2)という遺伝子の胃癌における発現について解析し、DSC2と腸型形質を有する胃癌との関連を明らかにすることができ、Journal of Pathologyに報告しました。  この論文が学位論文となり、平成22年9月に大学院を修了し、10月からは特任助教を務めています。研究の結果については、101st AACR(Washington D.C.)や第8回国際胃癌学会(Krakow, Poland)、日本癌学会や日本病理学会などの国外、国内の学会で発表させていただきました。今後は他の候補遺伝子の解析を進めていくとともに、異なる胃癌細胞株や胃癌組織から得たmRNAを用いたCAST法についても研究を進めていきたいと考えています。
 入学した当初は分子病理学の基礎も理解できていない状態でしたが、素晴らしい人間関係にも恵まれ、研究室の仲間と一緒に楽しく実験を進めていきながら、実験および分子病理学の基礎を勉強することができました。特に、CAST法に最初から携わり、解析対象とする候補遺伝子の同定、各遺伝子の発現解析に関する大きな流れや考え方を学ことができたことは、私にとって大きな財産となっています。今後はさらに研究に励むことに加え、教育、病理診断などを通じて、研究室のさらなる発展に貢献したいと考えています。
阿南 勝宏(特任助教, 平成13年卒)
2)林 哲太郎(大学院生D3, 平成11年卒)同門会報第24号(2009年12月)より
平成19年4月より分子病理学教室の大学院生となり、2年半が過ぎようとしています。私が大学院に入学した当時、胃癌におけるCAST法(Escherichia coli ampicillin serection trap)を用いた膜蛋白と分泌蛋白の遺伝子解析を始めようとしていたところだったので、泌尿器科出身の私は尿路系腫瘍で同方法を用いた遺伝子解析を行なうことになりました。CAST法の概略は、シグナルシークエンスを欠損させたアンピシリン耐性遺伝子を組みこんだベクター(pCAST)に解析対象サンプルのcDNAライブラリーを組込み、大腸菌に導入した後にアンピシリン含有培地で選択し、コロニーの塩基配列を解析するという方法です。同時期に入学した坂本先生、阿南先生、大原先生と一緒に始めたのですが、初めはなかなかコロニーが得られず、ひとつずつ条件設定を行い実験方法を確立していきました。約半年後、初めて培地にコロニーが生えていたときは感動し皆で喜び合いました。その後、胃癌と前立腺癌の細胞株のcDNAライブラリーから約5000クローンの塩基配列を解析しました。候補遺伝子に対しては癌部、非癌部での発現の比較や、臨床病理学的因子との相関、機能解析を行いました。しかしやはり研究とは厳しいもので、目的としていた診断や治療標的となる新規癌特異的遺伝子はなかなか発見できず、現在も様々な胃癌細胞株からのCAST法による検討を続けています。それでも少しずつ結果が現れ始め、本年度の第68回日本癌学会総会では、“分泌/膜貫通タンパク質のCAST法を用いた解析:CDONは前立腺癌で高発現している膜貫通蛋白である”という演題を口演で発表できました。緊張して発表を迎えたのですが、國安教授に座長をしていただけた幸運もあり、なんとか発表を行うことができました。またこの学会の後に、同発表でdermokineという分泌蛋白の前立腺癌での発現をfigureの一部に入れていたところ、胃癌や大腸癌でのdermokineの発現を検討されていた他大学の先生から、尿路系腫瘍におけるdermokineの発現の検討をということで共同研究の話をいただきました。自分の発表に反響があったことに驚き、一方で研究成果を発表する楽しさを知るという貴重な経験ができました。この2年半を振り返ると、全く知識がない状態で入学したにもかかわらず、安井教授、大上先生、本下先生、仙谷先生を始め一緒に実験をしている院生の方々のご指導と励ましに支えられ、少しずつ基礎研究とその考え方を学ばせていただいたことに感謝するばかりです。これからはさらに研究に励み、研究結果を論文という形で完結できるよう努力するとともに、伝統ある広島大学分子病理学教室の一員として教室の発展に貢献できるよう努力をしていこうと思います。
林 哲太郎(大学院生D3, 平成11年卒)
1)坂本 直也(大学院生D2、平成17年卒)同門会報第23号(2008年12月)より
平成19年4月に分子病理学教室に入ってはや1年半が経過しました。当初、ピペットの使い方もままならない状態でしたが、大上先生、仙谷先生に懇切丁寧に御指導頂き、非常に少しずつではありましたが、多くの実験手技、知識を習得することができました。
 私が最初に頂いた研究テーマは「Reg IVの上流・下流因子の同定」でした。まずReg IVの下流因子の同定に関してですが、胃癌細胞株TMK1、MKN28にREG4を導入し、導入前、導入後の発現遺伝子プロファイルをMicroarrayを用いて解析しました。その中でReg IV導入に伴い発現が亢進している遺伝子に関してqRT-PCRを行い、実際にRNAレベルで発現の亢進が認められた遺伝子を解析対象としました。その中でSOX9に注目し解析を進めましたが、免疫染色でも特異的な発現パターンは認められず、Reg IVとの相関に関してはそれ以上の知見を得ることができませんでした。この検討では、Western blotで、qRT-PCRと同様のSOX9の発現の推移を示すデータがなかなか得られず、細胞を取り直すなど条件を変えて、ひたすらWestern blotを繰り返したことが一番印象に残っています。次にReg IVの上流因子の同定に関してですが、第二外科の檜井先生から供与して頂いた細胞を用いて、CDX2の発現誘導に伴い、Reg IVが発現誘導されることを確認し、CDX2によりReg IVの発現が制御されているという仮説のもと、解析を進めました。まずReg IVのpromoter領域を抽出し、その領域内に複数存在するCDX2とのconsensus sequenceのうちで最もReg IVの発現に影響を与える領域を、luciferase assayを用いて同定しようと試みました。しかし、この解析もなかなか思ったようには進まず、現在も頭を悩ませているところです。
 当初頂いたテーマに関しましては、まとまった結果を得るに至っていないのですが、Reg IVの上流の同定の検討において、過去に報告された「EGFRの活性化に伴い、AKT、AP1を介してReg IVの発現が誘導される」との知見を確認する目的で、大腸癌細胞株HT29の培養液中にEGF、TGF-αを添加し、その後にWestern blotでReg IVの発現レベルの推移を検討しました。実験に用いた細胞の都合上、CDX2が細胞内で機能していることを確かめる必要があり、同時にCDX2の標的分子であるLI-cadherinの発現レベルも検討したところ、発現の上昇が期待されたReg IVは発現さえも認められず、LI-cadherinの発現レベルがEGF、TGF-α添加によって亢進している、というデータが得られました。このデータをもとにさらに解析をすすめ、大変興味深い結果が得られたので現在論文を作成しています。またこの内容に関しては、国内外、様々な学会で発表する機会を得、大変貴重な経験をさせていただきました。
 今後も引き続き論文作成や、現在のテーマに精一杯取り組んでいきたいと思っています。
坂本 直也(大学院生D2, 平成17年卒)


▲ページトップへ