核内ドメインとは?



 従来、教科書には核内の構造物としては唯一核小体が記載され、染色体DNAはその分布密度の濃淡によりヘテロクロマチンとユウクロマチンが描かれてきたのみでした。しかし、近年急速に進んで来たDNAおよび蛋白質の可視化技術や画像解析技術は、細胞核が予想以上に整然とした構造構築を持つことを明らかにしてきました。染色体DNAは無秩序に混ざりあっているのではなく、それぞれの染色体別に核内の特定の領域に整然と存在していること(染色体領域、chromosome territories)、また、様々な核蛋白質が核内に点状、網状などの分布を示し核内の特定の領域に集積し非クロマチン核内ドメインを形成していることが明らかになりました。このような核高次構造は、遺伝子の複製、転写および修復などの化学反応の「場」と密接な関連があると考えられています。また、このような細胞核の高次構造が染色体転座の形成に深く関わっていることが予想されます。

 そこで、私たちは、核内高次構造体の局在・動態を制御するメカニズムが明らかにしたいと考えています。そのために、核内ドメインの局在・動態と核機能の関連について、共焦点レーザー顕微鏡やマルチカラー蛍光顕微鏡など新しいバイオイメージング技術を用いて研究を進めています。この研究から、染色体転座形成機構の解明やがん細胞の新しい診断法、治療法の確立への貢献を目指しています。


Cremer T. et al, Cold Spring Harb Perspect Biol.2010






















© satoshi 2016