このセミナーは4研究科共同セミナーの認定科目です。
本年度の世話人:小島健一(内6554)


平成 4年度5年度6年度7年度8年度9年度10年度11年度12年度13年度14年度
平成15年度

日程

場所

講師

題目

140

5/7
17:00-

K203

畠中 憲之氏
広島大学総合科学部

ソリトン量子輸送現象を用いた単一光子生成

141 7/23 17:00- K203

星野公三氏
広島大学総合科学部

圧力誘起液体ー液体構造相転移

142 9/25 17:00- K203

常行真司氏
東京大学大学院理学研究科

トランスコリレイティッド法による電子状態計算

143 10/22 17:00- K203

宇田川眞行氏
広島大学総合科学部

希土類化合物のラマン散乱による研究

144 11/6 17:00- K203

森越文明氏
NTT物性科学基礎研究所

エンタングルメント抽出
―量子情報処理の資源としてのエンタングルメントを定量化する

145 11/26 17:00- K203

Dr. Raquel A. RIBEIRO
広島大学総合科学部外国人特別研究員

"Pure" and carbon doped MgB2

146 12/3 17:00- K203

古川一暁氏
NTT物性科学基礎研究所

半導体高分子ポリシランの単一分子科学

147 12/25 16:00- J206

Prof. Alexander Gabovich
学振外国人研究員、 Institute of Physics of the National Academy of Sciences of Ukraine, Ukraine

BROWNIAN MOTION: HISTORY, ESSENCE, FATHERS-FOUNDERS


畠中 憲之氏 講演要旨:
  近年、光を用いた量子情報処理技術の研究が、高度情報化社会の実現に向けて 精力的に行なわれている。特に、単一の光子を任意に発生できる光源が、たとえば安全な 量子暗号の実現という観点から強く望まれている。最近、我々はKorteweg - de Vries 方程式 (以下、KdV方程式)に属するソリトン解の持つ性質に着目し、それをポテンシャルとして持つ Schrodinger方程式に基づいた単一光子発生の新しい機構を理論的に提案した。[1]
この機構による単一光子生成の概略は次の通りである。まず、振幅が異なる二つの ソリトンポテンシャルを用意する。初期状態として、振幅の小さなポテンシャルに電子を束縛させる。 振幅の大きなソリトンポテンシャルは小さな方に比べ速度が大きいので、ある時刻には 二つのソリトンポテンシャルが衝突する。この時、電子はよりエネルギーの低い状態へ遷移する ために単一光子を放出する。
今、 KdV方程式には、このような2ソリトン解の他に、多ソリトン解の存在が知られている。 したがって、適当な初期条件を設定することにより、任意の大きさの光子を任意の時間間隔で 取り出すことが可能となる。講演では、この光子生成に必要な条件を示し、そのときの光子数 ゆらぎについて言及する。

[1] K. Matsuda et al., APL 81 2698 (2002)


星野 公三氏 講演要旨:
典型的な1次相転移としては、固体-液体転移が知られているが、これまでに、いくつかの  液体において、圧力変化にともなう液体-液体1次構造相転移の可能性が指摘され研究されてきた。 本講演では、液体リンおよび液体カーボンにおける圧力誘起液体-液体構造相転移に関する最近の研究を紹介する。 本講演ではまず、液体リンに関する最近の片山ら[Nature, 403 (2000) 107]の実験結果を 紹介する。彼らは、高温・高圧下での液体リンの構造をSPring-8のX線回折装置を用いて調べ、 圧力誘起液体-液体構造相転移が起こることを実験的にはじめて観測し、この構造変化が 圧力増加にともなう、分子性液体からポリマー状液体への1次相転移であることを示した。 次に、この構造相転移の微視的機構を明らかにするため、構造相転移の低圧側と高圧側に おける構造と電子状態を、第一原理分子動力学(MD)シミュレーションにより詳しく調べた 仙田らの計算結果[J.Phys.:Condens.Matter 14 (2002) 3715]について報告する。  一方、液体カーボンについてはGlosliとRee [Phys.Rev.Lett., 82 (1999) 4659]が 古典MDシミュレーションにより、液体カーボンにおいて圧力誘起液体-液体構造相転移が 存在することを主張して以来、種々の第一原理的シミュレーションによる理論的研究がなされ、 圧力誘起液体-液体構造相転移の有無に関する論争が続いている。本講演では、最近の 第一原理MDシミュレーション[Wu et al.: Phys.Rev.Lett., 89 (2002) 135701; Harada et al.: J. Phys. Soc. Jpn. 72 (2003) 822]などの液体カーボンの構造相転移に 関する研究を紹介する。

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常行 真司氏 講演要旨:
 フェルミオン多体系の基底状態エネルギーを近似的に求める最も簡単な方法は、ハートリー・フォック近似、 すなわち多体波動関数'Ψ'を1電子軌道のセットから構成した1個のスレーター行列式'D'で近似する手法である。 このスレーター行列式に粒子の入れ替えについて対称な2電子間距離の関数'F'(Jastrow function)を かけてΨ=F・Dとすれば、電子相関効果を効果的に取り入れることができるが、エネルギーの評価や波動関数に 含まれる変分パラメータの最適化にN体の多体積分が必要となるのが難点である。電子系の 変分モンテカルロ法ではこの多体積分をモンテカルロ法を用いて行うが、自由度の大きいスレーター行列式を 最適化するのは、実用上非常に難しい。
 トランスコリレイティッド法は、波動方程式HΨ=EΨをそれと等価な方程式(1/F)HF(Ψ/F)= E(Ψ/F)に書き換えた後、 Ψ/F=Dという近似を用いて波動関数と固有値の近似解を求めようという手法である。スレーター行列式の最適化に 3体積分までしか必要ないので、モンテカルロ積分が不要であること、密度汎関数法と違って多体波動関数が 求まること、いわゆる第一原理計算の対象となる連続空間だけでなくハバードモデルのような格子系でも同様に 使えること、負符号問題なしに波動関数のノードまでふくめた最適化ができること、多成分系への拡張も 可能なことなどの利点がある。本セミナーでは、トランスコリレイティッド法の基礎と、簡単な原子やジェリウムモデル、 ハバードモデル等への応用例を紹介する。 

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宇田 川眞行氏 講演要旨:
希土類化合物では、希土類イオンの電子状態によってその物理的性質が大きく変化する。これによって、 希土類イオンの価数揺動、近藤効果、四重極秩序などが現れる。これらの性質を微視的に理解するには 励起状態の研究が必要で、レーザーラマン散乱と中性子非弾性散乱が有力な手段である。本講演では、 希土類化合物RB6や充填スクッテルダイトの最近のラマン散乱結果を中心に紹介する。特に、 RB6結晶(R:希土類)で低エネルギーに現れる励起が希土類の温度因子と密接に関係し、 キャリヤーを媒介とする希土類イオン間の新たな相互作用の可能性が得られた。一方、 充填スクッテルダイトRT4X12(R:希土類、T:Fe,Ru,Os、X:P,As,Sb)では、希土類と希土類を 取り囲んでいるXイオンの原子間相互作用が異常に大きく、p-f混成が強いことがこの結晶の特徴であることも得られた。  なお、時間が許されるならば、これら以外の研究、例えば、水素吸蔵グラファイトの結果についても紹介したい。

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森越 文明氏 講演要旨:
量子エンタングルメントは量子力学の不思議な側面をあらわすだけでなく、近年発達してきている量子情報処理に おける重要な資源として認識されている。通常の物理的な資源と同様に、エンタングルメントを有効に利用する ためには、それを定量的に扱う理論が必要となる。本講演では、そのためのひとつの方法を与える、エンタングルメント 抽出を紹介する。量子力学の基本的な知識のみを仮定して、量子テレポーテーションなどの量子情報処理の 初歩を解説してから、純粋状態のエンタングルメント抽出の確率論的および決定論的シナリオでの振舞いについて 紹介し、さらにそれらの関係についても触れる。 

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Raquel A. RIBEIRO氏 講演要旨:
We show a study to better understand the large variation in residual resistance ratio (RRR) and Rho0 values reported in literatures. For such we prepared samples with several types of boron and different stoichiometries. We observed through magnetization and resistivity measurements that there is a monotonic improvement in Tc as the boron purity is increased. Several attempts are being made to introduce doping elements in the structure of MgB2, to help understand their influence on several physical properties of MgB2 such as the lattice parameters, density of states, critical currents and fields, transition temperatures, and so on. We used the compound B4C as a reagent in an attempt to introduce carbon in the boron sites. We tried different reaction temperatures and times to optimize the synthetic route so as to eliminate the impurity phases. We find that within limitations of our synthesis route the Mg(B0.8C0.2)2 samples reacted at 1100-1200°C for 24 hours are the closest to being single phase samples and have sharper superconducting transitions. The transition for these samples shifted down by ~17 K (Tc ~ 22 K) with respect to pure MgB2. The a‐lattice parameter is approximately 1.2 % smaller than for pure MgB2 whereas the c‐lattice parameter remains practically unchanged. 

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古川 一暁氏 講演要旨:
ナノテクノロジーの発展により、従来の主に薄膜デバイスをターゲットとした有機エレクトロニクス研究は、 ナノスケールへと展開し、究極的には単一分子を直接扱おうとする、ナノ分子科学へと向かっている。 われわれは従来から、半導体高分子であるポリシラン(シリコン原子が連結した骨格をもつ高分子)を 研究対象としてきたが、近年は単一分子鎖を扱うナノ分子科学を志向している。本講演では、 半導体高分子単一鎖の観察と物性について、われわれの最近の研究について紹介する。
内容
1. 半導体高分子ポリシランについて
2. 高分子単一鎖を取り出す方法
3. 高分子単一鎖のかたち
4. 単一鎖状態での光物性
5. まとめと将来展望

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Alexander Gabovich氏 講演要旨:
In the tutorial lecture the history of the Brownian motion is briefly outlined. The difficulties of the acceptance of the probabilistic concept are analyzed. The main problem here was to recognize that the system forgets its past during a short time, i.e. the random processes of Brownian motion and diffusion are Markovian. The analogy with the hazard games is outlined. Simple considerations leading to the well-known expression for the Brownian particle displacement are presented. The biographical details of the great scientist Marian Smoluchowski are given. The Saint Mathew effect in the history of science is discussed.

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