内視鏡診療科とは

 内視鏡検査により疾患・病変の診断と治療を行う診療部門です。
 当院では,平成10年8月に中央検査部内視鏡室より発展,「光学医療診療部」として独立し,平成12年4月に田中信治助教授が部長に就任しました。そして,医学部附属病院と歯学部附属病院の合併や病院の部局化の過程を経て,平成19年11月に田中信治部長が広島大学病院光学医療診療部の初代教授に就任しました。その後,患者さんや一般にわかりやすい名称にする目的で,平成21年1月から「内視鏡診療科」という名称に標榜変更しました。
 旧外来診療棟では消化管内視鏡検査室を6部屋有し,消化管内視鏡および超音波内視鏡を用いた消化管疾患の診断と治療,胆膵超音波内視鏡検査や食道・胃静脈瘤硬化療法の一部を行っていました。しかし,旧内視鏡診療科には透視の設備がなかったため,小腸内視鏡検査、消化管拡張術+ステント留置術、ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管撮影法)、胆膵疾患の内視鏡治療や食道・胃静脈瘤硬化療法の大部分は放射線部の透視室で施行していました。
 平成25年9月に広島大学病院の新外来診療棟がオープンし,地下1階に放射線部門と隣接する形で現在の内視鏡診療科が新規オープンしました。面積1,100m2という広いこの新内視鏡室には,消化管専用検査室が7部屋と十分なスペースの透視内視鏡室が2部屋(うちひとつは陰圧ルーム)設置され、準備室(モニタリングルーム)では全ての検査室の内視鏡画像と室内の状況がモニタリングできるようになっています。また,患者さんと医療従事者の動線を分離し,機能的なレイアウトを実現しました。機器保管庫や消毒洗浄室はもとより,待合室,リカバリールーム,更衣室,トイレ,大腸内視鏡前処置室などにも十分なスペースを取り充実した設備になっています。そして,すべての検査室に最新の高画素電子内視鏡システムを備え,ハード面でも本邦屈指の設備に生まれ変わりました。平成25年9月以降,広島大学病院の@消化管内視鏡・A肝胆膵内視鏡・B気管支鏡診療のすべてをこの生まれ変わった内視鏡診療科で行っています。
 当診療科では,日本および世界で最先端の消化器内視鏡診断と治療を行っており,その実績は国際的にも評価されるとともに国内外から見学・研修の医師が訪れています。特に当診療科の早期の食道咽頭癌・胃癌・小腸/大腸癌に対する内視鏡治療は高い評価を受けており,大きな腫瘍でも最新の機器による高度な精査を行い、適応のあるものは下図のように外科手術することなく内視鏡的切除によって根治的治療を行っています。また,カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡による全小腸の診断や治療も積極的に行っており、全ての消化器疾患領域において最先端の内視鏡診療を快適に受けることができます。


食道ESD

1 0-IIc型食道表在癌
2 ヨード散布像
3 病変の周囲にマーキング
4 病変の周囲を切開・剥離
5 全周切開後
6 SB knifeで粘膜下層を剥離継続
7 剥離終了直前
8 切除後の潰瘍底
9 切除標本

胃ESD

1.0-IIc型早期胃癌
病変周囲にマーキング
2.酢酸+インジゴカルミン散布像
3.プレカット後、ITナイフ2 にて
粘膜切開開始
4.局注後に粘膜切開
5.切開時の動脈性出血
6.止血鉗子を用いた凝固止血処置
7.全周性に周辺切開
8.粘膜下層剥離
9.剥離時の動脈性出血
10.粘膜下層剥離中
11.切除後潰瘍底
12.ホルマリン固定標本

大腸ESD

1.S状結腸の3/4周を占める
大きなLST-G
 
2.インジゴカルミン散布像
 
3.肛門側からの観察
 
4.反転して口側からのアプローチ
5.インジゴカルミンを混注した
ヒアルロン酸ナトリウムを局注
6.Dualナイフで周辺切開
7.IT-nanoで剥離をスピードアップ
8.高度線維化の部分は
Dualナイフで正確な剥離
ラインを意識して操作
9.病変が垂れるように体位変換
   
10.剥離終了後の潰瘍底。
全周性の剥離となったが,
術後狭窄はきたさなかった
11.ESD摘除病変のホルマリン固定標本

診療内容

  1. 消化管癌(食道、胃、小腸、大腸)の診断

    電子内視鏡の進歩により消化管癌の早期発見が可能となってきました。当診療科では高解像度の内視鏡を用い検査を行い、また、必要に応じて病変部の色素内視鏡観察や拡大内視鏡観察も行い精度の高い診断を行っています。

  2. 超音波内視鏡診断

    内視鏡を用いて消化管の内側から超音波診断を行います。癌の深さの診断や粘膜下腫瘍の診断が可能です。

  3. 早期消化管癌の治療

    転移がないと考えられる消化管癌(食道表在癌,早期胃癌,早期小腸癌,早期大腸癌など)には内視鏡による癌の根治的治療を行っています。当診療科では,拡大内視鏡観察・画像強調観察(NBI & BLI)や超音波内視鏡を用い精度の高い術前診断を行い,正確な診断の元に積極的に内視鏡治療を行っています。

  4. 炎症性腸疾患の診断

    感染性腸炎や薬剤性腸炎のように原因のはっきりしているものと、潰瘍性大腸炎やクローン病のようにまだ原因の明らかになっていないものがあります。当診療科では拡大内視鏡観察・画像強調観察(NBI & BLI)や超音波内視鏡を用い最先端の診断を行っています。

  5. 逆流性食道炎の診断

    胸やけの原因となることがあります。胃酸が食道へ逆流して炎症が生じたものです。長期間で食道が狭窄することがあります。内圧測定などの機能検査も行っています。

  6. 胃・十二指腸潰瘍の診断と治療

    出血や穿孔の原因となることもあります。胃酸を抑える薬や胃のなかにいる細菌(ヘリコバクター・ピロリ)の除菌により治療しています。また、出血している場合は内視鏡的止血術を行います。

  7. 消化管狭窄の治療

    癌によるものや内視鏡治療後の瘢痕狭窄によるものなど原因は様々です。ブジーやバルーン拡張、ステント挿入などを行っています。

  8. 小腸疾患の診断・治療

    ダブルバルーン式小腸内視鏡により全小腸の検査が可能です。小腸疾患の内視鏡診断,生検による組織診断だけでなくバルーン拡張術・止血術・ポリペクトミーなどの治療も施行しています。

  9. カプセル内視鏡検査

    幅11mm、長さ26mmのカプセル内視鏡により小腸の検査が可能です。空腹時にコップ一杯の水で服用し、蠕動によって消化管の中を進みます。カプセルの通過による不快感、あるいはその他の異常な感覚は生じませんので日常活動を行いながら検査が行えます。
    平成26年1月以降,大腸カプセル内視鏡検査(幅11mm、長さ26mm)も保険適用になり,当科では実施可能です。ただし,保険適用は「通常の大腸内視鏡検査で内視鏡の挿入が困難な患者さんに限られています。

  10. その他