人類社会にとって、地球環境の危機(温暖化、人口爆発、核、生命操作など)は、きわめて逼迫した問題である。しかしもし、人類が目前の環境問題に対する危機意識と、地球環境の回復というグローバルな目的意識を共有することができれば、それは従来の紛争因となっていた国家・宗教・民族の違いを克服する絶好のチャンスとなり得る。
広島大学環境平和学プロジェクト研究センターは、単に学術的な成果をあげることを目的とせず、ヒロシマの原爆の〈痛み〉を地球環境破壊の〈痛み〉へと昇華し、パックス・ヒロシマーナ(ヒロシマによる平和)という理念のもとに、平和構築への具体的行動を生み出していくことに、その使命をもつ。
人類は地球環境の危機に直面している。しかし、この環境とは単に自然のことではない。人間をとりまく環境は、そこに生きる人間の価値観により決定されていくものである。したがって、環境保護の本質は、人間がみずからの生きざまに対して真摯な哲学を獲得することにある。
環境平和学とは人間中心主義的ではない、地球と人間を一体視する地球公共的な思惟のもとに環境保護を平和構築の道筋とする文理融合型の新領域研究である。