1-1.カイアシ類とは・・・

 カイアシ類といってピンとこなくても、ケンミジンコ、ヒゲナガミジンコといえば聞き覚えがあるのではないでしょうか?「ミジンコ」という名前がついていても、実は、フジツボ、フクロムシあるいはウミホタルに近縁な動物です。その大きさは顕微鏡サイズの微小甲殻類で、胸脚をボートの橈(カイ)のように使って遊泳することが「橈脚(カイアシ)類」の名前の由来になっています。

 カイアシ類の種数は甲殻類の中では十脚目に次いで多く、現在11目約12,000種が知られており、その約35%が寄生または共生している種です。現在でも多くの新属・新種が報告されています。形態、生態は実に多様性に富んでいて、体長は普通0.5〜10mm程度ですが、中には30cmにもなる寄生性種も存在しています。生息域としては、陸水及び海洋(ベントス:底生性、プランクトン:浮遊性)、陸上(土壌動物)で自由生活するものと、他の無脊椎動物・脊椎動物に共生・寄生するものなど様々です。動物のなかでは最も広い生息域をもつものの一つで、水平的には赤道域から極域、鉛直的には水深10,000mの深海からヒマラヤ山脈の標高5,000mまで生息しています。

 食物連鎖において、カイアシ類は生産者である植物プランクトンなどを餌とする一方、私たちの食資源となる硬骨魚類の稚仔魚、親魚の主要な餌生物となっていて、両者の栄養段階をリンクする重要な役割を担っています。しかし、魚類の餌である一方、水産資源上重要な魚介類などに寄生して、商品価値をなくしてしまう場合があります。

 このようなカイアシ類の形態、生態などについては、後に詳しく述べます。

 

 表1.カイアシ類の分類体系と各目(Order)の生活様式

Kingdom : Metazoa 動物界
Phylum : Arthropoda 節足動物門
Subphylum : Crustacea 甲殻亜門
Class : Maxillopoda 顎脚綱
Subclass : Copepoda カイアシ亜綱
Infraclass : Progymnoplea
  Order : Platycopioida プラティコピア目 全て自由生活性
Infraclass : Neocopepoda
  Order : Calanoida カラヌス目 大部分が自由生活性、一部共生性
Cyclopoida キクロプス目 自由生活性寄生性
Gelyelloida ゲリエラ目 全て自由生活性
Harpacticoida ハルパクチス目 自由生活性寄生性
Misophrioida ミソフリア目 全て自由生活性
Monstrilloida モンストリラ目 全て寄生性
Mormonilloida モルモニラ目 全て自由生活性
Poecilostomatoida ポエキロストム目 全て寄生性
Siphonostomatoida シフォノストム目 全て寄生性
Thaumatopsylloida 全て寄生性

 1-2.カイアシ類の体のつくり

 

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