音声コミュニケーションシステムの研究

 

 ここ数年,多くのアプリで音声入力が標準的に使われるようになってきました.たとえばiPhoneではiOS5からSiriという名前の音声認識機能つきの秘書機能アプリが標準装備されており,Android上でも音声入力された文章をテキスト化するGoogle音声入力などのアプリが2017年現在広く使われています.しかし,音声情報をテキスト情報にいったん変換してテキストベースでやりとりするよりも,音声情報そのものをやりとりするほうが,本来はずっと簡単にコミュニケーションがおこなえるはずです.問題は,受け手の側のインターフェースが十分に整備されていないことにある,と私たちは考えています.

 

 そのような「音声チャットの汎用コミュニケーションツールとしての可能性」を探るため,分散システム学研究室では次のような研究をしています(それぞれ2017年度のテーマ候補):

 

会話の選択的聴取を支援する音声チャットシステム[研究室公開でのデモあり]

 いわゆる「カクテルパーティ効果」をスマホアプリとして実現する試みです.各ユーザは自分の興味を複数項目のシークバーで設定し,参加しているすべてのユーザと音声チャットをします.他のユーザの声の音量は,ユーザ間の「近さ」によって自動調整されます.現在の実装では,GPSやビーコンなどから取得される物理的な距離と興味ベクトル間のユークリッド距離の和によって近さを定義していますが,近さの定義を変えることで,思ってもみなかった気づきが生まれる可能性があります(詳細は公開できません.質問があればお答えします).また現在は音量だけを調整していますが,音声のもつ位相をうまく操作することで遠近感が生まれ,より臨場感のある空間がつくれるのではないかと考えています (おそらく空間内に配置したスピーカーとの連携が必要)

 

音声タグを付与可能な地図アプリの作成

 Googleマップなどに音声メモをタグとして付与する試み.ユーザの現在位置はGPSから自動的に取得できるので,各ユーザはアプリ中の録音ボタンを押してメモを残すだけでOK.テキスト入力よりもハードルが低いため,観光地の穴場スポットなどの情報が集まりやすくなると期待されます.その一方で,ノイズをどのように除去するかが大きな課題となります.ユーザグループをうまく定義すれば,「特定の位置にやってきた友達だけにとっておきの穴場情報をおしえる」などのアプリが実現できそうです.

 

位置依存音声サービスを実現するiBeacon連携アプリの開発

 iBeaconは,ショッピングモールにおける店舗への顧客の誘導アプリなどでの利用が期待されている技術です(iBeaconに関するAppleのページはこちら)Wi-Fiと比べて電波が微弱なため,十分近づかないと受信できないという特徴があります.この特徴をいかして,これまでにさまざまな位置依存サービスが提案・実現されていますが,上で述べた選択的聴取機能と組み合わせることで,たとえば少し離れたライバル店舗内の様子を(仲間内で)モニタリングすることなどが可能になります.

 

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