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消化器グループ 食道

食道がんに対する治療について

われわれ広島大学原医研腫瘍外科の消化器グループは,広島大学病院消化器外科の一員として食道疾患を中心に治療を行っています。これまで治療をおこなった新規の食道癌症例は年々増加傾向にあり,2009年は年間70例をこえています。

図1 広島大学病院腫瘍外科における新規食道癌症例数の推移

 食道がんに対する治療には,大きく分けて内視鏡的粘膜切除(EMRやESD)と手術(食道切除術),化学療法,放射線療法があり,病態や進行度に応じてこれらの治療法を組み合わせたり,単独で行います。私どもは消化器内科や放射線治療科,耳鼻咽喉科と綿密な連携を取っており,患者さんと相談させていただいたうえで,最適な治療法を提供しています。

食道がん手術

基本術式は開胸,開腹,頸部操作を行う食道切除術で,胃を頸部まで持ち上げて再建を行います。食道癌はリンパ節転移の頻度が高く,食道の切除のみではなく,再発を予防するために食道・気管・胃・頸部周囲のリンパ節郭清が重要です。私どもは病変の部位や深さによって,リンパ節郭清の最適な範囲を決めています。 食道癌切除術は侵襲(体への負担)が大きいため,胸腔鏡を併用してなるべく胸の傷を小さくするよう工夫しています。さらに,腹部の傷を小さくするため腹腔鏡補助下(HALS)に腹部操作を行っています。また,術後は安全に回復していただくように,集中治療室で麻酔科や救急部,循環器科,呼吸器科,神経科などの専門スタッフの協力のもと管理を行っています。 手術の安全性とともに重要なのが根治性(再発の予防)です。私どもはステージ2以上の症例には,術前または術後に化学療法や放射線療法,さらに両者を組み合わせた化学放射線療法を行い治療成績の向上を目指しています。(檜原淳・他:進行食道癌に対する集学的治療-Docetaxel と5-FUを用いた術前化学放射線療法の治療成績-.癌の臨床 53(1) 49-55,2007)

広島大学病院腫瘍外科における胸部食道癌切除例の進行度別治療成績

図2 広島大学病院腫瘍外科における胸部食道癌切除例の進行度別治療成績

図3 広島大学病院腫瘍外科における右開胸食道亜全摘(TTE)術後合併症の頻度

食道癌に対する化学放射線療法

発見された時にすでに進行していることの多い食道癌ですが,われわれはこのような進行食道癌に対しても当院放射線治療科と協力して,化学療法と放射線療法を組み合わせた化学放射線療法を積極的に行っています。従来のシスプラチンと5-FUを用いた治療に加え,現在は新規抗癌剤ドセタキセル(タキソテール)を加えた化学放射線療法の臨床試験も進行中であり(Hihara J, et al.: Phase I study of docetaxel (TXT) and 5-fluorouracil (5-FU) with concurrent radiotherapy in patients with advanced esophageal cancer. Anticancer Res 27(4C):2597-2603,2007),新しい治療法の開発にも積極的に取り組んでいます。

食道癌に対するその他の治療

また食道狭窄に対する食道バイパス術や食道ステント,気道系狭窄に対する気管ステントなど,QOLの向上や症状の緩和に対するノウハウも当科の長年におよぶ治療経験により蓄積されています。 また,分子生物学的手法を用いた食道癌の遺伝子解析により,悪性度や予後因子の解明をすすめ,さらに個々の癌の個性に基づくいわゆる個別化治療を目指した基礎研究にも取り組んでいます。(文責:檜原 淳)

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