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研究テーマ

癌告知とQOL

目的:
告知の程度と患者のQOLの関連性の有無を確認することを目的とする。
方法:
当科に入院した癌患者を対象として告知の程度を4段階に分類し患者の自己記載方式によるアンケート 調査を行い、各群間での相関の有無を検討する。
経過:
現在、胃癌患者の手術前後での各群間でQOLを比較し相関の有無を検討するため,症例を集積している。

大腸癌のmicrometastasis に対する基礎的臨床的検討

目的:
古くからがんの遠隔転移の早期診断に関する基礎的,臨床的検討がなされてきたが,いまだ確立されたものはない.そこでpolymerase chain reaction 法を用いて,血中の癌細胞の存在を確認することにより,癌のmicrometastases を診断し,早期発見,早期治療の可能性を検討する。
方法:
基礎的検討として血中のcytokeratin 20, CEA mRNAの測定により、その発現頻度を求める。臨床応用としては、大腸癌患者,胃癌患者を対象とし,原発巣,血液中,転移巣における上記の発現頻度を検討し,早期遠隔転移の診断が可能であるかを検討する。
経過:
現在,大腸癌株を用いてCK20, CEA のmRNA の発現頻度を確認している。

がんに対する免疫遺伝子治療

目的:
ヒトがんに対する遺伝子治療として,ex vivo gene therapyであるcancer vaccineの確立を目的とする。
方法:
腫瘍細胞にサイトカイン遺伝子を導入し,あねるいは、腫瘍細胞抽出したRNAを培養樹状細胞に遺伝子導入し、cancer vaccineとしての応用について検討している.
経過:
interleukin-2(IL-2)遺伝子導入マウスがん細胞はIL-2を産生し,不活化の後投与することで親株投与に対し有意に抵抗性となるvaccin効果を示した.in vitroにおいてもIL-2遺伝子導入腫瘍細胞はリンパ球に抗腫瘍活性を誘導する効果的な刺激細胞となることが確認された。腫瘍RNAを遺伝子導入した樹状細胞はCTL前駆細胞を活性化し、腫瘍障害性を付与することが確認された。

自己リンパ球を用いたがん特異的免疫療法

目的:
患者自己リンパ球をin vitroにおいて活性化し,自己腫瘍特異的リンパ球を誘導して治療に応用する。
方法:
自己リンパ球の刺激細胞として、1.がん抗原ペプチド(CEA, Her2/neu, SART, MART, MAGE, NY-ESO-1)をパルスした抗原提示細胞, 2.腫瘍抽出mRNAを導入した抗原提示細胞,以上を用い,in vitroにおいて腫瘍特異的リンパ球を誘導し,肺転移を対象に養子免疫療法としてPhase I/II臨床試験を実施する.
経過:
過去のLAK, TIL, あるいは不活化自己腫瘍あるいは不活化HLA型一致他家腫瘍の刺激によって誘導された自己腫瘍特異的リンパ球が肺転移に対してある程度の有効であることを認めている.当科より申請した活性化自己リンパ球移入療法が,平成8年11月1日高度先進医療として認可された.症例を集積している。新たな試みとして,IL-2遺伝子を腫瘍細胞に導入するとより効果的な刺激細胞になることが認められている.また、がん抗原ペプチドをパルスした抗原提示細胞によっても、より有能な自己腫瘍特異的リンパ球が誘導される。腫瘍RNAを遺伝子導入した樹状細胞はCTL前駆細胞を活性化し、腫瘍障害性を付与する。腫瘍RNA遺伝子導入樹状細胞では、がん抗原ペプチドの戦略が有するHLAの制限の問題や、腫瘍細胞を用いる戦略ではその細胞数に限りがある問題を考える必要がなく、より多くの患者を治療対象とできると考えられ、現実的である。

ペプチドパネルを用いたCTLエピトープのスクリーニング

目的:
HLA拘束性CTLエピトープが多数報告されている。同一母蛋白由来ペプチドであっても症例によってCTL precursorが異なり,CDR3の違いから反応性は異なることとなる。本研究においては,それぞれの症例によって用いられるべき最適のペプチドを同定するスクリーニング法を開発する。
方法:
サイトカイン全血アッセイに準じ,培養液で希釈した全血をペプチド刺激し,上清中のIFN-γをELISAで測定して,最適のペプチドを同定する。
経過:
全血の希釈率は5倍,培養日数は4-5日が至適であった。症例によって1-2ペプチドにつきIFN-γ陽性であり,陽性ペプチドは症例によって異なった。この結果はELISpotの結果と相関した。陽性ペプチドによってのみCTL誘導が可能であった。以上より,全血アッセイは簡便で鋭敏なアッセイである。現在,ELISAによる蛋白レベルのIFN-γ測定とIFN-γ遺伝子レベルの解析の関連を検討している。遺伝子で同定可能であれば,蛋白より早く目的ペプチドを判定できる可能性がある。また,同定されたCTL precursorおよび最適のペプチドの臨床的意義について検討している。

VEGF-RおよびRCAS-1蛋白のCTLエピトープの同定とCTLの誘導

目的:
VEGF-Rは新生血管に発現するレセプターであり、RCAS-1はCTLにアポトーシスを誘導する免疫抑制性蛋白である。これら蛋白のCTLエピトープを同定し、CTLを誘導することを目的とする。
方法:
VEGF-RおよびRCAS-1蛋白のアミノ酸配列より、HLA-A24のbinding motiefに一致した9mer sequenceを抽出し、CTL誘導について検討する。

抗腫瘍性Tリンパ球のT cell receptor CDR3の解析

目的:
抗腫瘍性T細胞はTCRCDR3を介してがん抗原を認識し抗腫瘍作用を発揮している.がん免疫療法において抗腫瘍Tリンパ球のTCRCDR3を解明することは、TCRの治療的応用や、免疫状態および治療経過の遺伝子診断 を可能とし、重要である。
方法:
担がん患者リンパ球を各種腫瘍抗原ペプチドで刺激し、TCR usageを調べ、腫瘍障害責任TCRを同定して、そのTCRCDR3をクローニングする。CDR3 sequenceを用いてRT-PCR-Southern法により、CTL precursor frequencyの遺伝子診断法を確立する。また、TCR遺伝子導入によるリンパ球の特異性の付与を検討する。
経過:
すでに複数のTCR遺伝子を同定しており、TCRCDR3遺伝子診断の臨床的意義を検討中である。

センチネルリンパ節における癌抗原特異的免疫反応の解析

目的:
センチネルリンパ節は見張りリンパ節といわれ、癌の転移がまっ先に成立するリンパ節である。言い換えると、癌の抗原情報が常に届けられていると考えることができる。センチネルリンパ節の抗原特異的な免疫能について解析する。
方法:
術前癌患者末梢血単核球付着細胞分画より樹状細胞を誘導し、切除癌細胞より抽出したRNAあるいは患者HLAに結合可能なHer2抗原ペプチドを用いて抗原特異刺激とし、センチネルリンパ節リンパ球、その他のリンパ節リンパ球、および末梢血リンパ球を反応細胞として、抗原特異的・非特異的刺激によるIFN-γ産生を測定し、センチネルリンパ節の抗原特異的な免疫能について検討する。
経過:
腫瘍RNA遺伝子導入樹状細胞あるいはHer2抗原ペプチドパルス樹状細胞が、CTL前駆細胞を刺激して、特異的IFN-γ産生を誘導することを認めている。

対がん移植片反応を応用したがん治療

目的:
白血病治療における臨床的事実から対がん移植片反応の存在が認識され、CMLにおいては再燃後の標準治療として確立されようとしている。固形がんに対する有効性も検討される必要がある。
方法:
現時点で有効な治療法の存在しない固形がん患者で、HLAの一致する同胞を有する症例を対象とし、allo-PBSCTを行ってGVHDおよび完全キメラを誘導し、安全性および抗腫瘍効果を検討する。さらにdonor lymphocyte infusion (DLI)を施行して、安全性および抗腫瘍効果を検討する。
経過:
広島大学医学部倫理委員会で承認され,すでに2例において実施されている。症例を蓄積中である。

非特異的免疫療法におけるToll-like-receptor (TLR)の関与

目的:
TLR分子の発現と癌局所免疫療法の臨床成績との関連性について明らかにする。
方法:
癌性胸・腹水患者に対して細菌製剤や蛋白多糖体などの非特異的免疫療法剤を用いて局所免疫療法を施し、その臨床効果と癌性胸・腹水局所細胞のTLR statusとの関連性について検討する。

がん患者における免疫抑制機序の解析とコンディショニングレジメンの確立

目的:
がんに対する抗腫瘍免疫機構が分子遺伝子レベルで解明され、遺伝子治療やがんワクチンなど、それに基づく生物治療が21世紀の治療として試みられている。しかしながら、担癌生体には免疫抑制機構が存在し、期待される生物治療の妨げとなっている。がん患者における免疫抑制機序を解明し、それを制御することはがん治療成績の向上において急務である。
方法:
免疫抑制因子としてIL-10, IAP, IL-2R, TGF-betaなどの因子、リンパ球活性化に必要な因子としてtelomerase, cell cycle regulator, growth factor、および細胞性因子としてCD4+CD25+調節細胞に着目し、担癌に伴う変化および外科治療、化学療法に伴う変化について検討する。CPM+フルダラビンのコンディショニングレジメンについて免疫抑制に対する効果を解析し、再発癌・難治癌に対する活性化自己リンパ球移入療法と併用して、新しい細胞治療の開発を目指す。
経過:
担癌状態では、IL-10, TGF-betaの増加を認めている。ある腫の糖蛋白がそれらの抑制機能に拮抗する。また、がん患者リンパ球ではtelomeraseの機能不全があり、リンパ球の分裂寿命が短縮していることを認めている。

進行大腸がんに対する化学療法

目的:
進行大腸がんに対する効果的な化学療法の確立
経過:
CPT-11+LV+5-FUのCPT-11容量負荷試験(Phase I)を実施中である。進行大腸がん術後補助化学療法として、LV+5-FU vs CPT-11+LV+5-FUのRCTについて、多施設共同で研究する。UFT+LV経口投与の術後補助化学療法としての有用性について検討する。再発大腸癌に対し、LV+5-FU、low dose CPT-11、TS-1およびCPT-11+LV+5-FU、TS-1のsequential therapyを実施し、survival benefitについて検討する。

食道癌におけるP53及びCdk阻害蛋白質の解析

目的:
食道癌においてcyclin D 遺伝子の増幅と過剰発現が認めらる.また,近年cyclin Dと結合する蛋白(Cdk)を阻害する蛋白が同定され,発癌における重要な役割が示されている.これらの異常を検索し、予後因子としての重要性を検討する.
方法:
cyclin D, p53,p21,p1などの細胞周期関連物質の発現異常を免疫染色,Western blot法を用いて解析する.またこれらの物質の遺伝子異常を,Southern blot 法や,PCRを用いて解析する.

大腸癌,乳癌のnon-invasive detection の検討

目的:
大腸癌患者の糞便中により分子生物学的方法を用いて癌細胞を検出する.
方法:
大腸癌患者の術前preparation時の糞便や,大腸ファイバー時の大腸洗浄液よりexfoliated cell を回収 する.1)これらより蛋白を回収してTelomerase活性を検出し癌細胞を同定する.2)これらよりmRNAを回収しCD44 variant exon の発現を検討することで癌細胞を同定する.3)同様に乳癌の穿刺細胞診材料を用いて検討中である。
経過:
Telomerase活性は癌細胞を含めimmortalな細胞に特異的に検出されることが示されてきた.現在大腸癌約 50例の腫瘍組織では95%異常の症例で活性が認めたにもかかわらず、正常組織ではほとんど活性が検出されなかった.従ってTelomerase活性は腫瘍マーカーとして活用できる可能性がある.これまでに切除大腸内の洗浄液を用 い,回収した細胞での解析で約60%の症例でTelomerase活性やCD44の発現異常を検索することができた.実際の症例での糞便や大腸洗浄液を用いた検索を現在進めている.

食道癌における前がん病変及び癌での遺伝子変化及び重複癌の検討

目的:
食道癌重複癌症例の分子生物学的特性を検討する.
方法:
食道癌重複癌症例の腫瘍組織よりDNA, RNAを抽出し,遺伝子変化やoncogene, 癌抗原等の発現を検索し,high risk group や予後因子の検討を行なう.

Thymidine kinase (TK) 遺伝子を用いた遺伝子治療の試み

目的:
消化器がんにおいてTK遺伝子を導入し,抗ウイルス剤による治療効果を検討する。
方法:
食道がん,胃がん,大腸がん,膵がん等の細胞にretro viral vector に組み込まれたTK遺伝子を導入する.TK遺伝子は抗ウイルス剤をリン酸化し,細胞毒となり殺細胞効果が認められる.TK遺伝子の導入されたがん細胞でのin vitro,in vivoでの抗ウイルス剤による殺細胞効果を検討し,遺伝子治療の可能性の基礎的検討を行なう.

胃癌、乳癌における悪性度診断とその臨床応用

目的:
これらの癌での臨床病理学的および分子生物学的特性を検討する.
方法:
分子生物学の進歩によりこれまでに多くの genetic および epigenetic な変化が報告され、これらが患者の予後を規定することを報告してきた。しかしながら多くの情報が氾濫し真に有効なマーカーが明らかにされていないのが現状である。そこでこれらのマーカーについて真に重要なmolecule を探索し臨床応用する手だてを考察する。特に消化器癌や乳癌での縮小手術の適応などに関して積極的に考慮する必要が考えられる.

胃癌におけるセンチネルリンパ節の検索と縮小手術の検討

目的:
胃癌におけるセンチネルリンパ節の検討を行い,縮小手術の可能性を検討する.
方法:
早期胃癌症例に対し,従来より標準的なD2リンパ節郭清が行われてきた.しかしながら,m癌ではEMRや腹 腔鏡手術の適応の拡大が行われている.そこで胃癌において,リンパ節郭清の省略の可能性について検討する目的で,腫瘍部近傍に色素やRI を注入し癌が最初に転移するリンパ節を同定し,その転移の有無を検索し,リンパ節郭清の是非について検討する.さらには早期胃癌における神経温存手術の適応に関しても検討する.

胃癌における抗癌剤耐性因子の検索とその臨床応用

目的:
抗癌剤の耐性因子を検討し効率のよい術後化学療法を検討する.
方法:
胃癌化学療法は,臨床経験に元ずいて投与薬剤や投与量,投与方法が選択されているのが現状である.従っ て臨床効果も不必要な投与がさけられないため,奏効率の低下や予後の延長が期待できない症例もみとめられる.そこで抗癌剤の耐性因子を検討することで,どのような症例にどういう薬剤を投与することが望ましいかを検討する.特にDPD やTS は5Fuの効果と相関することが示唆されている.またDNA microarray を用いて将来的には検索する予定である.

癌転移関連遺伝子の同定

目的:
高転移細胞株と低転移細胞株を用いて転移関連遺伝子を検討する.
方法:
乳癌細胞株MDA435 を親株とし,肺に高転移を起こすMDA4A4 および低転移株MDA2C5 を得た.さらに胃癌細胞株MKN45 を親株とし,腹膜播種を起こすMKN15Gを得た.これらの細胞株よりcDNA differential display やDNA microarray を用いた検討を併せて行い,癌転移に関連した遺伝子の同定を行い,臨床応用を検討する.

胃癌,食道癌におけるmicrometastasis の検討

目的:
micrometastasis の有無を明らかにしその臨床的意義について検討する.
方法:
胃癌手術時に行う洗浄細胞診に加えて,腹腔内CEAやテロメラーゼ活性,RT-PCR を用いたcytokeratin,CEA などの検討を行い,腹腔内のmicrometastasis の可能性を追求する.さらに,胃癌や食道癌での郭清したリンパ節における検討も行い,再発や予後との相関を検索し適切な治療法につて考察する.

食道癌発生における遺伝子不安定性とテロメラーゼ活性の意義について

目的:
遺伝子不安定性とテロメラーゼ活性が食道癌発生におよぼす影響について検討する.
方法:
食道癌症例を用いて,正常食道扁平上皮,食道異型上皮,食道癌部よりDNA,RNAを抽出し,microsatellite assayを行い,そのmicrosatellite instability (RER, LOH, homozygous deletion)を検索する.また,RT-PCR法,TRAP assayを用いそのテロメラーゼ活性を検討し,食道癌発癌にどのように関与するか検討する.

Orotate phosphoribosyl transferase (OPRT) 遺伝子を用いた遺伝子治療の試み

目的:
消化器がんにおいてOPRT遺伝子を導入し,5-FUの効果増強作用を検討する.
方法:
食道がん,胃がん,大腸がん,膵がん等の細胞にretro viral vector に組み込まれたOPRT遺伝子を導入する.OPRT遺伝子は5-FUをリン酸化し,細胞毒となり殺細胞効果が認められる.OPRT遺伝子の導入されたがん細胞でのin vitro,in vivoでの5-FUによる抗腫瘍効果の増強を検討し,遺伝子治療の可能性の基礎的検討を行なう.

胃癌におけるTS-1およびDocetaxel 併用療法の検討

目的:
高度進行、再発胃癌患者に対する新たな治療法の確立を目的とすべく、TS-1 およびDocetaxel の上乗せ効果を検討する。
方法:
TS-1 80mg/m2 を2週投与1週休し、Docetaxel を40mg/m2day 1 に投与し、3週を1サイクルとするプロトコールを開発し、phase I/II study を行う。現在、phase I が終了し推奨用量を決定した。さらにPhase II へ移行して有効性について検討する。

胃癌におけるweekly Taxol療法の検討

目的:
高度進行、再発胃癌患者に対するsecond line としてのweekly Taxol 療法の有用性について検討する。
方法:
胃癌化学療法のFirst line としてTS-1療法が注目を浴びている。しかしながらsecond line として、確立された治療法は確立されていない。そこで、高度進行、再発胃癌患者に対するsecond line としてのweekly Taxol 療法の有用性について検討すべく、phase I/II study を計画し、実施している。

胃癌におけるTS-1およびCDDP併用療法の検討

目的:
高度進行、再発胃癌患者に対するTS-1 vs TS-1/CDDP 療法のphase III study
方法:
胃癌化学療法のFirst line としてTS-1療法が注目を浴びている。一方、併用薬剤としてCDDPを使用することでその有効率が上昇することも知られている。そこでこれらの組み合わせと、TS-1 単剤での予後の有用性を検証し、真に標準的治療の確立の目的でPhase III study が全国規模で展開され、当施設でも参加の要請を受けて登録中である。

胃癌におけるTS-1およびl-LV+5Fu 療法の比較の検討

目的:
高度進行、再発胃癌患者に対するTS-1 vs l-LV+5Fu 療法 のphase III study
方法:
胃癌化学療法のFirst line としてTS-1療法が注目を浴びている。一方、l-LV+5Fu 療法は優れた有効率のみならず、QOLを保持しつつ外来で通院治療が可能である。そこでこれらの治療法の予後における有用性を検討する目的でPhase III study が全国規模で展開され、当施設でも参加の要請を受けて登録中である。

腹腔鏡下胃手術に関する基礎的,臨床的検討

腹腔鏡下手術はminimally invasive surgeryとして近年非常に注目されている手術法であるが,われわれは,胃粘膜下腫瘍,早期胃がんなどに応用すべく豚を用いた検討を行い,胃局所切除は可能であることを確認した.そこで先ず,胃粘膜下腫瘍に対して胃局所切除を行い,手技的な問題は解決された.現在,生物学的悪性度を指標にした新しい局所切除基準に基づいて胃癌に対する腹腔鏡下胃局所切除術を検討し,臨床成績を集積している。

消化器癌に対する遺伝子化学療法 (Gene-chemotherapy)の検討

目的:
本研究の目的は,消化器がん(特に胃癌)に対するアポトーシス誘導遺伝子baxの導入による抗癌剤の抗腫瘍効果の増強を検討する.すなわち,アポトーシス誘導関連遺伝子を標的とした遺伝子化学療法を研究開発することにある。
方法:
胃がん細胞株を用い,ヌードマウス皮下に移植,移植腫瘍に対してbax cDNAプラスミドを腫瘍内に局注し,抗癌剤との併用による抗腫瘍効果の増強を検討する.bax cDNAはlenearizeしてリポフェクタミンに溶解する.抗癌剤として,CDDPおよび5-FUを用い,4日毎に同時投与を行い,抗腫瘍効果はNCIプロトコールで判定する.baxの遺伝子発現は,RT-PCR法および免疫組織染色法で行う.アポトーシスの判定はTUNEL染色法で判定する.遺伝子化学療法の有効性とその臨床応用について検討する。
経過:
bax cDNAプラスミドの腫瘍内局注と抗癌剤との併用により、in vivoでの抗腫瘍効果の増強が認められ、アポトーシスの誘導が認められた。アポトーシス誘導関連遺伝子の導入は、抗腫瘍効果増強の新たな治療戦略となる可能性が示唆された。

胃癌に対するlow dose FP療法の抗腫瘍効果発現の機序

目的:
本研究の目的は,消化器癌で有効性が認められているlow dose FP療法の抗腫瘍効果発現の機序を解析する.すなわち,CDDPおよび5-FUのmodulatorあるいはeffector としての作用機序を解析することにある。
方法:
胃癌細胞株MKN45を用い,in vitroおよびin vivoにおいてFP療法の抗腫瘍効果の機序を解析する.in vitroでは,MTT assayを用いて,5-FU+CDDPの併用効果を検討する.5-FUおよびCDDPの濃度は患者でのlow dose FP療法を行った際の最高血中濃度で処理することとし,アッセイは5日間とする.相加および相乗効果を検討する.CDDP処理時のfree CDDPの濃度を測定し,アポトーシスの誘導および関連遺伝子の活性化を検討する.in vivoでは,ヌードマウス移植腫瘍に対してFP療法を行い,CDDP投与による葉酸量の変化および5-FUの腫瘍内濃度,DPD活性の変化について検討する.FP療法の抗腫瘍効果の規定因子および機序を解明する。
経過:
5-FUおよびCDDPの血中濃度の処理において、in vitroで相乗効果が認められた。また、5-FU+CDDPとの併用により腫瘍内葉酸量の増加がみられた。さらに、血中濃度のCDDP処理では、細胞内free CDDPは検出されず、Fasの発現量の増加がみられ、caspase-8, cytochrome c, caspase-3活性化によるアポトーシスの誘導が認められた。CDDPのeffectorの作用として、細胞膜受容体依存性アポトーシス(type II)の誘導の可能性が示唆された。

抗癌剤によるアポトーシス誘導の分子生物学的機序の解明

目的:
抗癌剤によるアポトーシス誘導の分子生物学的機序を解明し,抗腫瘍効果増強の新たな分子標的を検索する。
方法:
胃癌細胞をモデルとして,抗癌剤によるアポトーシス誘導の分子レベルの解析を行う.すなわち,アポトー シス誘導には誘導関連遺伝子の活性化が必要であり,特にBax遺伝子の活性化に収束してミトコンドリアからのチトクロームCの放出によるcaspase 3の活性化の経路が考えられる.しかしながら,チトクロームCの放出は唯一のものではなく,caspase非依存性の経路も示唆されている.実際に,胃癌の系でチトクロームCの発現およびcaspaseの活性化の有無について検討する.さらに,caspase非依存性経路,セリンプロテアーゼの活性化の有無も検討する.また,death receptorを介する経路(caspase 8)の活性化の関与についても解析する.経過:システイン、およびセリンプロテアセーゼ阻害剤を用いた検討では、ADM, SN-38, CDDPの抗腫瘍効果が汎カスパーゼ阻害剤により抑制された。一方、カスパーゼ1阻害剤では抑制されなかった。caspase 3阻害剤では、VP-16, SN-38の抗腫瘍効果が抑制された。一方、TLCK処理では、ADM, SN-38, CDDP, 5-FUの抗腫瘍効果が抑制されたが、TPCKでは抑制されなかった。これらプロテアセーゼ阻害剤はチトクロームCの放出に影響を与えず、抑制効果は部分的であった。抗癌剤によるアポトーシス誘導に、システインプロテアセーゼのみならずセリンプロテアセーゼ活性化の関与が示唆された。

抗癌剤耐性克服におけるアポトーシス誘導の意義

目的:
抗癌剤耐性機序の一つに,抗癌剤排出ポンプであるP-gp, MRPの異常膜蛋白の関与が知られており,同時にアポトーシス誘導の低下が報告されている.アポトーシス誘導の低下は,アポトーシス誘導関連遺伝子の活性化低下にともなうシグナル伝達経路の異常と考えられる.そこで,MRP過剰発現耐性細胞を用いて,アポトーシス誘導関連遺伝子導入による抗腫瘍効果増強について検討する。
方法:
多剤耐性を有するMRP過剰発現乳癌細胞で,抗癌剤処理によるアポトーシス抵抗性を検討する.また,アポ トーシス誘導関連遺伝子の発現量低下の有無についても検索する.発現量の低下のみられた誘導関連遺伝子を導入して,アポトーシス誘導による抗腫瘍効果の増強の有無を検討する.以上から,MRP耐性細胞におけるアポトーシス関連遺伝子の発現誘導の意義を検討し,遺伝子導入による耐性克服の可能性について検討する.
経過:
抗癌剤耐性は、アポトーシス耐性に相関しており、アポトーシス誘導関連遺伝子bcl-Xsの導入により感受性の増強がみられた。
MRP抑制剤BSO処理でも感受性の増強が認めれたが、bcl-Xsの導入の方が優れていた。bcl-Xs導入細胞株でのBSO処理では、親株と同等の感受性の回復が認められ、抗癌剤感受性規定に細胞内抗癌剤濃度とともにアポトーシス誘導シグナル伝達の重要性が示唆された。

抗癌剤によるアポトーシス誘導での細胞膜受容体依存性経路の意義

目的:
抗癌剤によるアポトーシス誘導経路での細胞膜受容体非依存性経路と依存性経路との関係を解析し、特に依 存性経路の臨床的意義について検討する。
方法:
ヒト乳癌細胞株MDA-MB-231および耐性細胞株を用いて、抗癌剤処理によるアポトーシスの誘導と細胞膜受 容体非依存性と依存性経路の解析を行う。すなわち、抗癌剤処理によるアポトーシス誘導非依存性経路として、Baxを介したcytochrome C, caspase 3の活性化、さらに受容体依存性経路としてのFas受容体, TRAIL受容体(DR4, DR5)の発現、 caspase 8の解析を行う。また、耐性細胞でのこれら受容体非依存性と依存性経路の減弱を解析し、依存性経路の修飾による耐性克服についても検討を行う。
経過:
MMC処理により、DR4, Fasの発現量の増加がみられ、cytochrome C, caspase-8, Baxの活性化とアポトーシスの誘導がみられた。一方、ADM処理では、DR5の発現量の上昇がみられた。Taxol処理では、DR4, 5いずれも発現の上昇はみられず、Fas発現の上昇のみであった。以上から、抗癌剤の種類により、細胞膜受容体依存性経路はDR4, DR5, Fasの関与が異なる可能性が示唆された。

乳癌に対するアンチセンス bcl-2による抗癌剤耐性克服の検討

目的:
抗癌剤耐性におけるアンチセンス bcl-2導入による耐性克服の可能性について検討する。
方法:
抗癌剤耐性機序にアポトーシス抵抗性が知られており、ミトコンドリアでのcytochrome Cの放出抑制にBcl-2の過剰発現が報告されている。乳癌細胞を用いて、アンチセンス bcl-2導入による抗癌剤感受性の増強の有無について検討する。さらに、臨床耐性腫瘍でのBcl-2の過剰発現を免疫組織学的染色法で検索する。耐性克服におけるアンチセンス bcl-2の臨床応用の可能性を検討する。
結果:
MDA-MB-231に対するアンチセンス bcl-2(1μM)の処理により、Bcl-2蛋白量は60~70%の減少がみられた。抗癌剤との併用では、MMC, Taxolの感受性がそれぞれ1.9, 1.5倍増加し、感受性の増強はアポトーシス誘導に一致していた。また、bcl-2およびbcl-XL両方の抑制では、アンチセンス単独でほぼ100%の増殖抑制効果がみられた。

乳癌に対するアンチセンスHER-2による抗癌剤感受性増強の検討

目的:
アンチセンスHER-2を用いたHER-2蛋白の抑制により、抗癌剤との併用効果の分子生物学的機序を解析する。
方法:
HER-2過剰発現乳癌細胞を用いて、アンチセンスHER-2による蛋白抑制効果と抗癌剤感受性の変化を検討する。さらに、抗癌剤(アンスラサイクリン系、タキサン系)との併用効果を検討し、その分子生物学的機序を解析する。特に、アポトーシス誘導における細胞膜受容体依存性経路の修飾の関与と、他の耐性因子Bcl-2, 膜排出蛋白P-gp, MRPなどへの影響を検討する。
結果:
乳癌細胞BT-474に対するアンチセンスHER-2の蛋白抑制効果は、1μMで60%の減少がみられた。HER-2蛋白量の減少は、Bax, cytochrome C, PARPの活性化からアポトーシスが誘導された。さらに、Bcl-2蛋白が60~50%減少し、Akt活性化の抑制が認められた。抗癌剤との併用では、MMC(5.6倍), ADM (20.6倍), TXL (10.8倍), TXT (4.0倍)の感受性の増加がみられた。アンチセンスHER-2処理による抗癌剤感受性の増強の機序に、proapoptotic proteinの誘導、antiapoptotic proteinの減少の関与が示唆された。

乳癌に対する内分泌化学療法の基礎的検討

目的:
乳癌に対するタモキシフェン投与の化学療法の効果に及ぼす影響について検討する。
方法:
乳癌細胞を用いて、タモキシフェン投与によるBcl-2の発現量増大の有無について検討し、前投与あるいは 同時投与でのBcl-2蛋白の抗癌剤感受性に及ぼす効果について検討する。Bcl-2蛋白の発現は、ウエスタン法で、抗癌剤感受性はMTT法で行う。
結果:
乳癌細胞MCF-7では、タモキシフェン処理によりBcl-2蛋白の減少がみられ、E2処理ではBcl-2蛋白の増加とアポトーシス誘導因子の減少が認められた。E2処理では、抗癌剤感受性は低下し、閉経前でのTAM投与によるE2の増加による抗腫瘍効果の低下の可能性が示唆された。

乳癌に対する新規膜輸送蛋白BCRPの臨床的意義

目的:
新規膜輸送蛋白BCRPの乳癌耐性への基礎的および臨床的意義の検討を行う。
方法:
抗癌剤耐性乳癌臨床検体でのBCRP蛋白発現を免疫組織学的染色法で行う。さらに、in vitroでの抗癌剤耐性乳癌細胞でのBCRP蛋白の発現とBCRP遺伝子修飾による抗腫瘍効果増強の可能性を検討する。すなわち、BCRP遺伝子導入あるいはアンチセンスBCRPによる抗癌剤感受性の変化を検討し、その臨床的意義を解明する。また、他の抗癌剤排出膜蛋白P-gp, MRPとの関連性および生物学的相違についても比較検討する。
結果:
ヒト乳癌細胞5株の抗癌剤感受性とBCRPのmRNAの発現の検討では、ADMの感受性はABCトランスポーター遺伝子発現と密接に関連していることが示唆された。BCRP発現細胞では、5-FU感受性の低下がみられた。MMC, TXLの感受性は、ABCトタンスポーター以外の因子の関与が考えられた。

乳癌に対するセンチネルリンパ節生検と微小転移の解析

目的:
乳癌に対するセンチネルリンパ節生検とリンパ節転移陰性例における微少転移の臨床的意義を検討する。
方法:
乳癌に対して99m-Tc-HSAおよびTin-colloid、Phytateでのリンフォシンチグラフィーと色素法を用いたセンチネルリンパ節生検を施行し、その転移陰性予測率および偽陰性率を検討する。さらに、H-E法でセンチネルリンパ節陰性と判定された症例で、サイトケラチン19(CK19), MUC1, CEAの微少転移マーカーを用い、RT-PCRおよび免疫組織学的染色法で微少転移の検討を行う。また、微少転移マーカーの陽性と臨床経過との関連を検討する。
結果:
99m-Tc-HSAおよびTin-colloidを用いたリンフォシンチグラフィーによるセンチネルリンパ節マッピングは、internal mammary nodeに流入する頻度が20%程度にみられた。H-E法でセンチネルリンパ節陰性と判定された症例での微少転移は非常にまれであり、その臨床的影響は無視できる可能性が示唆された。

乳癌における骨髄微小転移とその臨床的意義

目的:
乳癌手術時の骨髄微少転移の存在とその臨床的意義、さらにそれを標的とした補助化学療法の有効性について検討する。
方法:
乳癌患者で、手術時胸骨より骨髄液を採取し、RT-PCRおよび免疫組織学的染色法にて、骨髄中の微少転移の有無について検討する。微少転移マーカーして、骨髄中でのH-E 染色での癌細胞の有無、さらに、CK19, MUC1, CEAでの発現を検討する。さらに、リンフォシンチグラフィーでのinternal mammary glandへの流入との相関についても検討する。微少骨髄転移を標的とした補助化学療法のレジメンについても検討する。
結果:
センチネルリンパ節陰性と判定された症例でも、骨髄微少転移が認められるものがあり、その臨床的意義(予後)に関して、さらに検討を進めている。

甲状腺未分化癌に対する遺伝子治療の基礎的検討

目的:
甲状腺未分化癌は、予後不良であり、化学療法にも奏効しない。アンチセンスBcl-2, HER-2処理による抗腫瘍効果の増強について検討する。
方法:
甲状腺未分化癌細胞8503Cを用いて、in vitroでのアンチセンスBcl-2, HER-2による抗腫瘍効果の増強について検討する。遺伝子導入は、リポフェクション法で行い、抗腫瘍効果はMTT法で判定、アポトーシスの誘導はDNAの断片化で判定する。甲状腺未分化癌に対する治療効果増強の可能性を検討する。
結果:
8503Cに対するアンチセンスBcl-2, HER-2処理により、抗癌剤ADM, MMC, CDDP, 5-FU, TXL, TXTのいずれの抗癌剤に対しても感受性の増加が認められた。アンチセンスHER-2処理の方が感受性の増加が大であった。アンチセンスBcl-2処理により、Bcl-2の減少、caspase-8, cytochrome C, caspase-3の活性化がみられ、アポトーシスが誘導された。アンチセンスHER-2処理でも、Bcl-2の減少、Bax, Fas, caspase-8, cytochrome Cの活性化がみられた。

胃癌細胞に対するアンチセンスHER-2による抗癌剤感受性増強の検討

目的:
胃癌細胞を用いて、アンチセンスHER-2処理による抗癌剤感受性増強の有無を検討する。
方法:
胃癌細胞MKN45を用いて、アンチセンスHER-2による蛋白抑制効果と抗癌剤感受性の変化を検討する。さらに、抗癌剤との併用効果を検討し、その分子生物学的機序を解析する。

再発・進行乳癌に対するpaclitaxel weekly投与の至適投与量の検討

目的:
再発・進行乳癌に対するpaclitaxel weekly投与の至適投与量と安全性を検討する。
方法:
投与スケジュールは,1カ月を1サイクルとして60?80mg/m2を3週間連続、1週休薬でshort premedicationの後,1時間で点滴静注する。
経過:
現在、phaseI studyとして,Step1(60mg/m2), Step2(70mg/m2)が終了し,Step4(90mg/m2)まで進んでおり,最終段階を迎えている。

再発・進行乳癌に対するweekly paclitaxelとUFTの至適投与量の検討

目的:
再発・進行乳癌に対するpaclitaxel weekly投与とUFTの併用療法における安全性および効果について増量試験により検討する.
方法:
投与スケジュールは,1カ月を1サイクルとして60?80mg/m2を3週間連続、1週休薬でshort premedicationの後,1時間で点滴静注する.UFTは,第1日より3週間連日経口投与し,1週間休薬する。
経過:
既に,phaseI studyが終了し,推奨用量は,Paclotaxel 70mg/m2, UFT 400mg/bodyとなった。現在,phaseII studyが開始され、進行中である。

40歳以上を対象にしたマンモグラフィ併用検診の成績と問題点

目的:
乳癌検診の発見感度を高める目的で,平成9年4月よりスクリーニングマンモグラフィ(SMG)を導入した乳癌検診を行い、その成績と問題点につき検討する.
方法:
対象は,広島原対協健康管理・増進センターを訪れた乳癌検診受診者のうち,40歳以上の希望者で,SMGの撮影は斜側一方向(MLO)で行う.
経過:
SMGを施行した受診者は,平成9年度,10年度でそれぞれ1900人,1745人で,要精検者数はそれぞれ450人,339人(要精検率はそれぞれ23.7%,19.4%)であった.乳癌発見率は,それぞれ0.63%,0.80%であった.施設検診で40歳以上の希望者という対象でbiasはかかっているものの,乳癌発見率は0.63%,0.80%と高率であり,SMG併用検診の有用性が示唆された。しかし,費用・効果比を考慮すると,要精検率が,適正とされる5%前後よりかなり高いことが問題であった.平成11年度よりdouble check方式にて読影を行うことで、精検率が。10%強に改善された.現在、対象者を絞り込むため乳癌のhigh risk groupにおける発見率の検討を行っている。厚生労働省の打ち出したマンモグラフィを併用した乳がん検診の裏づけとなる貴重なデータを提供できると思われる。

乳癌患者を対象にした色素法およびラジオアイソトープ(RI)標識法によるセンチネルリンパ節同定法に基づいたリンパ節郭清法の開発

目的:
乳癌におけるセンチネルリンパ節(SN)の簡便かつ正確な同定法を開発する
方法:
N0乳癌患者を対象に色素法とγ-probe法を併用して行っている。色素法は、 インジゴカルミン3-5mlを腫瘍直上皮下1カ所に注入しマッサージは行わない.投与後5?15分で,sentinel nodeに到達するように切開,皮下切離を行う.γプローブ法は,原則として手術前日(月,水)の3p.m.に RIセンターにて皮内に注入することとし、RIの種類は99mTc-フチン酸18.5MBq生食0.25mlを23G針で腫瘍直上の皮内1カ所に注入する(* 第一ラジオアイソトープ研究所).投与 後40分(5分毎),2時間後にリンパ管シンチグラフィを行う。
経過:
色素法とγプローブ法併用によるsentinel nodeの同定率は98%以上に向上し, false negative rateは6.7%となり臨床における実施に向け準備が整いつつある.

乳癌患者を対象にしセンチネルリンパ節,抹消血および骨髄のmicrometastasisの臨床的意義に関する研究

目的:
乳癌において同定されたセンチネルリンパ節(SN)および骨髄へのmicrometastasisの臨床病理学的意義を確立することを目指してに以下の検討を行った。
方法:
臨床的にN0乳癌と診断され,インジゴカルミンを用いた色素法とγプローブ法を併用したセンチネルリンパ節生検(SNB)を行った症例を対象に,同定し摘出したセンチネルリンパ節,術前,術中末梢血,腸骨から採取した骨髄液について以下の方法でmicrometastasisiを検索する。具体的には,検体からtotal RNAを抽出した後,定量的RT-PCRに供する。PCRにはCEA,Mammaglobin(MMG)をマーカーとして用い,GAPDHをコントロールとして検出する。
経過:
検出限界はCEA, MMGともに107個の単核細胞中1個のがん細胞を検出可能であった。術中末梢血はCEA, MMGともに陽性率が高く,有用なマーカーとはいえず,術前末梢血,骨髄は単独または両者を組み合わせることで,リンパ節転移の有無と強い相関性が認められた。SNのPCRによるmicrometastasisの検索はH&E、捺印細胞診よりも転移陽性の頻度は高かったが,PCRのみでSN転移陽性の症例ではほとんど骨髄のPCRでも陽性であった。

超音波ガイド下吸引細胞診,core-needle生検の導入による診断技術の向上

目的:
乳腺腫瘤の良悪性判定の精度向上と,エコーでのみ描出される非触知病変, 嚢胞内腫瘍,微小娘結節,乳管内進展巣などの診断を可能にするため,超音波ガイド下吸引細胞診を導入し診断技術の向上をはかる.また,neoadjuvant chemotherapyの効果判定,薬剤規定因子の探索のための検体採取とopen biopsyの頻度を減す目的でcore-needle生検を導入し,診療の効率化をはかる。
方法:
超音波で病変を描出しながら23G注射針で穿刺吸引する.検体をスライドグラスに吹き付け,さらに注射針の洗浄液も細胞診に提出.診断はパパニコロウ染色とギムザ染色にておこなった.Core-needle生検は超音波ガイド下に16Gの生検針を用いて行う。
経過:
超音波ガイド下吸引細胞診は1998年9月より導入した.当初の正診率,感度はそれぞれ87.1%,81.8%で従来の触診のみによる吸引細胞診よりも向上した.また、最近ではシステムの面でも中検病理の協力のもとcytologistが必ず検体処理に立ち会うこととし、その後症例を重ね現時点での正診率,感度はそれぞれ94.7%,93.3%にまで向上している.穿刺可能な最小腫瘤径は超音波画像上5mmである.超音波画像でリアルタイムに注射針先端の位置を確認できるため,嚢胞壁の小さな隆起性病変のみを穿刺したり,カラードップラーを併用して血管 を避けて穿刺することも可能になった.エコーでのみ描出される非触知病変の診断では,乳管内進展が疑われる内径約3,4mmの乳管拡張部,長径5mm程度の娘結節の穿刺も正確に行えるようになり,近年増加傾向にある乳房温存術の切除範囲の決定に貢献している.

乳癌患者を対象にした色素法およびラジオアイソトープ(RI)標識法によるsentinel lymph nodes (前哨リンパ節)同定法に基づいたリンパ節郭清法の開発

目的:
乳癌におけるセンチネルリンパ節(SN)の簡便かつ正確な同定法を開発する
方法:
N0乳癌患者を対象に色素法とγ-probe法を併用して行っている。色素法は、 インジゴカルミン3-5mlを腫瘍直上皮下1カ所に注入しマッサージは行わない.投与後5?15分で,sentinel nodeに到達するように切開,皮下切離を行う.γプローブ法は,原則として手術前日(月,水)の3p.m.に RIセンターにて皮内に注入することとし、RIの種類は99mTc-フチン酸18.5MBq生食0.25mlを23G針で腫瘍直上の皮内1カ所に注入する(* 第一ラジオアイソトープ研究所).投与 後40分(5分毎),2時間後にリンパ管シンチグラフィを行う。
経過:
色素法とγプローブ法併用によるsentinel nodeの同定率は96%以上に向上し, false negative rateは6%となり臨床における実施に向け準備が整いつつある.

乳癌患者を対象にしたsentinel lymph nodes (前哨リンパ節),抹消血および骨髄のmicrometastasisの臨床的意義に関する研究

目的:
乳癌において同定されたセンチネルリンパ節(SN)および骨髄へのmicrometastasisの臨床病理学的意義を確立することを目指してに以下の検討を行った。
方法:
臨床的にN0乳癌と診断され,インジゴカルミンを用いた色素法とγプローブ法を併用したセンチネルリンパ節生検(SNB)を行った症例を対象に,同定し摘出したセンチネルリンパ節,術前,術中末梢血,腸骨から採取した骨髄液について以下の方法でmicrometastasisiを検索する。具体的には,検体からtotal RNAを抽出した後,定量的RT-PCRに供する。PCRにはCEA,Mammaglobin(MMG)をマーカーとして用い,GAPDHをコントロールとして検出する。
経過:
検出限界はCEA, MMGともに107個の単核細胞中1個のがん細胞を検出可能であった。術中末梢血はCEA, MMGともに陽性率が高く,有用なマーカーとはいえず,術前末梢血,骨髄は単独または両者を組み合わせることで,リンパ節転移の有無と強い相関性が認められた。SNのPCRによるmicrometastasisの検索はH&E,捺印細胞診よりも転移陽性の頻度は高かったが,PCRのみでSN転移陽性の症例ではほとんど骨髄のPCRでも陽性であった。

超音波ガイド下吸引細胞診,core-needle生検の導入による診断技術の向上

目的:
乳腺腫瘤の良悪性判定の精度向上と,エコーでのみ描出される非触知病変, 嚢胞内腫瘍,微小娘結節,乳管内進展巣などの診断を可能にするため,超音波ガイド下吸引細胞診を導入し診断技術の向上をはかる.また,neoadjuvant chemotherapyの効果判定,薬剤規定因子の探索のための検体採取とopen biopsyの頻度を減す目的でcore-needle生検を導入し,診療の効率化をはかる。
方法:
超音波で病変を描出しながら23G注射針で穿刺吸引する.検体をスライドグラスに吹き付け,さらに注射針の洗浄液も細胞診に提出.診断はパパニコロウ染色とギムザ染色にておこなった.Core-needle生検は超音波ガイド下に16Gの生検針を用いて行う。
経過:
超音波ガイド下吸引細胞診は1998年9月より導入した.当初の正診率,感度はそれぞれ87.1%,81.8%で従 来の触診のみによる吸引細胞診よりも向上した.その後症例を重ね現時点での正診率,感度はそれぞれ94.7%,93.3%にまで向上している.穿刺可能な最小腫瘤径は超音波画像上5mmである.超音波画像でリアルタイムに注射針先端の位置を確認できるため,嚢胞壁の小さな隆起性病変のみを穿刺したり,カラードップラーを併用して血管 を避けて穿刺することも可能になった.エコーでのみ描出される非触知病変の診断では,乳管内進展が疑われる内径約3,4mmの乳管拡張部,長径5mm程度の娘結節の穿刺も正確に行えるようになり,近年増加傾向にある乳房温存術の切除範囲の決定に貢献している.

手術侵襲と癌転移に関する研究

手術を契機として癌が増大する現象は以前より知られており,われわれはこの現象に活性酸素が関与し,ラジカルスカベンジャーにより転移を抑制しうることをラットモデルで示してきた。今後,サイトカインなどの炎症性メディエータや好中球を介する転移促進のメカニズムをさらに解析し,これらを制御することにより,侵襲による転移を抑制する臨床応用可能な方法を探索する。

蛍光ビーズを用いたセンチネルリンパ節(SN)同定の研究

食道癌においてsentinel node conceptが成立するならば,リンパ節郭清の縮小や省略による縮小手術の可能性が開かれ,患者負担の軽減と術後合併症の減少が期待できる。胸腔内リンパ節は炭粉沈着による黒色化で通常の色素法でのSN同定は困難であり,RI法は規制がありどこの施設でも施行可能なわけではない。蛍光ビーズを用いた本法は上記の問題を克服でき,動物実験で安全性が確認されたため,現在,臨床例で有用性を検討中である。

食道癌に対する集学的治療に関する研究

食道癌に対する集学的治療の有効性は未だ確立していない。また、集学的治療の施行時期についても、手術後が一般的であるが理論的根拠はない。われわれは、術後3ヵ月に、intensive chemo-radiotherapyを施行することにより、complianceの向上をはかり、予後の向上に寄与するのではないかと考え現在pilot studyを行っている。今後、TS-1+radiation, NDP+CDDP+5FUなどのintensive chemo-radiotherapyのstudyを行いたいと考えている。

進行食道癌に対する術前化学放射線療法の有効性と安全性に関する研究

近年欧米を中心に術前化学放射線療法の有効性が示され,当科においては,T4の疑われる例および複数個とくに2領域以上にリンパ節転移がまたがる例を適応として術前化学放射線療法を施行している。治療成績のみならず,術前の至適照射量,手術までの至適期間,術後合併症・術後経過への影響など,未だ明らかになっていない点についても検討を行っている。

切除不能進行食道癌に対する化学放射線療法の臨床第I/II相試験

これまで切除不能進行食道癌に対し,CDDP+5FUを併用した化学放射線療法を行ってきたが,奏功率は65%前後と満足のいく結果は得られていない。そこでDocetaxelと5FUを併用した新しい化学放射線療法のレジメンを作成し,現在臨床第I/II相試験を進行中である。

手術侵襲に対する生体反応の制御に関する研究

食道癌手術などの過大侵襲が生体に加わると生体は過剰反応を示し,高サイトカイン血症,全身性炎症反応症候群(SIRS)の状態となる。SIRSは多臓器不全(MOF)の準備状態とも考えられ,術後合併症などのsecond attackが加わると容易にMOFへと移行する。食道癌手術の周術期にステロイド,プロテアーゼインヒビターなどの薬剤を投与し,血中IL-6, IL-8, IL-10濃度の変化と人工呼吸管理期間や術後合併症の頻度などの術後経過,および長期予後に与える影響について検討している。

GFP遺伝子導入癌細胞を用いた癌転移モデルを用いた研究

GFP (green fluorescent protein)は発光オワンクラゲ由来の緑色蛍光蛋白質で,生体内での細胞標識に応用可能である。これを遺伝子導入し標識した癌細胞を用いることにより,従来の癌転移モデルよりも詳細に生体内での癌細胞の増殖,転移を観察することが可能となる。このGFPシステムを応用した癌転移モデル(尾静脈投与,同所性移植)を確立し,将来的には薬剤の転移予防効果,治療効果を判定するために用いる予定である。

食道癌周術期における栄養管理に関する研究

食道癌患者においては術前より経口摂取困難な症例が多く、手術時すでに低栄養状態となっている場合が少なくない。さらに過大な手術侵襲が加わるうえに7日間前後の絶飲食期間を乗り切らなければならないため、栄養管理には細心の注意を要する。食道癌周術期における脂肪乳剤投与の効果や経管栄養の有用性につき検討している。

肝癌に対する経皮的低出力マイクロ波凝固療法

肝腫瘍凝固療法は、原発性肝癌に対する低侵襲治療として広く認められつつある。我々は、マイクロ波凝固療法用の細径の深部電極針を開発し、低出力での凝固効果を確認した。この方法を、原発性、再発性肝癌に対しては低侵襲治療として、転移性肝癌に対しては集学的治療の一環として施行している。原発性肝癌20例、再発肝癌11例、転移性肝癌12例に施行し、現在も症例を重ねている。

肝細胞癌に対する動注化学療法

肝細胞癌に対する治療として、系統的肝切除術、局所凝固療法、化学塞栓療法などが腫瘍の数や大きさ背景肝の機能に応じて選択されているが、いずれの治療法に対しても抵抗性となった症例を経験する。我々は、インターフェロンαの週三回の皮下注と5-FUの持続動注を組み合わせた化学療法を治療抵抗性肝癌に対して施行している。この際に、末梢血単核球の各種細胞表面マーカーやLAK活性NK活性を測定し、本療法の免疫系への関与を調べている。

機能温存胃切除術における残胃機能の検討

胃癌に手術においても迷走神経温存胃切除術、幽門輪温存胃切除術など機能温存手術が行われるようになり、術後愁訴や体重減少に有効であるという報告は認められるものの、科学的に本術式の有用性を検討した論文は少ない。我々は胃切除術術後に腹部超音波をもちいて胃の拡張の排泄能、十二指腸胃逆流につき検討を行っている。また同時に13Cやカプセル法による直接間接胃排泄試験を行い機能温存胃切除術と従来の胃切除術の残胃機能の検討を行っている。

非小細胞肺癌に対する術後補助化学療法の検討

目的:
stage II, IIIA の非小細胞肺癌の治癒切除症例の予後は不良であるが,現在まで、術後補助化学療法の有用性を示した報告は少ない。外来にて投与可能である carboplatin と weekly paclitaxel 併用補助療法の有用性を検討する.feasibility study の後に,術後補助化学療法として無治療群と比較する.
方法:
非小細胞肺癌に標準的根治術がなされて術後に病理学的にリンパ節転移陽性が判明した症例に対し,feasibility study の後に,carboplatin とweekly paclitaxel 併用療法の術後補助化学療法を施行した群と無治療群を prospective に比較する.
経過:
現在,feasibility study を施行中である.

胸腔鏡下手術を併用した肺癌に対する minimally invasive sentinel node navigated surgery

目的
方法:
胸腔鏡下手術は minimally invasive surgeryとして近年非常に注目されている手術法である。われわれは,肺癌,前縦隔の胸腺腫,後縦隔の神経原性腫瘍,食道の良性腫瘍などの縦隔腫瘍,胸膜中皮腫の診断に対して胸腔鏡下の切除を施行している.また、色素の腫瘍周囲への注入、CEA など腫瘍特異的な抗体による免疫染色、抗腫瘍免疫反応の遺伝子解析などにより,sentinel lymphnode の存在を明らかにする.そして胸腔鏡を用いた低侵襲手術と sentinel lymphnode を 迅速病理検査にて判定することを組み合わせてリンパ節郭清範囲の縮小を図る.
経過:
現在,肺癌に対する標準的肺葉切除術の際メチレンブルー、インドシアニングリーンを注入することにより sentinel lymphnode の存在について検討している.

肺癌および乳癌における免疫学的手法によるセンチネルリンパ節の検索と解析およびその臨床応用

Sentinel node navigation surgery (SNNS)は,縮小手術を目指した癌手術の理論的背景となる新しいconceptであり,乳癌ではすでに臨床応用されている。しかし肺癌の領域では色素法やRI法が実用困難なため、センチネルコンセプトはいまだ確立されていない。乳癌の郭清リンパ節を用いて、リンパ球表面マーカーの免疫染色や腫瘍障害性リンパ球の遺伝子解析により、センチネルリンパ節の免疫学的特徴を検討するとともに、肺癌におけるセンチネルリンパ節の検索に応用する。

腫瘍特異的T細胞受容体遺伝子導入による腫瘍免疫療法への応用

近年、癌抗原が同定され癌に対する特異的免疫療法が始められている。癌抗原を認識し癌細胞を破壊する腫瘍障害性T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)によって腫瘍を認識する。そこでTCR遺伝子をリンパ球に遺伝子導入し腫瘍免疫療法に応用する。 経過:腫瘍抗原の一つであるHER2抗原に対する腫瘍障害性T細胞を誘導しそのTCR遺伝子を同定、再構築した。今後、このTCR遺伝子をリンパ球に遺伝子導入し、腫瘍障害性の増強を確認し、臨床応用を目指す。また、癌抗原の多様性に適応できるよう、種々の腫瘍抗原に対するTCRの同定を試みる。

Sentinel node navigation surgery (SNNS)は,縮小手術を目指した癌手術の理論的背景となる新しいconceptであり,乳癌ではすでに臨床応用されている。しかし肺癌の領域では色素法やRI法が実用困難なため、センチネルコンセプトはいまだ確立されていない。乳癌の郭清リンパ節を用いて、リンパ球表面マーカーの免疫染色や腫瘍障害性リンパ球の遺伝子解析により、センチネルリンパ節の免疫学的特徴を検討するとともに、肺癌におけるセンチネルリンパ節の検索に応用する。
広島大学腫瘍外科フェイスブック メディア掲載情報 第93回中国四国外科学会総会、第23回中国四国内視鏡外科研究会

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