体外式超音波による消化管診断

体外式超音波検査は特に特殊な前処置を必要とせず、非侵襲的であり、簡便である事から急性腹症などの第一選択とされます。特に同検査では、貫壁性の情報が得られ消化管の層構造の状態などの把握に非常に有用であると考えられます。前処置は基本的には不要ですが、病変を詳しく観察する場合には200ml〜400mlの飲水をしてもらいます。そうする事により、消化管の前後壁の分離が良好となり明瞭な画像となります。

図1
図1に2型進行胃癌症例の超音波画像を示しますが、400mlの飲水により、後壁の病変が非常に明瞭に描出されています。

消化管の判定基準には横断像、縦断像のいずれにおいても管腔像が得られる事が挙げられます。内腔には種々の大きさの高エコースポットが認められますが、これがLumen echoになります。また、正常の場合消化管の圧迫により、容易にその形状が変化する事も重要です。

正常の消化管壁のシェーマを図2に示しますが、検査に際してこの中のどの部位に病変の主座があるか検討する事が重要になります。また、消化管の異常像の判定には図3の7項目が重要です。我々はこれらの所見から病変を見つけ出し炎症か腫瘍か、保存的治療で待てるのかあるいは手術が必要なのか、決定する際の参考にしています。

図2
図3

図4
例えば、図4は急性胃粘膜病変の超音波画像ですが、粘膜下層を中心とした胃壁のびまん性肥厚を認めています。この病変はプローベで圧迫した場合、容易に変形し、また飲水による胃壁の伸展性は良好で筋層の肥厚は認められない事からスキルス胃癌の像と容易に鑑別できます。
小腸・大腸の観察の場合多くは前処置を必要といたしません。但し、小さな病変の観察目的の場合、ゴライテリー液を飲用すると前述した様に前後壁とも明瞭に描出されます。また、鎮痙剤の注射も通常は施行致しません。

図5に急性虫垂炎のエコー像を、図6に憩室炎のエコー像を供覧致します。

図5
図6

従来、消化管病変においては、X線、内視鏡診断が主流であり、体外式超音波診断は、管腔内ガスの存在が観察の妨げとなり、十分な評価が困難であるとされていました。しかし、近年、超音波診断装置の進歩や描出法の工夫により、十分な質的診断が得られるようになってきています。