酸関連疾患

胃酸に関連しているとされてきた胃潰瘍や十二指腸潰瘍も、ピロリ菌と強く関連していることがわかってきました。つまり、ピロリ菌を除菌することで胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発率が極端に低下することが解ってきたのです。2003年4月には、厚生労働省研究班(当教室も検討作業に参加協力しました)により「胃潰瘍診療に基づく診療ガイドライン」が作製、発刊されました。その後、2007年4月第2版に改訂され、日本消化器病学会より「消化性潰瘍診療ガイドライン」が発刊され、その中では、ピロリ菌除菌療法の有用性が強調されています。

 

一方、近年若年者のピロリ菌感染率は減少傾向にあります。

ピロリ菌に関連する疾患も次第に減ってくる可能性があります。その一方で、ピロリ菌に関連しない疾患が増加することが懸念されますが、その代表例は胃食道逆流症(GERD)です。研究室ではGERDの成因に関する研究や、疫学的検討も行っています。

さらに、胃酸分泌に強く関連する消化管ホルモン「ガストリン」に関する研究も、本研究室の柱のひとつです。本教室のガストリン研究は、非常に長い歴史があり、三好教授、梶山教授時代を経て、茶山教授時代に受け継がれています。現在もガストリンについての基礎的のみならず、ガストリンが潰瘍、癌に及ぼす影響、その臨床応用まで、幅広く研究が続けられています。また、国内のみならず、欧米の研究機関と広く共同研究をおこなっています。

胃食道逆流症

従来、胃食道逆流症は欧米には多く、本邦では少ないと考えられていましたが、近年その頻度の増加が報告されています。実際、1970年代にはその頻度は3%前後であったものが最近の報告では15%を越えるまでに至っています。また、欧米からの報告によると重度の長期間にわたる逆流症状を有する患者は43.5倍もの頻度で食道腺癌に罹り易い事が指摘されており、胃食道逆流症は近年注目を浴びている疾患の一つとなっています。
胃食道逆流症の病態については、食道裂孔ヘルニアの関与だけでなく、下部食道括約部(LES)の圧の低下や、食道・胃運動機能の低下、食道粘膜の抵抗性の減弱、さらに最近ではHelicobacter pylori (H. pylori)感染、内臓知覚等さまざまな因子の関与が指摘されています。
治療関しては酸分泌抑制剤が主体であり、更に胃食道逆流症は慢性疾患であり症状のコントロール、合併症予防のためには継続治療が必要である事を考えると、プロトンポンプ・インヒビター(PPI)が最も効果が高く、また費用対効果にも優れているとされています。しかしながら、PPI投薬中の夜間に1時間以上胃内pHが4未満になる現象(Nocturnal gastric acid break through)があり、 PPI抵抗性胃食道逆流症逆の一つの要因と考えられています。
また、近年、内視鏡所見の認められない胃食道逆流症はPPIに対する効果が内視鏡所見のある胃食道逆流症に比べて低いとされており、その病態および治療法が注目されています。