今後の活動(2010年度)

2010年度HINDAS第2回特別研究集会
講演要旨


テーマ 「21世紀の大国・インドをどう見るか」
日時 2010年11月26日(金)13時30分〜
場所  広島大学中央図書館1階ライブラリーホール(東広島キャンパス)


講演1 13時50分〜14時50分
堀本武功(尚美学園大学大学院教授)
「大国化するインド—政治的現状と今後」

 インドが急速に大国化の道を歩んでいる。米国はインド存在を認知し、NPT(核拡散防止条約)非加盟にもかかわらず、米印原子力協力を進めたし、2008年から動き出したG8に代わる経済サミットG20にはインドも構成員となった。11月初旬に訪印したオバマ大統領は、米国として初めて、インドの安全保障理事会常任理事国入りに支持を表明した。
 事実、インドは、2008年時点で、GDPで世界12位、防衛費で第10位と総合的な国力を高めつつある。いわば、「富国強兵」政策を展開しているのである。しかし、全てが順調に推移しているわけではない。民主的政治が不動だとしても、経済格差は依然として改善されず、国内における極左暴力運動やイスラームテロの根因ともなっている。外交でも、中国とのアンビバレントな関係にあるほか、隣国パキスタンとは常に緊張含みである。
 インドは、民主主義体制下で持続可能な発展を遂げようとしており、中国とは明らかに異なる発展モデルを試行錯誤しているのである。インドがこれに成功すれば、歴史的な快挙となるであろう。




講演2 15時〜16時
柳澤 悠(東京大学名誉教授・東京大学人文社会系研究科次世代人文学開発センター研究員)
「現代インドの経済成長と地域社会・農村社会」

 高度成長を続けるインド経済の中では、グローバリゼーションの流れにのったIT産業が注目されている。しかし、北インドの都市ルディヤーナには、「緑の革命」をへて家屋の建築ブームが続く地域農村社会へ安価な建築用鋼材を生産する、中小企業の鉄鋼企業が多数ある。地域での技術や経営的ノウハウの蓄積のうえに立って地域の農村・都市市場向けに生産する「地域密着型」の産業は、インド経済の中で大きな比重を占めている。インド経済は、本格的な経済自由化が行われる以前の1980年前後に成長率を加速化させたが、その際の重要な基盤となったのは、「緑の革命」で発展した農村地域の市場であった。1990年代以降のインド経済のグローバリゼーションの中でも、技術的に「遅れている」と見られがちな中小・零細企業が、きわめて重要な位置を占めて発展してきた。こうした、草の根のような経済活動の変化を地域社会や農村社会との関係でみることになしに、今後のインドの経済発展を理解することは困難であるといえよう。

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