2012年度HINDAS第4回研究集会 報告

2012年度HINDAS第4回研究集会
日時:2012年11月28日 12:50-14:20
場所:広島大学大学院総合科学研究科 K311

研究会タイトル
学校教育は脱貧困に寄与しているか? ~インドで急増する『就職のための私立教育機関』からの報告


<研究会内容報告>
 本研究会のねらいは,現在インドで急増しつつある,中高等教育修了者向けの私立の教育機関の動向について,Triumphant Institute of Management Education(T.I.M.E.),ウッタル・プラデーシュ(U.P.)州Varanasiセンター経営者・Anupam Raghuvanshi氏による報告をてがかりに検討することであった。
 研究会の冒頭で,研究会の企画者である佐々木宏(広島大学大学院総合科学研究科・准教授)による趣旨説明があった。佐々木は,この研究会は自身が研究代表をつとめる日本学術振興会・科研費補助金研究の成果報告の場であること,科研研究の成果の一つは『就職のための私立教育機関』の野放図な増加の発見であること,このことは「貧困と教育」という観点からみると非常に興味深い現象であること,等々を説明した。
趣旨説明の後,Varanasiにおける『就職のための私立教育機関』の一つであるT.I.M.E センター経営者のRaghuvanshi氏より,近年の『就職のための私立教育機関』の急増の背景,そして彼が経営する学校の現状と課題に関する報告(タイトル:Various Schools or Degrees… Which is the passport for Success ?)があった。Raghuvanshi氏によれば,『就職のための私立教育機関』の増加の背景には,慢性的な高学歴者の就職難のなかでも教育要求の高まりが衰えていないこと,既存の中高等教育機関が学生の就職支援に失敗していること,等があるという。また,Raghuvanshi氏は,私立教育機関のなかには,公教育制度の枠の外にある「無認可校」や情報公開が進んでいない学校等,質において問題のある学校も少なからずあすという問題点も指摘した。Raghuvanshi氏の報告の後,若干の質疑応答があり散会となった。
最後に,本研究会の企画者からコメントを述べておく。このたびは時間的制約のため,タイトルに掲げた「学校教育は脱貧困に寄与しているか?」という問いについて,十分に討論ができなかったことが残念である。しかし,『就職のための私立教育機関』の当事者(現場)からの報告は,公的統計や政府文書からは得られない示唆を多く含んでおり,本研究会は貴重な情報提供の機会になったといえるだろう。(佐々木宏)



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