2012年度HINDAS第2回特別研究集会 報告

2012年度HINDAS第2回特別研究集会
日時:2013330日(日)15:00~
会場:立正大学熊谷校舎 19号館A407
共催:日本地理学会現代南アジア研究グループ研究集会
報 告
杉江あい(名古屋大学・ 院)
「バングラデシュ村落社会のイスラーム化タンガイル県楽師集落の事例を中心に」

<要 旨>

 本発表では、タンガイル県の楽師集落を含む6村のショマージの変遷の事例をもとに、従来のバングラデシュ村落像の再検討を行った。この事例から、①住民の間で、モスク建設が新たなショマージ形成の基準や契機となっていること、②モスクの維持・管理が、ショマージ内の有力者を中心として共同的かつ体系的に行われていること、③維持費納入などモスクの維持・管理への協力や、ムスリムとしての宗教的実践が、ショマージ成員の義務であると同時に条件とされていること、④そうした明確な条件設定と承認が、恒常的に成員を固定化し、結果的に排他的なショマージ形成をもたらしていることが明らかになった。このようなショマージのあり方は、東ベンガル開拓期から継続的に行われてきたモスク建設とムスリムの集団形成が、近現代におけるヒンドゥー人口の減少とムスリム人口の増加によって地理的に拡大、増加したことに加え、政府の政策、および住民生活の近代化、グローバル化が、宗教的活動への投資や取り組みへの意識の増大をもたらしたことによって、いっそう展開されたと考えられるとともに、イスラーム社会一般および南アジアにおけるバングラデシュ村落の固有性として指摘できる。(杉江あい)

<討論内容と座長所見>
 バングラデシュ村落社会は既存研究からも「捉えどころがない」といわれる。報告者はこれについて果敢に挑戦すべく、現地調査によってショマージの変遷を追うことにより、バングラデシュ村落社会の理解に接近した。質疑では楽師集落という調査対象が特殊性を有するのではないかという点や、調査対象地域におけるムスリムとヒンドゥーとの関わりや地理的分布についての質問などが寄せられた。「捉えどころのない」バングラデシュ村落社会を「捉えた」、というところにまでは至っていないものの、このような難問とされる問いに対して積極的に挑戦することは大きな評価に値するであろう。(宇根義己)

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