2013年度HINDAS第4回研究集会 報告

テーマ:インドにおける学術情報と図書館事情
 主催 広島大学現代インド研究センター
 共催 広島大学図書館
日時:2013年8月22日(木) 13時30分~16時15分
場所:広島大学文学研究科1階B153講義室

1. 吉植庄栄(宮城教育大学附属図書館)
「学術情報流通と機関リポジトリ:現状と思想」
(2013.8.1題目を左記のように変更しました)

2. 坂井華奈子(アジア経済研究所図書館)
「デリーにおける学術・専門図書館事情ー社会科学系を中心に」

 本研究集会は、インドの図書館情報およびリポジトリ情報に詳しい日本の専門家を招き、現代インドにおける図書・図書館事情について議論した。なお、本集会は広島大学図書館との共催で実施し、大学と本拠点との協働の試みとなった。
 吉植氏は、日本ではほとんど明らかにされていないと思われる、インドにおける電子ジャーナルの刊行状況や主な機関リポジトリについて紹介し、さらに、機関リポジトリ刊行の背景にある思想を論じた。具体的には、機関リポジトリの刊行には理系出身のライブラリアンが中心となっていることを明らかにした。さらに、インド図書館学の父とされ、「図書館学の五法則」や「コロン分類法」を生み出したS.R.ランガナタンの思想とリポジトリ刊行との関連性が分析された。
 坂井氏は、デリーにおける社会科学系の学術・専門図書館を対象に十館を超える図書館を訪問し、各館の収集資料の概要や資料の収集方法、電子化などの特徴を分析した。これらの図書館では利用資格が限定されているが、公式の招待状などがあれば利用許可を得ることができること、資料の収集に際しては大学教授や研究者などからなる組織化された委員会が選書していること、資料のデジタル管理化が進んでいること、そして資料の電子化が進みつつあるがネットワークのトラブルなどがあり課題が多いことが明らかにされた。また、政府刊行物の電子化やウェブでの政府関係の情報提供が進みつつあるが、それらの把握・保存が図書館界の課題になっていることを示した。坂井氏はこの点について2年間の現地調査を予定しており、氏の今後の展開が期待される。
 報告後の質疑応答では、図書館学の視点から技術的な質問があったほか、現代インドの経済を中心とした社会科学の学術情報およびリポジトリの情報入手方法などについて質問があり、活発な議論が交わされた。両報告とも、日本では不明な点の多いインドの図書館事情を現地調査に基づいて詳細に分析した報告であり、大変貴重な集会となった。(宇根義己)


  

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