2013年度HINDAS第3回特別研究集会 報告

日時:2013年10月6日13:30~16:30 
場所:広島大学大学院文学研究科B204大講義室リテラ
テーマ:「大地からみる南アジア世界―環境へのアプローチを考える」
共催:日本南アジア学会第26回全国大会


概要:
 本集会は、日本南アジア学会第26回全国大会との共催によりシンポジウム形式で開催されたものである。趣旨説明を含めて6つの報告(報告者7名)があり、このうち当拠点構成員から岡橋、浅田、三宅の3名が登壇した。日本南アジア学会は、日本におけるインド・南アジアに関する学術学会において最大規模の組織であり、本企画は同学会との研究交流の点で大きい意味をもつものであったといえる。なお、同大会の実行委員は岡橋秀典委員長をはじめ多くの拠点構成員から成り、本集会(シンポジウム)を中心に全体の企画・運営に関わった。趣旨およびプログラムは以下の通りである。

【趣旨】環境問題への対応、環境との共生は今や世界的な課題である。特に、中国やインドなど急成長する新興国では環境破壊や環境汚染など環境に関わる様々な問題が噴出している。環境にどうアプローチするかは、今日の諸学につきつけられた大きな課題であるといえよう。
 環境はきわめて複雑かつ広範な内容をもつ。自然科学的なアプローチとともに、人文科学からの考察が不可欠な所以である。また、環境が所在する地域のコンテキストも十分にふまえなければならない。この点で、自然、歴史、政治、経済、社会、文化など多様な側面からのアプローチが可能で、それらの総合化を課題とする地域研究には特に期待されるところが大きい。
 しかし、南アジアを対象としたこの方面の研究は未だ十分進展していないのが実状である。それは国立情報学研究所のCINIIで論文検索を行うと明瞭である。題目に「環境問題」と「中国」の両方を含む論文を検索すると461件あるのに対し、「環境問題」と「インド」では24件に過ぎない。日本での研究の進捗状況に圧倒的な差があるように思われる。
 南アジアにおける環境研究に関するまとまった成果としては、柳澤悠編(2002)『現代南アジア 4開発と環境』があげられる。そこでは、農業・家畜・森林と環境変動、都市環境と住民、人口・環境・疾病、持続可能な発展と環境、を軸に考察が行われ、特に環境変動と開発の関連をみるには長期の歴史的分析を要することを強調している。しかしながら、ここでは、自然環境そのもの、環境思想、現代の環境問題などについてはまだ十分な検討が行われていない。そこで本集会では、従来欠けていた視点を意識したプログラムを構成してみた。地域研究からの南アジアの環境研究について議論し、新たな方向性が見いだせれば幸いである。

【プログラム】
趣旨説明  岡橋秀典
松本淳(首都大学東京)・浅田晴久『モンスーン気候と農業』
宮本真二(岡山理科大学)『南アジア地域(ブラマプトラ川流域)の民族移動と土地開発』
山下博司(東北大学)『インドの環境思想と現代―その可能性と限界とをめぐって―』
水野祥子(九州産業大学)『イギリス帝国の森林政策とインドの経験—帝国林学会議(1920-1947)を通して』
三宅博之『現代都市と環境問題』
司会:柳澤 悠(東京大学)・岡橋秀典






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