活動状況

2015年度 HINDAS 第6回 研究集会 報告

【主催】現代インド地域研究 広島大学拠点(HINDAS)

【日時】2016年1月23日(土)14:00〜17:20

【場所】広島大学大学院 文学研究科 1階 大会議室(東広島キャンパス)

【報告】

 岡橋秀典(広島大学)・鍬塚賢太郎(龍谷大学)
  「インドにおけるメガ・リージョン研究の意義と課題」
 

今回の集会の3報告は、ともに現代インドのメガ・リージョンに焦点を当て、特にその空間形態を検証することに力点を置いている。方法的には、District単位の統計データにもとづき、GISを用いてメガ・リージョンの範囲、メガ・リージョンの内部構成を明らかにしようとしている。本報告では、このような実証分析を本格的に推進するために、その前提となるメガ・リージョン研究の意義を確認し、若干の新たな研究動向を紹介し、今後の課題を提示することを目的とした。まず、同様の問題意識をもち、中国を対象として研究している産業集積と地域発展に関する研究を検討した。加藤弘之(2012)や加藤弘之・日置史郎編(2012)で大きな成果をあげているが、そこでは都市集積への関心が相対的に弱いことが明らかとなった。続いて、インドにおいて工業の空間構造を追究しているChakravorty and Lall(2007)“Made in India”をとりあげた。工業立地は既存の主導的工業地域への集中傾向が強いが、その一方でそれらの地域内での分散傾向もあり、「集中的分散化(concentrated decentralization)」の概念が重要であるとの指摘が注目される。経済自由化以降、この動きはさらに強まっているが、その一因として国公営部門の衰退と民間部門の卓越の増加をあげ、集中化の経済〔同一部門の工場〕よりも都市化の経済が重要としている。最後に、我々が新たに設定した実質的メガ・リージョンの範囲にもとづき、各メガ・リージョンの特性を分析した。その結果、デリー・パンジャーブの第1地帯がもっともメガ・リージョンとしての実質性をもつことが確認された。

 

 

 鍬塚賢太郎(龍谷大学)・陳 林(広島大学)
  「国勢調査からみたインドの産業地理とメガ・リージョン」

本報告では,2001年のインド・センサス就業者データ(Bシリーズ)を利用して,ディストリクトを単位地区とした各産業(中分類・小分類)の空間的分布を明らかにした。その上で,メガ・リージョンの内部構造の特徴について考察を加えた。分析にあたっては,インド経済におけるサービス業(第三次産業)の重要性を考慮して,製造業だけでなくサービス業も含めた。なお,本報告ではCultivator, Agricultural Labourersおよび家内製造業部門を除く就業者を分析対象とした。

まずインド・センサスの仕組みを一瞥し,就業者データの集計項目および産業分類(NIC1998)を整理した。そのうえでHHI(ハーフィンダール=ハーシュマン指数)などを用いて,鉱業や製造業において空間的集中度が高いことを確認した。次に単位地区別にLQ(特化係数)を算出し産業集積地の分布を把握した。またエントロピー指数を用いて地域における産業構成の様態を測定し,大都市において多様度が高いことを確認した。

その上で,「夜の光」に基づき抽出されたメガ・リージョン(デリー=パンジャーブ)の内部構造に考察を加えた。当該領域の特徴の一つとして,立地産業に多様性を持つデリー(都市集積)をコアとして,その周辺に,特定の産業に特化するものの多様性に乏しい地域(産業集積)が分布していることを指摘した。

 

 

 宇根義己(金沢大学)
  「工業関連統計からみたインドのメガ・リージョン」

本報告は,事業所を単位とした県別の工業統計を中心に地図化することにより,その分布形態を明らかにするとともに,メガ・リージョンとの関連について論じたものである。メガ・リージョンをテーマとした本研究集会の一連の報告において,本報告は工業事業所の展開に的を絞ったものとして位置づけられる。

報告では,中小零細企業省が公開しているBrief Industrial Profileに掲載しているRegistered Industrial Unit,Total Industrial Unit (非登録企業含む),Registered Medium & Large Unit,Industrial Area,そしてCommercial Bankの各事業所数を県単位で地図化し立地傾向を示すとともに,各統計の一般的傾向,メガ・リージョン間の差異や,メガ・リージョンと非メガ・リージョンの差異等を検討した。その結果,メガ・リージョン内における工業集積の厚みや,南インドにおける面的な工業集積の広がり等を確認することができた。一方で,質疑応答では,データの欠損や一般的な認識と結果との乖離などが部分的にみられること、各統計が対象としているUnitの定義のなど課題も挙げられ,こうした県単位の工業統計は貴重であるが上記の課題も内包していることが示された。

 

 

 

 

                  

 

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