第1期(2010-14)の実績

概要

現代インド地域研究とは

広島大学現代インド研究センターは,人間文化研究機構の地域研究推進事業「現代インド地域研究」の一環として,同機構と広島大学によって2010年度に共同設置された研究拠点です。この事業は当センターのほか,中心拠点の京都大学東京大学国立民族学博物館東京外国語大学龍谷大学の全6拠点を結び,共同して現代インド地域研究拠点の形成とネットワークの構築を進めています。当センターでは,「現代インドの空間構造と社会変動」をテーマに研究しています。

本拠点の目的

インドは,経済自由化政策に転じた1990年代以降,急速な経済発展を遂げてきた。その急成長は世界的な注目を集め,新興経済大国BRICSの一角とみなされている。しかしながら,インドはこれまで,貧困,人口問題,民族紛争,環境破壊,自然災害など多くの重要課題を抱えてきた国であり,それゆえ,これらの諸課題を明確に意識した地域研究を推進し,経済発展にともなう変化とその多様な地域的実態の把握に努める必要がある。残念ながら,日本では現代インドを対象とする研究者は相対的に少なく,研究ネットワークや情報共有システムも未整備なままである。そのため,日本の現代インド地域研究は他地域に関する研究に比べて著しく立ち遅れ,社会の要請に十分応えているとは言えない。

広島大学は過去40年以上にわたり,インドを中心に南アジアの地域研究を継続的に行ってきた。特に,日本学術会議の勧告を受けて学内措置で設立された広島大学総合地誌研究資料センター(平成18年3月廃止)はその中核として,多大な成果をあげてきた。このセンターは,海外地誌研究と地誌情報解析の2分野を軸とし,前者では,フィールドワークにより自然・人文両面にわたる地域研究を行い,後者では,データベースなどの地誌情報の検索システムの開発と地誌学研究のための地理情報システム(GIS)の構築に努めてきた。その結果,インドに関する研究の蓄積や収集資料の集積は日本有数のレベルに達している。当センターは,これらの蓄積を活かして,GISに基づく情報共有システムを新たに整備するとともに,個別研究者を研究ネットワークにより有機的に結びつけ,主に空間的な側面から現代インド地域研究を推進することを目的とする。

研究テーマ

現代インドの空間構造と社会変動

現代インドでは,グローカル化をともなう急速な経済発展にともなって,社会経済空間の変動が著しい。グローバル化,国内市場の拡大と統合,ローカル化の進行が,大都市の急速な発展,地域格差の拡大,経済空間の統合・再編,産業集積の発展など空間構造の大規模な変動をもたらしている。また,これらは同時に都市問題,環境問題など様々な地域問題をも生み出している。このような国土空間の問題は,地理的多様性が大きく地域主義的性格の強い連邦国家・インドの場合には,特に重要な検討課題と言えよう。当センターでは,上述したような複雑化する空間構造を追究するために,地理情報システム(GIS)を用いて空間情報を蓄積し表象するとともに,フィールドワークにもとづく地道な地域研究を実施する。このような作業を通じて,現代インドの基底をなす地域性と地域間関係をグローカルな視点から提示する。

当センターは『現代インドの空間構造と社会変動』をテーマとし,「経済発展と空間構造の変動」,「都市・農村の発展と社会変動」,「地理情報システム(GIS)による空間情報の基礎研究」という3つの研究ユニットに分けて研究を推進する。

研究ユニット(1)「経済発展と空間構造の変動」責任者:友澤和夫

主たる研究領域

  1. 経済発展の動向と地域格差,経済地域構造
  2. 産業の発展と産業立地・産業集積
  3. 州レベルの地域経済発展と地域間関係
  4. 国土集落システム(都市システム)
  5. 人口移動(労働力移動)・物流などの地域間フロー
  6. 国土資源利用
  7. 国土政策 など

研究ユニット(2)「都市・農村の発展と社会変動」責任者:岡橋秀典

主たる研究領域

  1. 大都市の開発と都市問題
  2. 農村の開発と農村問題
  3. 都市農村関係
  4. 移民・労働力移動
  5. 宗教
  6. 教育
  7. 伝統的流通
  8. 文化創造・知識創造
  9. NGO,ローカルガバナンス など

研究ユニット(3)「地理情報システム(GIS)による空間情報の基礎研究」責任者:鍬塚賢太郎

主にセンサス等の統計資料を用いて空間情報データベースの整備を行い,地図化して公表する。

研究プロジェクト

研究計画(2010-14年)

1. 研究活動

  1. 研究会の開催
    「現代インドの空間と社会」研究会を,年6回のペースで開催する。
  2. 研究成果の取りまとめ
    各個人のテーマにもとづき,研究成果を取りまとめるとともに,研究メンバー全員が関わるコアフィールド(共通の研究地域)を設定し,それらの地域に関わる研究成果を統合し動態地誌を完成させる。
  3. 研究成果の発表
    学会の大会において,シンポジウムや特集形式により研究成果を発表する。また,公開セミナーや国際ワークショップを随時開催する。

2. 空間情報データベースの構築とデジタルアトラスの作成

当センターではセンサス等の諸統計資料を収集し,社会経済データベースを作成する。特にVillage(村)単位など,小地域データに力点を置き,大都市圏や農村地域の空間構造を解明する。地理情報システム(GIS)により主題図を作成し,デジタルアトラスとして公表する。

3. 現地調査の実施

以下の目的のために現地調査を実施する。

  1. インドに関する空間情報データベース構築のための統計資料の入手
  2. 研究分担者・協力者によるインドにおけるフィールドワークの実施
  3. 海外の大学との研究交流

4. 若手研究者の育成

教育面においては,本事業で行う現代インドに特化した共同セミナーに協力し,次世代研究者の育成を図る。

メンバー

広島大学現代インド研究センター長・拠点代表

岡橋 秀典 (広島大学大学院文学研究科教授)

現代インド研究センター研究員(拠点構成員・研究分担者)

友澤 和夫 (広島大学大学院文学研究科教授)
マハラジャン・ケシャブ・ラル (広島大学大学院国際協力研究科教授)
由井 義通 (広島大学大学院教育学研究科教授)
佐々木 宏 (広島大学大学院総合科学研究科准教授)
外川 昌彦 (広島大学大学院国際協力研究科准教授)
岩谷 彩子 (広島大学大学院社会科学研究科准教授)
油井 美春 (人間文化研究機構地域研究推進センター研究員・広島大学現代インド研究センター特任助教)

客員研究員(研究分担者)

岡田 亜弥 (名古屋大学大学院国際開発研究科教授)
溝口 常俊 (名古屋大学重要文化財馬場家住宅研究センター招へい教員)
三宅 博之 (北九州市立大学法学部教授)
荒木 一視 (山口大学教育学部教授)
鍬塚 賢太郎 (龍谷大学経営学部准教授)
澤 宗則 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授)
南埜 猛 (兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授)
森 日出樹 (松山東雲女子大学人文科学部教授)
宇根 義己 (金沢大学人間社会研究域人間科学系講師)

活動状況

研究会報告

2014年度

2013年度

2012年度

2011年度

2010年度

これまでの活動

2013年度

2012年度

2011年度

2010年度

2009年度

海外派遣

 

活動ブログ(2010年4月~2014年4月)

頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム(HINDAS関連)

報道されたHINDAS

過去の主な新着情報

その他