1.「平和構築」とは何でしょうか?

 HiPeCがテーマに掲げている「平和構築」とは何でしょうか。必ずしも厳密な定義はありませんが、私たちは平和構築の基本的な意味を、「永続的な平和の実現に必要な社会的基盤を作ること」であると考えています。

 広い意味での平和構築には、全世界で平和を作り上げるために行われているすべての活動が含まれています。平和構築の担い手も多様です。紛争地の人々みずからによる平和構築活動もありますし、それを助けるために行われる国際社会による平和構築支援活動もあります。平和構築では、国際機関や政府機関だけではなく、NGOなどの民間団体も重要な役割を担っています。

 「平和構築の能力開発における実務と教育研究の連携を確立するための研究」=通称“HiPeC-II”では、永続的な平和の実現に必要な社会的基盤を作ることを目標に定めながら、平和構築の実践的な側面に焦点をあてて、研究機関と実務機関による連携事業を展開させます。私たちの目標は、平和の定義をめぐる論争を巻き起こすことではなく、平和のための活動を前進的に発展させることです。HiPeCは、連携活動の動的な展開を常に念頭に置きつつ、現場および学術活動の双方において、実践的に平和構築の問題に取り組むことを基本精神としています。

2.HiPeC-IIが目指すもの―現地主導性の開拓

 ポスト冷戦型の紛争を和平に導き、紛争の再発しない社会を構築するために、われわれは何をなすべきか―
 今日の世界と日本が避けて通れないこの問題に対して、HiPeC-IIでは、「現地主導の平和構築」という角度からアプローチします。
  2005~2008年度にかけて、本事業の前身にあたる「平和構築に向けた社会的能力の形成と国際協力のあり方に関する調査研究」(通称:HiPeC-I)が実施されました。その中で、多くの平和構築の現場で活動する実践者から次のような期待が寄せられました?
  「平和実現に向けて、“ヒロシマ”により積極的で能動的な役割を担ってほしい・・・」 
 前事業で行った平和構築国際会議やワークショップなどを通じて、こうした内外の大きな期待を実感したことが、HiPeC-IIの方向性を定める上で決定的な意味を持ちました。

 それでは、どうして”現地主導性”に焦点を当てるのでしょうか。
 それは、
平和構築の基幹にある「自己」と「他者」のミクロな関係に端を発しています。戦争をしない社会、ふたたび戦争へと落ち込んでいかない社会を作っていくためには、そこに生活している具体的な顔をもったさまざまな人々の営みによって成り立っている社会自体の力を引き出していく必要があります。平和実現のための能力開発や紛争解決能力の形成といった視点から、戦争と平和の問題を考えていくことが大切になります。そこでHiPeC-IIでは、能力開発の発展的形成に関する諸問題に正面から取り組み、そこから現地主導の平和構築に貢献する国際協力のあり方を明らかにすることを目指します。 

3.知識資源と実際業務のインターアクション

 HiPeC-IIでは、平和構築をめぐる実務と教育研究の連携を確立することを最大の特色としています。そこでは学術的な見地と、実践的な見地とを、円滑に結びつけていくことが必須の課題になります。HiPeC-IIは、広島大学という「平和を希求する」研究教育拠点が、国内有数の地域研究機関であるアジア経済研究所、日本を代表する援助機関である国際協力機構やUNITAR広島事務所との本格的なパートナーシップを結ぶことによって誕生しました。このような恵まれた運営体制は、実務と教育研究の連携という課題を実現する上で理想的な活動環境と際立った国際色を与えてくれます。

 平和構築の問題に取り組む研究は、日本国内でも年々盛んになってきています。しかしHiPeC-IIのように学術機関と実務機関との間に結ばれた本格的で国際的なパートナーシップのうえに成り立つ事業は、過去に例がありません。HiPeC-IIがこの分野における最先端の試みとなることは間違いないでしょう。

 それでは、HiPeC-IIではどのように平和構築研究の実際業務を進めていくのでしょうか。詳しくは→次のページを見てください。


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