機器分析研究室の歴史

教育科目 機器分析(1994年度自己点検評価報告書より)


 当教育科目は昭和33年に工学部応用理学教室に応用分析学講座が増設されたことに端を発している。初代教授は津田覚現広島大学名誉教授であった。昭和42年に津田教授が内海水環境研究施設長に就任したのを受けて、木曽義之現広島大学名誉教授が京都大学原子炉実験所より赴任し応用分析学講座教授として分析化学・無機化学などの講義を担当した。昭和52年の博士課程後期の設置にともなう改組により教育科目名は機器分析と変更された。木曽教授は迅速濾紙電気泳動法により種々の核種の半減期の決定や電気泳動挙動の理論的挙動の解析などに成果を挙げられたが平成4年に定年退官された。

 その後平成6年から教授・廣川健、助教授・竹味弘勝、助手・西山文隆という構成となり現在に至っている。機器分析技術の高度化と共に近年の分析化学は学際的な性格を強めており、その基礎を化学に置きつつも分析科学として幅広い視野に立った教育・研究が要求されている。当教育科目ではこのような時代の要請に対応すべく分離識別化学・表面分析化学・計測化学・放射化学などの分野に関連する教育・研究をおこなっている。

 教育面では上記分野に関する基礎知識を第3類化学系の学部学生に講義する一方、大学院生には応用分離分析特論I、Uとして専門知識を講義している。研究室には第3類から学生が例年3〜5名配属されるが、それらの学生には、分析化学における情報処理技術の重要性を考慮し、プログラミングの基礎・計測機器とのインターフェイシング・データ処理等に関する情報教育を併せて行なっている。また分析化学の根幹は分離・識別でありるという観点からクロマトグラフィーを中心とする種々の分離識別システムのハードウエアおよびソフトウエアの両面を教育している。

 研究面では、クロマトグラフ分離のシミュレーションなど原理的なアプローチを特に重視し、将来の分析化学において重要な技術になると考えられる予測・診断技術の開発を進めている。このようなシミュレーションに必要なpKa等の平衡定数やイオンの電気泳動移動度等は分析化学の基本となる重要なものであり、我々はそれらのデータを電気泳動法により測定しデータベース化し、拡充しつつある。

 具体的な研究テーマとしてはシミュレーションによるクロマトグラフ分離の予測・診断、イオン性物質の物理化学定数の算出とデータベース化、電気泳動法を基礎とする新しい分離識別システムの開発と微量成分の分析等の継続的なテーマのほかに、現在は希土類マトリックス中の微量希土類の分析という高度な分離・識別技術を要する課題にクロマトグラフィー・イオンビーム分析法・誘導結合プラズマ原子発光分光法・中性子放射化分析法等の種々の手法を用い集中的に取り組んでいる。

 現代の分析化学は物質の化学情報に対する総合的なアプローチを行うものであり、特に材料工学の基礎としても重要な役割を担っている。物質の化学情報を十分に引き出すにはバルクの組成分析のみならず局所分析が必要である事は言うまでもない。このような観点から、イオンビーム法を利用した種々の計測システムの整備・開発や表面分析への応用研究、特にイオン注入による表面改質等に関する研究にも取り組んでいる。

機器分析ホームぺージに戻る

応用理化学ホームぺージに戻る