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文書館長からのメッセージ

 3月11日、東北・関東地方を襲った未曾有の大震災および福島第一原子力発電所の事故により被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 広島大学文書館(以後、文書館)は、本日、平成23年(2011年)4月1日より、公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号、以下、公文書管理法と略記)が施行されると同時に、公文書管理法第二条第三項第二号の「国立公文書館等」として内閣総理大臣の指定を受け、新たな歩みを踏み出しました。

 指定にあたり、文書館は、3月7日に内閣府担当官等から視察を受け、専用書庫・閲覧室等諸施設の整備・管理・運営上、全く問題なく、また、業務組織との親和性・法人文書の一元的管理の点で高く評価されました。

 一方で、この度の想定を超えた巨大地震と津波、しかし、二次災害としての原発事故は、危機管理の根本的な問題を改めて突き付けています。根本的な解決を回避し、楽観的な予想にもとづき行動し、結果としての危機的な事態を招く・・・、歴史のなかで日本および日本人が繰り返した失敗です。ではなぜ、失敗は繰り返されるのでしょうか。それは、我々日本人が、過去の、特に失敗から学ばず、白紙化や、成功神話にすがる性質を持っているからではないでしょうか。

 消えた年金記録問題等、公文書(広島大学では法人文書)をめぐる問題も、最悪から物事を考え、最低限のこと、すなわち公文書管理をしっかりしてこなかったことが原因です。その意味で、公文書管理法は、まさしく最悪の事態を回避するための砦の一つなのです。

文書館が出来ることは、過去の教訓を今に活かし、今を確実に未来につなげることだと考えています。危機と失敗の事実を学ぶことこそが、我々日本人の課題です。

文書館は、初代学長森戸辰男の「自由で平和な一つの大学」という建学の精神を保持し、学問を通じて外に開く公開機関でもあります。さらに、世界最初の被爆地である広島で被爆にともなう苦難と闘ってきた方々の記録・文書を有している研究機関であり、上記の知見を講義のなかで展開している教育機関でもあるのです。

同時に、文書館は、公文書管理法によって広島大学と、この大学で学び、関係した多くの方々の生きた証を残す砦としても認められたと考えています。改めて日常の大切さを感じる今日、文書館は、本学と関係した方々の日常の記録も大切に守っていきたいと考えています。かけがえのない日常を残すこと、これも文書館の重要な仕事なのです。

思いを共有し、未来につなげていく、このことを文書館の日常としたいと思っています。

最後になりましたが、厳しい現実に立ち向かっておられる多くの方々が、一刻も早く日常の日々をとりもどせますよう、お祈り申し上げます。

平成23年4月1日

広島大学文書館

館長 小池 聖一

 

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