地球生命科学
核・核・コア・コアの新世紀サイエンス
文:長沼 毅
「20世紀は‘核’の時代だった」と言われる。 つまり、原子力=核分裂や核融合から放出されるエネルギーの利用(悪用もあった)が始まり、細胞核内の遺伝子や細胞核そのものを操作するバイオテクノロジーが大いに発展し時代だった。 原子力の核も、細胞の核も、英語ではどちらも
nucleus と言う。 20世紀はnucleusの世紀、nuclear century
だったのだ。
では21世紀はどんな時代になるのだろうか。 最近とみに地底かぶれしている私としては、「やはり核の時代だが、nucleusではなくcoreの時代」と言いたいところだ。
まず、地球科学と生命科学が深海地球掘削において融合し、地球生命科学という新しい学問分野が誕生するだろう。 地球生命科学では、地球の核(core)から細胞核(nucleus)までが透視的に、あるいは遠近法的に語られることになる。地球核と細胞核の相互作用に思いを馳せる、そんな思考が必要とされることになるだろう。
地球核は core と言う。掘削試料も core
と呼ばれている。深海地球掘削計画では、地殻(卵の殻に相当)を掘り抜いて、人類未踏のマントル領域(卵の白身)からcoreサンプルを採取する。 そして、core
サンプルを見つめる視線の向こうには地球核(卵の黄身)があるはずだ。 core
で core
を透視する、これが深海地球掘削の醍醐味の一つだろう。
核(原子力)−核(生命)−核・コア(地球)−コア(掘削)という科学技術の歴史の流れにある新世紀サイエンスの主役は、才に長け夢多い、若き研究者(&研究者の卵)である。ポンと飛び込んでは如何?