沿岸域におけるピコ植物プランクトンの分布 海洋環境における炭素循環は、混合や沈降、大循環といった物理的要因と共に光合成生産や有機物分解などの生物活動によって大きく左右される。 現在、大気中の二酸化炭素濃度の上昇に代表される地球環境問題によって、全球規模での物質循環特に炭素循環過程の解明が必要となっている。
このような意味で、海洋の生物活動にともなう炭素循環過程を明らかにすることは、重要な研究課題である。 植物プランクトンは、光合成によって海洋の炭素循環過程に深く関わっている。 原核緑藻類、藍藻類、真核性の極微小植物プランクトンは、1980年代になって海洋中に広く分布していることが明らかとなった。 特に、熱帯や亜熱帯外洋域においては、一次生産の90%以上を占めることもある。
一方で、その他の海域特に日本近海域においてはその動態に関する知見は比較的少なく、原核緑藻類についてはほとんどない。 研究の目的は、「極微小植物プランクトンは、温帯海域(日本近海域)の炭素循環過程にどの程度貢献しているのか」「どのような要因が極微小植物プランクトンの分布に影響しているのか」といった知見を得ることである。
植物プランクトンの蛍光顕微鏡写真。 赤色や黄色は光合成色素に由来する自家蛍光。
黄色は、ピコプランクトンの一種である単細胞性の藍藻Synechococcus
sp.。