解析学A(水曜日15:00-16:30)









授業の進行状況


6月9日:講義ノート35ページ定義8.2まで
6月16日:講義ノート38ページ定理8.14まで
6月23日:講義ノート43ページ補題10.4まで
6月30日:講義ノート47ページ系11.4まで
7月7日:講義ノート57ページ定理12.13まで
7月14日:講義ノート62ページ定理13.5まで
7月21日:講義ノート68ページ例13.18まで--これで講義予定は完了
7月28日:期末試験実施





広島大学理学部数学教室「講義を終えて」より

面積とは何か? これを長方形についての公理と、 分割に関する加法性だけに基づいて とらえようというのが測度論である。 分割を可算無限まで許容するのが特徴であり、 これによりRiemann式積分では望めない多大な恩恵を 数学は受けている。 単調収束定理が積分の定義の中に最初から組み込まれていて、 あらゆる段階で実数の連続性が大きな役割を果たしていることが 読みとれればしめたものである。 今回はこの立場をより鮮明にするため、 単調収束定理を早い段階で証明できるように 講義計画を組み替えた。

授業は下記の通り実施し, 文章では敷居が高いところについて、 大まかなアイデアを解説することにウエートをおいた。 しかしそれでは穴だらけなので、 配付した講義ノートには細かい点まで吟味した解説を加えた。 あらたに目次および索引を付けたので利便性が向上したと思う。 測度論の必要性を感じたときに役立てば幸いである。

    1. 概略--定義域の分割から値域の分割への転換 4/14

    2. 単関数の積分 4/21, 4/28

    3. 非負値可測関数の積分 4/28, 5/12

    4. 可積分関数とその積分 5/19, 5/26

    5. ルベーグの収束定理 5/26

    6. 測度$0$の集合 6/2

    7. 有限加法的測度とそれが誘導する外測度 6/9

    8. Carath\'eodoryの外測度と可測集合 6/16

    9. 1次元Lebesgue測度の存在 6/23

    10. 拡張の一意性とその応用 6/23, 6/30

    11. 直積測度としての$2$次元Lebesgue測度 6/30, 7/7

    12. Dynkin族定理 7/7, 7/14

    13. Fubiniの定理とその応用 7/14, 7/21

    期末試験 7/28


応用例としてとりあげた $L^1$空間の完備性、Lebesgue測度の線形写像のもとでの変換性、 Dirichletの積分$\int_0^\infty \sin x/x dx$の評価などは味わい深いものばかりである。

成績は、レポート2回分すべての提出かつ期末試験の受験を前提にして、 評価を行った。 (前提条件を満たしていないものの成績は欠席としている。)

ところで、試験は単なる評価のためという消極的なものではなく、 次のステップへの手がかりとなるものである。 試験後直ちに問題解説プリントを配ったので活用してほしい。 期末試験の問題1はFourier解析の基礎となるものであり、 問題2は拡張の一意性と単調収束定理が使われる 典型例を与えており、 それぞれ重要である。 君たちにとって積分論は始まったばかりである。 微積分の基本定理や部分積分公式などを取り込んで 更に充実させた講義ノート改訂版を http://home.hiroshima-u.ac.jp/iwatakch に公開しているので訪問されたし。