確率統計C(水曜日12:50-14:20)





授業の進行状況


◆4月11日:講義ノートのハードコピーを16ページまで配付し、 9ページ系2.18まで解説: 区間力学系による硬貨投げ試行のモデル化と確率空間、確率変数の導入、 逆像と可測性。
◆4月18日:都合により休講。
◆4月25日:講義ノートのハードコピーを32ページまで配付し、14ページ補題3.17まで解説: 可測写像と誘導測度、確率分布、離散型分布と絶対連続分布。
◆5月2日:講義ノートの20ページ補題4.13まで解説: Lebesgue測度の一意性、1次変換による誘導測度、微積分の基本定理、 絶対連続分布による積分と密度関数、指数分布、Cauchy分布、正規分布、 分布関数と分布の一意性。
◆5月9日:講義ノートのハードコピーを48ページまで配付し、31ページ定理6.31まで解説: 生成系を使った可測性の判定、多次元Borel集合族の生成系、多次元確率変数とその分布、 同分布を持つ確率変数、確率変数とBorel可測関数の合成、確率変数の平均値、合成確率変数の平均値と分布による積分。

重要 定理6.31 $X$, $Y$を確率変数であって同じ分布を持つものとする。 その共通の分布を$\mu$とすると任意の非負Borel可測関数$f$に対して次が成り立つ。

合成確率変数の平均値

◆5月16日:講義ノートの35ページ定理7.12まで解説: 写像の合成と誘導測度、1次変換の場合、正規分布とカイ二乗分布、Schwarz, Hoelder, Minkowskiの不等式、 モーメント、分散と共分散およびそれらの分布による表現、πシステム、Dynkin族、確率測度の一意性。
◆5月30日:講義ノートのハードコピーを56ページまで配付し、40ページ定理8.11まで解説: 台がコンパクトな連続関数とRadon測度、カットオフ関数、開集合の定義関数の連続関数による近似、Radon測度の一意性、 変分法の基本補題、σ有限測度の直積、独立性と結合分布、Fubiniの定理。
◆6月6日:講義ノートの47ページ定理8.32まで解説: Gauss核の規格化定数の評価、Cauchy分布の特性関数、Fourier逆変換公式、多次元絶対連続分布の定義、 多次元標準正規分布、期待値の乗法定理、独立性の試験関数による特徴付け。
◆6月20日:講義ノートのハードコピーを66ページまで配付し、53ページ系10.6まで解説: 非退化な多次元標準正規分布、可逆アファイン変換と絶対連続分布の像測度、独立確率変数の和とたたみ込み、 特性関数、多次元標準正規分布の特性関数による特徴付け、アファイン変換と正規分布。

7月4日提出締め切りレポート課題 教育実習中の受講者については7月11日を締め切りとする
演習問題4.8, 4.11, 4.18を解け。また定理6.31(i)の完全な証明をつけよ。

◆7月4日:講義ノートの55ページ例10.19まで解説: 正規分布とCauchy分布の関係、熱核とFourier逆変換、熱核半群の強連続性、 特性関数による一意性定理、独立性の特性関数による特徴付け、多次元正規分布と独立性。
◆7月11日:講義ノートのハードコピーを72ページまでと95ページから102ページまで配付し、61ページ定理11.18まで解説: 独立同分布確率変数列の和の規格化、特性関数列の収束、Radon測度列の漠収束、確率測度列の弱収束、 収束の同値性、中心極限定理。

8月1日提出締め切りレポート課題
演習問題10.20を解け。定理11.16を証明せよ (講義ノートそのままの方針でも構わないが、解答者自身がどのように理解したか分かるように表現方法を工夫したりせよ。 必要に応じて行間を埋める作業を行え)。講義ノートには掲載していないが次の問題を解け。
$\mu$を$\mathbb R$上の確率測度とするとき以下が成り立つことを示せ。

特性関数の微分可能性とモーメント
また$C^2$級であるとき次が成り立つことも示せ。
特性関数の微分可能性とモーメント

提出は8月1日に行う補講の開始時とする。補講を取りやめるときは7月25日の授業中に連絡する。

◆7月25日:講義ノートの72ページ補題13.22まで解説: Markovの不等式、Chebyshevの不等式、相関距離と分散の評価、大数の弱法則、確率収束、 平均収束、弱い相関を持つ2乗可積分確率変数列と大数の強法則、概収束。
◆8月1日:講義ノートの100ページ補題19.1から102ページ演習問題19.9まで解説し、 授業終了時に課題レポートを回収した。以上で講義予定分を一通り終えた: 部分σ加法族の独立性、ランダムウォークが生成するフィルトレーション、再帰確率、再帰性の級数判定、 1次元非対称ランダムウォークの非再帰性、対称単純ランダムウォークの再帰性と次元依存性。
◆8月3日:レポートの採点終了。希望者には返却するので研究室まで取りに来ること。





pdf形式ファイル


  • 講義ノート   注意  講義で配ったものとは細部で違いがあります。

    授業進行に伴って種々の間違い、勘違い、構成上の不都合など ライブで改訂していきます。 気がついたときは講義終了時などに知らせてください。 (7月4日までの講義で気づいた点を修正してあります。 2007年7月4日版をuploadしました。まだまだ修正が加わる見込みです) 総ページ数は136でpdfのファイルサイズは608KBに上っています。 もし印刷する場合はいっぺんにやらない方がよいかもしれません。 (なお受講生が当講義のために利用される分には自由ですが、 それ以外の場合は節度を持ってご利用ください) 講義は一部割愛しながら11節. の中心極限定理までと 19節. ランダムウォークの再帰性と非再帰性をカバーする予定です。 ところで講義ノートがカバーできていない題材もたくさんあります。 主だったところではマルコフ連鎖とマルチンゲールあたりでしょうか。 講義ノートの目次を以下に挙げておきます。

    1. 導入--あるモデル

    2. 確率空間と確率変数

    3. 確率変数と分布--Lebesgue積分論からの準備

    4. 絶対連続な分布の例ならびに分布関数

    5. 確率変数と多次元確率変数

    6. 確率変数と結合分布

    7. Dynkin族定理と測度の一意性

    8. 測度の直積と確率変数の独立性

    9. 可逆アファイン写像とLebesgue測度

    10. 特性関数と正規分布

    11. ランダムウォークと中心極限定理

    12. 分布関数と弱収束

    13. 大数の弱法則と強法則

    14. モーメント母関数とキュムラント母関数

    15. 大偏差原理

    16. 無限次元確率変数とその分布

    17. 無限直積測度の構成

    18. 独立性の$\sigma$加法族による定式化

    19. ランダムウォークの再帰性と非再帰性

    20. 可微分同相写像とLebesgue測度

    21. Sardの定理と面積公式






シラバスより



授業科目名:確率・統計C/Probability and Mathematical Statistics C
授業のキーワード:確率空間、多次元確率変数、多次元確率分布、無限確率変数系の独立性、極限定理
授業の目標等 :測度論的確率論の基礎、特に独立性の取り扱い、について確率過程を通して学ぶ。
授業の内容・計画等: 確率過程および極限定理に関しては扱うトピックに依存してランダムウォーク、マルコフ連鎖、マルチンゲールなどからその都度適切な題材が選ばれる。
    1. 標本、事象と確率空間

    2. 確率変数とその分布

    3. 測度と積分の進んだ話題

    4.1次元分布の測度論的取り扱い

    5. 可測写像と誘導測度

    6. 多次元確率変数とその分布

    7. 分布と期待値および期待値の性質

    8. 測度の一意性

    9. 直積測度とフビニの定理の発展的取り扱い

    10. 確率変数の独立性

    11. 多次元正規分布と線形写像

    12. 特性関数と確率分布の収束

    13. 中心極限定理

    14. 事象族の独立性

    15. 確率過程と極限定理


テキスト・教材・参考書等: テキストは特に指定はしない。 かなり細かい点まで吟味して解説した 講義ノートを作成して配付する。 参考書として以下のものが最近の文献で手に入りやすいであろう。
    Jean Jacod, Philip Protter : Probablity Essentials, Springer Universitext

    David Williams : Probability with Martingales, Cambridge University Press

    舟木直久:確率論 朝倉書店

    小谷眞一:測度と確率1・2(岩波講座 現代数学の基礎)岩波書店

    松本裕行:応用のための確率論・確率過程 サイエンス社

    熊谷隆:確率論 共立出版

    西尾真喜子:確率論 実教出版 < シラバスで割愛したが追加