広島大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

(正式名称)
広島大学大学院 医歯薬学総合研究科
展開医科学専攻病態制御医科学講座
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学研究室

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広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
〒734−8551 広島市南区霞1−2−3
Tel  082-257-5252

 jibi@hiroshima-u.ac.jp

一般の方、患者の皆様へ

ここでは、広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診療内容、病気や治療についてわかりやすくご説明いたします。

 
1)  鼻アレルギーという病気の状態について

種々の原因抗原(ハウスダスト・スギ花粉など)に対して
アレルギー反応を生じる体質となる
血液中にIgE抗体が産生される(血液検査でcheck可能)
鼻の粘膜上で産生されたIgEと抗原が反応して
アレルギー反応(抗原抗体反応)を生じる
抗原抗体反応により肥満細胞などより
ヒスタミン・ロイコトリエンなどを放出
+
好酸球の浸潤
くしゃみ、鼻水、はなづまり


2)  鼻アレルギーの治療法の種類について
代表的なものに次のようなものがあります。
A)抗原の除去・回避
当然のことですが、アレルギー反応を誘発する抗原である家のほこり・花粉などが鼻腔内に侵入しなければ症状は生じません。例え
ば花粉では晴れた日や風の強い日には多く飛散しますので、外出を避ける、マスクを着用するなどの工夫が有用です。

B) 抗原特異的減感作療法
いわゆる体質改善の注射です。抗原のエキスを少しずつ体内に皮下注射していき、抗原に対する抵抗力をつけていきます。同時にアレルギー 体質を直していくことも可能です。長所としては完全にアレルギー症状をなくする(長期寛解)ことが可能です。欠点としては治療に時間がかか る(約3年間の通院)、効果が出にくい人もいる(有効率、約70%)が挙げられます。
また副作用として、頻度は非常に稀ですがアナフィラキシー・ショック(急激に発現するアレルギー反応で、気管支喘息時の発作に似た症状)が まれに生じることがあります(1000人に1人くらいの危険率)ので、
注射後30分間は病院内に留まって居て、注射後気分が悪くなった場合はすみやかにいって下さい。

C) 薬による治療
現在もっとも普及している方法です。
内服薬の種類としては、
1)アレルギー反応を誘発するヒスタミン・ロイコトリエン等の作用をブロック する抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン剤
2)アレルギー反応を引き起こす主要な細胞である肥満細胞・好酸球の活動性を低下させる薬剤、
3)局所点鼻ステロイド剤などがあります。
各製薬会社とも非常に開発に力を入れているので、近年では眠気が少なく、長時間効果があり、1日1回の服用ですむものもあります。
しかしながらこれらの治療薬は全て、現在生じている鼻アレルギーの症状をおさえる作用しかありません。
言い換えると、薬を服用するのを止めると鼻アレルギーの症状はもとに戻ってしまいます。
) 手術による治療法 
炭酸ガスレーザーによる下鼻甲介粘膜焼灼術 
原理的には非常に単純で、鼻腔内でアレルギー反応が生じる主要な場である下鼻甲介の表面を炭酸ガスレーザーなどを用いて焼灼する事により、 アレルギー反応が生じる場所を無くしてしまう方法です。
また同時に腫脹している粘膜も減量することになるため、鼻づまり症状に対して非常に効果が有ります。特に鼻アレルギーの患者さんでは、
長年わずらってきたアレルギー症状が原因で、鼻の粘膜が器質的にブヨブヨに腫れ上がってしまっている場合が多いため、なかなか薬で完全に
その腫れを元に戻すことが難しい場合が多いです。
このような場合、最初に手術的な方法で腫れ上がっている粘膜を処理して、その構造をある程度正常な形にもどしたあとで、薬の治療を行うと
非常に効果的だと思われます。
作用機序としては、
1) アレルギー性鼻炎で多く認められる肥満細胞・好酸球などの炎症細胞を蒸散させる。
2) 腫脹した粘膜組織を減量させる。このことにより鼻閉を軽減させる。
3) 粘膜上皮の構造を変化させて、抗原が内部に侵入しにくい組織に変化させる。
等が考えられています。
また炭酸ガスレーザーを使用する利点として、
1) 光線の直進性に優れているため、周囲の健常組織に影響を与えないため、従来の電気凝固等に比較して治療後の痛み・腫れが少ない。
2) 処置後の出血が少ない。
等が挙げられます。
また効果については、当科のデータでは通年性のハウスダスト鼻アレルギー患者さんに対しては80%以上の患者さんに鼻閉が軽減した、
飲み薬の服用がほとんど必要がなくなった効果を認めています。
スギ花粉症患者さんに対しても、花粉飛散前に治療を行った場合には、花粉症の症状が抑えられたとのデータがあります。
また、他施設のデータでは約70%の患者さんで鼻症状に関して同様の効果が認められたとされています。

副作用・合併症
この治療法が主要施設で施行されだしてまだ5年程度のものですが、重篤なものは現在までは報告されていません。
また局所麻酔下に外来手術として行っています。
しばしば認めれるものとして
1) 治療後35日は反応性に粘膜が腫れるため、鼻閉・鼻汁がかえって強くなります。これはほとんどの場合、内服薬でコントロールが可能です。
2) 痛み: 治療後に痛み止めを頓服として、処方していますが実際に我慢できないほどの痛みが生じることは稀で、 痛み止めを続けて服用され 方はそれほど多くありません。
3) 出血: 治療後は特に鼻の中には詰め物をせずに帰宅していただきます。治療後3日くらいまでは鼻水に赤〜茶色の
色が付くことがありますが、止まらないほどの鼻出血は非常に稀です。

実際の方法について
1) 予約制で行っております。 また治療は日帰りでしています。
2) あらかじめ問診で、今まで大きな病気をしたことがないか、重篤な内科的疾患(血が止まりにくい、心臓が悪い等)がないか どうかを伺います。
これらの状況により無理な場合があります。
また薬の過敏症についても重要ですので、あらかじめ申し出てください。
3) 治療と同時に、鼻アレルギーの原因とその程度の検査を施行します。今後の治療の参考にさせていただきますので
ご協力の程宜しくお願いします。検査としては、
a) 採血(CAP-RASTアレルゲン検査、一般末梢血)
b) 鼻汁中の好酸球染色検査
c) 鼻腔通気度または鼻腔容積の測定
d) 鼻腔・副鼻腔のレントゲン撮影(蓄膿症の検査)、アレルゲンの皮内反応
などがあります。
4) 治療の実際
a) 最初に鼻処置といって、鼻腔内に血管収縮薬のスプレーと局所麻酔薬を浸したガーゼを詰めます。
この状態で約30分待っていただき、薬が鼻の粘膜に浸潤するのを待ちます。
b) 炭酸ガスレーザーにて出力5ワット程度で、下鼻甲介表面を焼灼します。部位によりチカチカとする痛みが走る場合がありますが、
あまり強いようでしたら申し出てください。また煙も出ますので吸い込まずに鼻息で軽く吹き飛ばしてください。
治療は片方で約10分です。座った状態で行いますが、途中で気分が悪くなったら早めにおっしゃってください。
いつでも治療の中断は可能です。また眼の保護のため眼鏡をかけていただきます。
c) 治療後に軟膏塗布と止血を確認して、終了です。
5) その後の経過について
このレーザー治療は間隔をあければ追加の焼灼が可能であるため、当科では約4週間の間隔をあけて、平均3回程度行っています。
また35回治療しても症状が軽快しない方は他の方法、入院した上で鼻内手術をおこなうなど、 を選んだ方がいいと思います。
また帰宅時には、内服薬として
1)抗ヒスタミン剤: 鼻水・鼻づまりを押さえる(2週間分)。焼灼後1週間は続けて内服してください。その後は鼻の
症状があるようでしたら服用してください。
2)抗生物質と止血剤: 焼灼した粘膜の化膿を防ぐ目的です(5日分)。これは支障がない限り続けてください。
3)痛み止め: 10個。発熱・疼痛時に服用してください。

6) 治療費について
この治療法は「鼻腔粘膜焼灼術」という名目で健康保険適用となっています。患者さんへの治療の負担額は本人負担の割合で料金が異なりますが、 3割負担で、一回につき手術料として約6000円の負担となります。
ただしこれに、通常の診察料・検査料・薬剤費が加わります。

7) レーザー治療の効果発現に関する臨床研究へのご協力のお願い
現在、当科では鼻アレルギーに対する炭酸ガスレーザー焼灼術治療法の効果発現機序の解明と、最適な施行方法の確立のために、
鼻腔粘膜の細胞の検査などを行っています。これによりアレルギー関連細胞の検査、鼻アレルギーの原因とされている蛋白の測定、
関連遺伝子の発現などの研究を行っています。
この研究で得られたデータは、純粋に学術研究の目的として使用しますし、本検査に関しては費用的負担も一切ありません。
また個人が特定できるようなデータは一切公表せず、プライバシーの保護には充分配慮しますので宜しくご協力下されば幸いです。

8) 最後に、
最初にありますようにこのレーザー焼灼術は、まだ新しい方法ですので、
治療後に何か困ったこと、おかしな症状がもしありましたら、どうぞ遠慮なくまずは電話でお問い合わせください。

連絡先: 広島大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
アレルギー外来
734-8551 広島市南区霞1-2-3
Tel. (082) 257-5477: 平日の9時から17時まで
082 257-5252: その他の時間(休日・夜間)