広島大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
(正式名称)
広島大学大学院 医歯薬学総合研究科
展開医科学専攻病態制御医科学講座
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学研究室
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広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
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ここでは、広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診療内容、病気や治療についてわかりやすくご説明いたします。

めまい
めまいを起こす疾患にはいろいろなものがありますがここでは代表的な疾患について開設していきます。
メニエール病
〔代表的な症状〕
繰り返すめまい、難聴、耳鳴り。
めまいが激しいときは悪心、嘔吐、冷汗、動悸を伴う
〔症状がよく似ている病気〕
めまいを起こすほかの病気、突発性難聴、遅発性内リンパ水腫
どんな病気か
めまいといえばメニエール病といわれるほど有名ですが、実際にはそれほど多い病気ではありません。メニエール病は内耳の病気で、繰り返すめまいに難聴や耳鳴りを伴うものです。繰り返す間隔は人によって違い、数日、数週間、数ヶ月、あるいは1年に1回などさまざまです。一般にメニエール病は、片側の内耳の障害が原因なのですが時には両側とも傷害されることもあります。
原因は何か
内耳を満たしている内リンパ液が過剰になると内リンパ水腫になりますが、この状態によってメニエール病が起こると考えられています。しかし、この内リンパ水腫がなぜ起こるのかについては不明です。文明社会に生活する人に多く、未開発の国の人には少ないことから、ストレスがこの病気の発症に関係していると言われています。
症状の現れ方
何の誘引もなく突然、回転性(グルグル回る)めまいがおこり、めまいと同時に、あるいはめまいの少し前から、片耳に耳鳴や、耳閉塞感、難聴がおこります。激しいめまいはふつう30分くらいから数時間続き、めまいの軽快と共に耳鳴や、耳閉塞感、難聴も軽くなったり消失したりします。しかし、めまいを何回も繰り返しているうちに、めまいがおさまっても耳鳴や難聴は軽快しないようになります。めまいが激しいときは、これらの症状以外にも悪心、嘔吐、冷汗、動悸などがおこり、かえってこれらのほうが苦しいこともしばしばです。
検査と診断
聴力検査でメニエール病に特徴的な難聴が認められます。特徴は、低音障害型(低い音が聞こえにくい)あるいは水平型で補充現象陽性(音が響いて聞こえる)などです。平衡機能検査では内耳障害の所見が認められます。
治療の方法
薬による治療が主に行われ、めまいを軽くする抗めまい剤や、内リンパ水腫を軽減する薬が使用されます。しかし、メニエール病は難病に指定されている病気で、完全に治すことが困難な場合も少なくありません。薬でめまい発作の回数を減らしたり、軽くしたりすることはできますが、難聴の進行は薬では防げないことがあります。めまいがあまりにも頻繁に起こって仕事ができないようなときや、難聴の進行が早いときには手術が行われることもあります。
病気に気づいたらどうする
メニエール病とはっきりわかっていれば慌てることはないのですが、専門医でないと診断が正確に行われないことがあります。はじめてめまいに襲われると、パニックに陥ってしまうものですが、メニエール病で何回かめまい発作を経験した人は、めまいがおこっても慌てずに最も楽な体位で休んでいます。ふつう、めまいは長くても数時間で治まることを知っているためで、非常によい対応といえます。
しかし、めまい発作はメニエール病とは限らず、他の生命にかかわる病気かもしれませんので、至急専門医を受診してください。
遅発性内リンパ水腫
〔代表的な症状〕
繰り返すめまい、難聴、耳鳴り
〔症状がよく似ている病気〕
メニエール病
どんな病気か
突発性または発症時期が不明の高度感音難聴がもとからあり、数年〜数十年以上の間隔をおいてメニエール病によく似た回転性めまい発作をおこす疾患です。先行する高度難聴耳が原因でめまいをおこす同側型と、高度難聴耳の反対の耳に変動する難聴や、ときにめまい発作を生じる対側型とがあります。
原因は何か
原因はよくわかっていませんが、もともとある高度感音難聴耳に内リンパ水腫が徐々におこってくるとする考えがあります。同側型ではメニエール病のようなめまい発作を反復します。一方、対側型では、多くが対側耳の聴力変動のみを示します。
難聴をきたした原因疾患としては、流行性耳下腺炎、外傷、上気道感染、ジフテリア、ウイルス感染、内耳炎、先天性、若年性一側聾などが主なものです。
症状の現れ方
同側型では、片耳または両耳が高度難聴、ないし全聾であり、長年月経過後に(ふつう、難聴発症より数年〜数十年)、メニエール病によく似た繰り返す回転性めまいが発現します。めまいがひどいときには、嘔気、嘔吐も伴います。また、対側型症例では、聞こえがよいほうの耳に新たな難聴や耳鳴りがおこります。耳鳴りや難聴は繰り返し、軽くなったり消失したりします。
検査と診断
聴力検査
片耳または両耳が高度難聴、ないし全聾で、平衡機能検査で機能低下を認めます。 また、補助検査として内リンパ水腫を調べる検査を行います。
治療の方法
メニエール病と同様に薬による治療がまず行われます。内リンパ水腫を軽減させるためにイソソルビドやステロイド剤が用いられますが、薬物治療に抵抗する症例では外科的治療が行われることもあります。対側型では良聴耳の聴力変動やその悪化が問題になり、日常生活に大きな影響を及ぼすため、予後は決してよいとはいえません。
病気に気づいたらどうする
遅発性内リンパ水腫の診断は専門医でも難しい場合が少なくありません。昔から難聴があってめまいを繰り返すようになったり、聞こえのよいほうの耳の聴力が悪化したりした場合には早めに専門医の診察を受けることが重要です。
良性発作性頭位めまい
〔代表的な症状〕
回転性のめまい
〔症状がよく似ている病気〕
貧血、立ちくらみ、頸性めまい
〔おこりやすい合併症〕
慢性中耳炎、頭部外傷
どんな病気か
耳が原因で起こるめまいの中で最も頻度の高いもので、寝返りをうったり、寝ていて急に上半身を起こしたり、座っていて急に振り向いたり、棚の上のものを取ろうとして急に上を向いたりしたときに、急激に回転性の激しいめまいが起こる病気です。昔、結核にかかってストレプトマイシンを使った人、交通事故などで頭の外傷を受けた人、あるいは慢性中耳炎のある人などに多くおこります。
原因は何か
内耳の前庭器官は、頭が地面に対してどのような位置にあるかを感じるための機能を持っています。良性発作性頭位めまいは前庭器官に異常が生じたために、頭の位置の変化を過敏に感じてしまう結果起こる病気と考えられています。前庭器官の耳石器の上には炭酸カルシウムでできている耳石が多数のっていますが、この耳石が本来の位置から外れて、別の種類の前庭器である半規管のクプラに付着したり、半規管の中に遊離したりして、それが頭を動かした際に動いて半規管を刺激するというのが原因であるという説が有力になっています。
症状の現れ方
何気なしに頭を動かしたり、朝起きようとして枕から頭を上げたたりした後などに、急激な回転性のめまいがおこります。めまいは長くても十数秒で消失します。また、何回か同じ動作を繰り返しているとだんだん軽くなるのが特徴です。悪心を伴うことがありますが、難聴や耳鳴りなどの聴覚の症状はおこりません。
検査と診断
めまい頭位で眼振が出現し次第に増強、減弱します。聴力検査、温度眼振検査では異常を認めないことがほとんどです。
治療の方法
良性といわれるように、一般には比較的早いうちにめまいはなくなります。めまいが少し軽くなってきたら、積極的に、めまいが起こりやすい頭の位置をとるといったリハビリをすることも治癒を早めます。また、最近では頭位変換療法と呼ばれる遊離した耳石を元に戻す方法が開発され、良好な成績を上げています。
病気に気づいたらどうする
あまり心配することはありません。しかし、この病気に似た症状で、内耳の障害でなく脳の病気の場合があるので、専門医の診断が必要になります。
関連項目のリッファレンス
・耳石、半規管、クプラ
耳の働きには音を聞く働きのほかに、もう一つの働きとして、体のバランスをとる「平衡感覚」の役割があります。耳の平衡感覚を感知する器官としては、耳石器(じせきき)と半規管(はんきかん)があります。耳石器は2つあって、卵形嚢(らんけいのう)は水平に、球形嚢(きゅうけいのう)は垂直に位置していて、この2つの嚢の中にはリンパ液と炭酸カルシウムでできている耳石(じせき)という小さい石が入っています。
耳石器の内部は薄い膜で覆われていて、その奥には有毛細胞という細かい毛の生えた感覚細胞があります。耳石がリンパ液の中を動くとこの有毛細胞の毛が刺激されて、位置を感知する事ができます。卵形嚢は水平方向の動きを、球形嚢は垂直方向の動きを感知します。
半規管は、前半規管・後半規管・外側半規管の3つあり、まとめて三半規管と言われています。半規管は3つの中空のリングから構成されていて、内部は内リンパ液で満たされています。前庭の近くに膨大部と呼ばれるふくらみがあり、そこには感覚毛を持った受容細胞があります。感覚毛の上にはクプラと呼ばれるゼラチン状のものがのっています。内リンパが動くことによって、クプラが押され、感覚毛が曲がり、受容細胞が興奮します。頭部が回転すると、内リンパはしばらく静止したままなので、感覚毛が逆に曲がります。この情報と視覚の情報から体が回転したと認識します。3つの半規管はそれぞれ別の面にあるので、あらゆる回転方向を認識することができます。これらの半規管はそれぞれ直角に交わっていてx、y、z軸の様に3次元空間の回転運動の位置感覚を感知します。
前庭神経炎
〔代表的な症状〕
回転性のめまい、悪心、嘔吐、冷汗、動悸
〔症状がよく似ている病気〕
脳疾患
どんな病気か
原因不明の、突発的に起こるめまい疾患で、強い回転性めまいが長い間続きます。めまいが起こる前に、かぜ症状があることが比較的多いので、ウイルスなどの感染が原因として考えられています。
原因は何か
片側内耳の前庭機能が急激に障害されるため、激しいめまいが起こり、歩くことも困難になります。
症状の現れ方
激しい回転性のめまいが急に起こり、ふつうそれが数日から1週間程度続きます。めまいには、悪心や嘔吐を伴いますが、難聴や耳鳴などの聴覚の症状を伴わないのが特徴です。
めまいはその後、少しずつ軽くなっていきますが、発症から1週間程度は歩行に困難を感じます。めまいは発症から3週間くらいでほぼ治まりますが、体を動かしたときや歩くときのふらつきはしばらくは持続するのが一般的です。
ときには6ヶ月くらいたってもふらつきが持続することがあります。
検査と診断
聴力検査では聴力は正常の場合が多く、温度眼振検査では患側の温度反応が高度に低下したり反応が無くなったりします。めまい発作のときには方向固定性水平性眼振を認めます。
治療の方法
安静と薬による治療が主体になります。早期に治療すれば、一度障害を受けた前庭機能が回復することがあります。このようなときには比較的早くめまいが軽くなります。
しかし、早期の治療にもかかわらず、症状がだらだらと長く尾を引くことがあります。このようなときは、その状態に早く慣れるためにもめまいに対するリハビリテーションが必要になります。
病気に気づいたらどうする
早期の診断と治療が必要です。他のめまいをおこす病気との区別も早くしなければなりません。できるだけ早く専門医を受診してください。
内耳炎
〔代表的な症状〕
激しい回転性のめまい、悪心、嘔吐、難聴、耳鳴り。
〔症状がよく似ている病気〕
慢性中耳炎
〔おこりやすい合併症〕
慢性中耳炎、髄膜炎
どんな病気か
内耳炎は、おもに中耳腔の炎症が、中耳と内耳を隔てている2つの窓(正円窓と卵円窓)を通して内耳に及んだものです。しかし、時には真珠腫性中耳炎によって内耳の骨が破壊され、そこを通して中耳腔の炎症が内耳に及ぶものや、髄膜炎が原因で起こるものなど、他の経路から起こるものもあります。
原因は何か
中耳の炎症をおこす病気が原因になります。例えば、急性中耳炎や慢性化膿性中耳炎、あるいは真珠腫性中耳炎があるときに内耳炎になりやすいのです。中耳の炎症が内耳に波及するときは、急激に波及することもあれば、徐々に波及していくこともあります。また、髄膜炎になった時に炎症が内耳に波及することもあります。しかし、中耳に炎症があったり、髄膜炎になったりしたからといって、すべての人が内耳炎になるわけではありません。
症状の現れ方
内耳への炎症の及び方が急で、しかもその程度が強い場合には、激しい回転性のめまい、悪心、嘔吐に加えて高度の難聴や耳鳴りがおこります。
内耳には、身体のバランスをとるため不可欠な三半規管などの前庭器官と、音の感覚器官である蝸牛があります。これら内耳の機能が、強い炎症で障害を受けて急激に低下するため、これらの症状がおこるわけです。
内耳への炎症の及び方が徐々に起こる場合には(慢性中耳炎に多い)、耳鳴りがおこったり、難聴が少しずつ進んだり、あるいは軽いめまいやふらふら感がおこるようになります。
検査と診断
難聴が有る場合には聴力検査を、めまいがある場合には平衡機能検査を行います。平衡機能検査では自発眼振が認められることが多く、また、温度眼振反応が低下したり、瘻孔症状があったりすることもあります。耳の、CTやMRIも有効です。
治療の方法
原因になっている中耳の炎症や髄膜炎と、それによっておきた内耳の炎症を治さなくてはなりません。急性の中耳の炎症や髄膜炎には、抗生剤が使われますが、同時に内耳の機能低下にはビタミン剤やステロイドホルモン剤などが併用されます。
慢性中耳炎がある場合には、抗生剤も使われますが、慢性感染の原因である中耳炎を手術的に直す必要がでてきます(鼓室形成術)。
これらの治療によって、中耳の炎症が治っても、しばしば内耳の機能障害(主に難聴)が残ることがあります。
病気に気づいたらどうする
急性中耳炎では耳が痛くなります。それに引き続いてめまいや強い難聴がおこったら、すぐに専門医を受診してください。
また、慢性中耳炎がある場合には長期にわたって放っておくようなことをせず、内耳に影響が出ないうちに専門医を受診してください。
関連項目のリファレンス
・眼振
めまいがする時に、患者さんは天井などの周りの景色がぐるぐるまわっていると訴えます。この時実際に天井がまわっているわけではありません。眼球のほうがまわっているためそう見えるのです。この眼球の動きを眼振(がんしん)といいます。眼振をよく観察するためには「フレンツェルの眼鏡」を使います。このめがねは強い凸レンズです。そのため、まわりのものがぼやけてよく見えず、視線を固定することができなくなります(非注視状態)。この状態では弱い、かすかな眼振も観察しやすくなります。耳が原因の眼振の多くは水平性、あるいは水平回旋混合性の眼振です。この時眼球はゆっくりと右あるいは左に動いたあと、急速に反対に動き元の位置に戻ります。この動きを繰り返しています。一方垂直性の眼振が出ている場合などは中枢性(脳、特に小脳、脳幹)のめまいの特徴で、すぐにCTなどの検査が必要となります。このように眼振の詳しい観察はめまいの原因を知る上で非常に重要なものです
・温度眼振検査
ヒトの外耳道に冷たい水や暖かいお湯を入れると、内耳の三半規管が刺激されて眼振がおき、また、めまいがおこります。この眼振の続いている時間(正常では約2〜3分)や眼振の速度から三半規管の機能がどのくらい保たれているかがわかります。もし反応がまったく無ければ内耳(半規管)の機能をほとんど失っていると考えられます。前庭神経炎では、この反応が高度に低下します。メニエール病では初期のうちは正常のことが多いのですが、めまい発作をくりかえしているうちに、徐々に働きが落ちてきます。薬物などによる前庭機能高度低下例では、この反応が両側とも高度に低下し、結果として常時ふらつきが起こることになります。
・瘻孔症状検査
耳をおさえたり、耳たぶを引っ張ると、めまいがするというと訴える患者さんが時々います。このような患者さんの外耳道に陽圧や陰圧の刺激を与えると、めまいが起こり、眼振がみられます。このような症状を瘻孔症状といい、その有無を調べる検査を迷路瘻孔症状検査といいます。慢性中耳炎とくに真珠種性中耳炎でよく起こりますが、鼓膜に穴があいていなくても、先天性梅毒、メニエール病、外リンパ瘻などで稀にみられることがあります。一般的にはポリツェルのゴム球を外耳道に密着させ、ゴム球を圧迫して陽圧刺激を加え、ついで陥凹したゴム球が自然のふくらみで元に戻ることにより陰圧刺激を加えます。眼振の観察にはフレンツェル眼鏡下で行ったり、電気眼振計に記録したりします。
乗り物酔い
〔代表的な症状〕
悪心、嘔吐、顔面蒼白、冷汗、動悸
〔症状がよく似ている病気〕
どんな病気か
乗り物酔いとは乗り物にのっている過程で、むかつき、冷汗、顔面蒼白、嘔気をきたし最終的には嘔吐にいたる症状を言います。
原因は何か
乗り物酔いに内耳の働きが深く関係していることがわかってきたのは、比較的近年になってからです。船、自動車、電車、飛行機などに乗っていると、連続的な揺れ(加速度刺激)が内耳に加わり、この刺激と他の刺激、例えば眼に映る周りの景色などの視覚刺激、体の筋肉で感じる知覚などとの調和がとれなくなり、感覚に混乱が生じるために、乗り物酔いの症状が起きると考えられています。
症状の現れ方
気分が悪く顔色が蒼白になり、冷や汗をかき、生唾が多くなり、吐き気がして吐いてしまうなどの自律神経症状が主体で、頭痛やめまいも起こります。高齢者や3歳以下の小さい幼児は酔いにくく、男女を比べると女性のほうが酔いやすい傾向があります。小児期は酔うというよりも、頭痛やバランスの障害が強く出ます。思春期を超える頃からバランスの障害が弱くなる代わりに、酔いの程度が強くなります。はじめて経験する乗り物で酔いやすい傾向もあります。(訓練された宇宙飛行士でも宇宙酔いを起こします)。
治療の方法
一般的な乗り物酔いの防止には、前日は睡眠をしっかりとる。早朝の出発の際は、2〜3時間前から起きて、頭をすっきりさせておく。出発前に軽く(腹八分目)食事をとる。揺れの少ない座席を選び、深く座る。ゲームをしたり、歌をうたったりして気分をそらす、酔いやすい人は、あらかじめ酔い止めの薬を飲む、などが効果的です。
電車、列車、バスの場合 、席が空いていれば進行方向に向かうように座ります。座れなければ進行方向に向いて立ち、体を安定させるとよいでしょう。つり革はあまり良くありません。飛行機の場合、外界がよく見えないので、酔いやすい人はあらかじめ酔い止めの薬を飲んだり、少しアルコールを飲んで寝てしまうのも一方法です
。船の場合 、キャビンの中にいるのは良くありません。船首に近いデッキに出て、遠方の水平方向を見るとよいでしょう。しけの時はあきらめて、酔い止めの薬を飲んで眠るようにします。自家用車の場合
にはシートは固いものにし、後部座席に乗り、シートベルトをしっかりしめます。もし酔って具合が悪くなったら 横になって頭を動かさないようにして、冷たい風にあたって、ベルトや衣類をゆるめ安静にします。酔い止めの薬があれば、それを飲んで眠るのがよいでしょう。症状が重いときには、乗り物から降りる以外に方法はありません。積極的に治すには
、ふだんから運動をよくして、内耳が乗り物の動揺に対して強くなるように、鍛えるしかありません。ブランコ、鉄棒、マット上での回転運動、ダンスなどのように、頭や体を激しく動かし、内耳を強く刺激するのが効果的です。
内耳奇形
〔代表的な症状〕
難聴、めまい
〔症状がよく似ている病気〕
他の原因の先天性難聴
〔おこりやすい合併症〕
髄膜炎
どんな病気か
内耳は胎生5ヶ月でほぼ完成しますが様々な原因で内耳の形成がうまくいかないことがあります。これらの形成不全の状態には内耳の発育が欠如したもの(Michel型)、蝸牛の回転数が少なく前庭や半規管も形成不全を起こしているもの(Mondini型)、蝸牛、球形嚢に変性が認められるもの(Scheibe型)、蝸牛の形成不全(Alexander型)、前庭の形成不全(Bing-Siebenmann型)などがあり、この中ではMondini型の頻度が高いようです。また、最近わかってきた新しい型の奇形として前庭水管拡大症候群というのもあります。
原因は何か
母体内で体が発育する時に耳の発育が停止してしまったことが原因です。内耳には蝸牛と前庭がありますがその全部がうまく発育しなかった人もいれば、細胞、あるいは骨の中の内耳器官のみが発達してない人などもいます。しかし耳以外の体のほかの部分は正常に発育しているのが多くあります。胎児の耳の発育不全の原因は不明で、母体内の外因要素(サリドマイドなどの薬品とか風疹などの感染)突然変異による染色体異常などが考えられています。
症状の現れ方
先天性あるいは小児期からの聴力障害を伴うことが多くあります。
検査と診断
診断には.CT、MRIなどの画像検査が行われます。現在はCTの解像力が向上し、蝸牛・前庭・半規管や内耳道・前庭水管・頸静脈球などもかなり詳細に描出可能となっており、MRIを用いればリンパ腔そのものも描出でき、内耳奇形の多くが診断できます。
治療の方法
多くの原因が胎児の時に来たものです。この内耳奇形は手術でも治らず、今の医学では一方の聞こえる耳を大切にするほか仕方なく、まず治療はないと言っても仕方ないでしょう。稀に両耳の内耳奇形で乳幼児から両耳とも高度難聴で、将来にコミュニケーションができないときは、乳幼児から補聴器の聴能訓練を行います。最近では人工内耳をつけることもありますが、奇形の本質的な治療にはならないことが現状です。
病気に気づいたらどうする
生まれつき、あるいは小さい時に聞こえが悪いことに気がついたら早めに専門医を受診してください。両方の聞こえが悪いときには早い時期に適切な検査と治療が必要です。また、先天性の難聴には奇形だけでなく他の原因のものもありますので早いうちの診察が重要です。