t検定結果の読み方について

−英語教育学研究におけるよりよい統計処理のために−

 

キーワード(順不同)

t検定 t値 アスタリスク P値 自由度 t検定結果の提示

Since 2000.11.24. Last Modified 2000.11.24.

 

 2000年11月のことです。

 以下に補遺を含むやりとりをQ&A方式でのせてみます。

 

Q 論文を読んでいて、検定結果をどう読めばいいのかわかんないのですが。

A なるほど、2群の平均値の差の検定ですね。それぞれの群のサンプル数、平均値、標準偏差が数項目分1行1項目として提示してあります。そこまではよいですね。

 

Q はい。そのあとに、「t」という列があって、そこにある値と、アスタリスクがあったりなかったりするのですが、それらはなんですか。

A そこが、筆者の意図では検定結果を示したつもり、なんでしょうね。推奨できるやり方とは思えませんけどね。

 ざっくばらんに言えば、2平均の差の検定であるt検定の、結果を表すものがt値で、そのt値が絶対値で大きくなればなるほど「2平均の差がないことはない」確率、すなわち「2平均に差があるといえそうな」確率が高くなり、有意差があるといえる、ということです。言い換えればP値がゼロに近づくということです。

 どのくらいのt値であればどのくらいP値が下がるのか(有意差があるといえるのか)ということについては、サンプル数(に基づく自由度)によってt検定の場合は変わってきますので、一概には言えません。

 で、この筆者の場合には、t値だけ載せて、P値に関しては「P<0.05」「P<0.01」「P<0.001」の場合にそれぞれアスタリスク1つ、2つ、3つを付しているようです。そこから判断すると、「P<0.05」であれば有意差がある、としているようですね。古典的なやり方であり、個人的にはもうやめて欲しいと希求しているやり方です。

 

Q はあ。 じゃぁ、星3つだったら、いっぱい差があるということなんですか。

A 痛い質問です。「P<0.05」を基準に有意差あり/なしの判断をしているのでしたら、星がいくつだろうと関係ないでしょう。ただし、本文を見ると、この筆者は星の数によってその差に対する評価を変えているようですね。となれば、ご質問と同じような考え方(「いっぱい差があるということなんですか」)に基づいているのだと思います。それもそれで、立場によってはありかもしれません。

 ただしその立場を取るのであれば、P値をすべて明記せずにアスタリスクで済ませるのは納得できかねます。もちろん、私個人的にはある有意水準(この論文の場合や、多くの慣例に従えば0.05)を有意確率(P値)が下回る/下回らないで有意差あり/なしを判断する2元論的な考え方であれ、t値を挙げるくらいならP値を挙げる方が親切なのではないかと考えるのです。

 例えば、アスタリスクに気を取られて、本当はP≒0.051であっても見過ごし、P≒0.049であれば有意差ありとしてしまいかねない、そんな場合も考えられるので。このへんは個人的な好みかもしれませんし、t値と自由度があればほぼ正確なP値はわかるわけなので、筆者の親切度と真摯さの問題かもしれませんね。

 

 

 

Q なるほど、こういったことも勉強しないといけないですね。

A うーん、あまり積極的に頷く気分ではないのですよ。本来なら、ヒストグラム描いて視覚的に把握してみたり、平均値とばらつき具合(標準偏差)を眺めて考えたり、サンプル数を考慮に入れて得られた差がどのくらい重要な意味を持つものなのかを熟慮したり、そういったことだけでも充分ではないのかなあ、と思うものですから。

 でも、他の論文読む際に必要な知識として、持っておかないとやりづらい知識なのかもしれませんねえ。。。となれば、「勉強しないといけない」のかなあ。

 

 

 

 

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