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私たちはかつて広島大学に在職して、科学の国際的最先端を競う研究者でありました。 次世代の研究者や社会人を育成する教育者でありました。大学の教育研究活動を支援し、 大学運営のハード面を担う事務方でありました。常勤と非常勤の勤務形態は問題になりません。 広島大学への懐かしい追憶、それが私たちの共有財産です。
だが東広島市に住む私たちには、広島大学は過去ではありません。現在です。 同じ市内にあるというだけではありません。広島大学は教育、研究に地域貢献を三本柱にあげています。 東広島市は学園都市の旗をずっと掲げています。 東広島市に住むことは、広島大学を思うことでもあります。 品格のある「大学町」を作りたい、生き生きした子どもたちの歓声の聞こえる町づくりに手を貸したい、 私たちはそう願っています。
私たちは研究業績の競争に煩わされることはなくなりました。 研究のための資金調達の苦労からも解放されました。 広島大学という巨大組織を動かす苦労からも自由であります。 私たちは、今、誰に遠慮することもなく、自分の意見を語り、仲間と語り合い、 自分の信念で行動することができるようになりました。 時間に束縛されず、自分の趣味に生き、長い旅行もできるようになりました。
私たちはまだ老いから遠く、第二の現役生活を送っています。 隠居を決め込む年齢ではありません。 その仲間が、懐かしさをバネに、出会って、語らって、 盃をときに傾けながら活動する会を作ってみたいと思い立ちました。 鏡山のふもとでお花見としゃれてもよいではないか、秋たけなわ、 酒まつりに友を誘い合わせて、酔いの世界を戯れてもよいではないか。 あるいは今年広島大学に天文台がオープンしました。 昔の友に声をかけて、いっしょに見学の会をつくってもよいではないか。 そのような親睦と交流の会「広島大学マスターズ」を立ち上げることにいたしました。 その意味は、退役し、飛距離こそいくぶん落ちているとはいえ、 気力と技量にかけてはまだまだ若い者に遅れをとらない練達の士というほどの意味です。 同じ志の昔の仲間たちの参加をよびかけます。
私たちは研究と一体の教育の現場を長く生きてまいりました。 物を知ること、触れることが、どれほどの感動を引き起こし、その人の生涯をきめるまでに至るのか。 教えるとは知識の伝授だけではない、研究対象にはじめて出会ったときの驚き、 興奮をまず伝えることではないでしょうか。 今長い研究生活を振り返りながら、若い、小さな頭脳に、私たちの経験を伝えてみたい、 かれらの好奇心と想像力を引き出してみたいと思っています。
新聞やテレビでは家族や学校の崩壊を露呈する事件が毎日のように報道されています。 マネーゲームや投機的事業でまじめに働くことがコケにされる風潮が広まっています。 勉強と言えば、受験勉強しか思い浮かばない風潮があります。 世の中では子どもたちの理科離れを憂える議論に事欠きません。 文科系では、古典をじっくり読むことがなくなったという声をよく聞きますが、 根っこは同じだと思います。「賢い」とか「知恵」といった本来尊いコトバが、 ズルとかワルとかアサという接頭辞をつけてでないと通用しない世の中は変えてゆかねばなりません。
私たちのできることは教育だけではありません。 自分たちの居住区の人々といっしょに地域をまもり、行事を盛り上げ、 地域おこしのためにいっしょに考えて行動すること、それは住民としての大切な日課です。 私たちは個々には、既にそれぞれの居住区で、そのような活動をしています。 それらの情報提供、情報交換、心配相談が、地区の枠を越えて気兼ねなくできるネットワークがあってよい。 畑作りの工夫などの知恵の出し合いがあってもよい。 面白いイヴェントへの勧誘があってもよい。最近観た映画、読んだ小説の感想があってもよい。 そのような位置から東広島市や広島大学の将来への提言もできると考えます。
折りしも、2007年問題、団塊の世代の退職問題が大きな話題になっています。 戦後の日本の産業、経済、行政、教育を担ってきた世代が、まだまだ現役のエネルギーをためながら、 居住の地域に帰ってきます。私たちの活動が、かれらに先鞭をつけるならば、 おそらく日本のこれからのモデルケースになるでありましょう。
なお、この会の設立は、現在広島大学校友会を設立準備している 広島大学および広島大学校友会幹事会からも積極的な支援をいただいています。
最後にもう一度、私どもの発意を十分にご斟酌いただき、 「広島大学マスターズ(略称広大マスターズ)」にぜひご参加ください。
2006年9月23日
広島大学マスターズ発起人(アイウエオ順)
有本 章(高等教育研究開発センター) 安藤忠男(生物圏科学研究科)
井上宣邦(産学連携センター) 江口正晃(総合科学部) 沖村雄二(理学部)
金田 晉(総合科学部) 栗栖良充(事務部) 黒川正流(総合科学部)
佐野進策(経済学部) 塩谷 優(工学研究科) 菅川健二(法学部)
難波平人(教育学研究科) 西川恭治(理学部) 西村清巳(教育学研究科)
原田宏司(教育学研究科) 原野 昇(文学研究科)
藤井博信(自然科学研究支援開発センター) 松村昌信(工学研究科)
三浦省五(教育学研究科) 水上千之(社会科学研究科) 宗岡洋二郎(総合科学部)
山本義雄(生物圏科学研究科) 吉田二美恵(附属図書館)
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