2001年12月上旬刊行!!

『現代ドイツ言語学入門

生成・認知・類型のアプローチから


大修館書店, 240頁, 定価2500円



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生成文法をはじめ,認知言語学や言語類型論,
さらには形式意味論など,近年の言語学におけ
る多彩な理論の発展は,ドイツ語への世界的関
心を喚起した。ドイツ語とはこういうものだと
いう規範的立場ではなく,他の言語の分析にも
通用する言語普遍的観点から,現代ドイツ語の
多様な現象を解説した画期的な入門書。









「まえがき」より


 大学の授業でドイツ語を学習する学生は相当数にのぼる。また,社会人
の方でドイツ語を学んでいる人もかなりいると思う。名詞の性や複雑な格
変化に悩まされ,「ドイツ語の文法は難しい」と感じた方も少なくないだ
ろう。しかし,「意外と日本語に似ているな」と思ったことはないだろう
か?例えば,(「が・の・に・を」に対応する)4 つの格,自由な語順,
副文(従属節)のSOV 語順が日本語に似ていることなど。また,述語の
「枠構造」など,英語や日本語にない現象に驚いた経験はないだろうか?
参考書をひも解けば,これらについてひととおりの説明はあるが,たいて
いはドイツ語に特有の規則として片づけられる。説明があっても,ドイツ
語学の世界でしか通用しない特殊な用語で書かれているため,他の言語と
の比較が見えにくい。そこで本書では,「とにかくドイツ語とはこういう
ものだ」といった規範的な立場ではなく,他の言語の分析にも通用する言
語普遍的な立場から,ドイツ語に固有の現象を解説する。味加減は濃厚だ
が,この本を読めば,読者の疑問はすっきりと消化するだろう。
 近年,言語学の分野では,生成文法をはじめ,認知言語学や言語類型論,
形式意味論などの理論が発展するにしたがい,マイナーな言語を含めてさ
まざまな言語がとりあげられるようになってきた。英語を言語研究の中心
的な対象とする従来の見方はむしろ薄れている。その一例として,日本語
に対する世界的関心があげられる。ドイツ語に対する関心も高まっており,
ドイツ語の専門家ではない研究者たちからもドイツ語についての議論がな
されている。例えば,生成文法理論において自由語順を意味する「かき混
ぜ」の問題が注目されているが,その典型とみなされる言語が日本語とド
イツ語なのである。他にも格や態(能動,受動)の問題,再帰構文など,
興味深い現象がドイツ語には多い。・・・