[嶋村正樹] [植物分類生態学研究室]
Last updated on 2012/12/20

コケ植物の新しい分類体系(新しい植物分類学II「コケ植物」の要約)

 コケ植物は世界に約2万種が知られており、タイ類 (タイ門:Marchantiophyta)、セン類 (セン門:Bryophyta)、ツノゴケ類 (ツノゴケ門:Anthocerotophyta) の3つの植物群を含んでいる。これらは、4億年以上前に現れた様々な植物群のうち、現在まで生き残った系統群で、3群それぞれは共通の祖先をもつ(単系統群)と考えられる。タイ類、セン類、ツノゴケ類、維管束植物の間の系統関係は、様々な議論があるが、最近の分子系統学的研究では、タイ類が最も初期に分岐し、ツノゴケ類が維管束植物と姉妹群になることが示されている。  タイ類の配偶体は、茎と葉の区別がある茎葉性または、茎と葉の区別がない平たい葉状性で、葉は茎に規則正しく2−3列に付くため、左右相称の外形を持つものが多い。茎葉性のタイ類は、たいてい1枚の葉が2〜4裂、あるいは細かい裂片に分かれている。セン類の配偶体は茎葉性で、葉は茎に対して螺旋状に配置するため、放射相称に近い外形を持つものが多い。セン類の葉は先が尖り、葉の中央部には中肋とよばれる多細胞層の葉脈状の構造がみられるものが多く、タイ類の葉のように深裂することは少ない。ツノゴケ類の配偶体はすべて葉状性で、一見して葉状性のタイ類に似た外形である。しかし、生殖器官をつけるための特別な枝や、葉的な保護器官なく、造精器や造卵器は葉状体の内部に埋没して形成される点がタイ類と異なっている。またすべての種で葉状体の内部にラン藻を共生させる小室がある。コケ植物の多くは生育場所に植物体を固定したり、水分を吸収するための仮根とよばれる糸状の組織をもつが、セン類の仮根は多くの細胞が連なったもので、タイ類とツノゴケ類の仮根は単一の細胞が伸長したものである。これら3群の配偶体は長い進化の歴史でそれぞれに多様化を遂げており、例外的な形態を示す種も多いため、3群の特徴を理解するためには、細胞の構造、発生過程、胞子体の形態などの情報も重要である。

コケ植物

 タイ類は、約6,000種が知られ,最新の分類体系では,分子系統学的研究の成果を反映してコマチゴケ綱(Haplomitriopsida)、ゼニゴケ綱(Marchantiopsida)、ツボミゴケ綱 (Jungermanniopsida) の3群に再編成された。タイ類の中で最も初期に分岐したと考えられているコマチゴケ綱(約20種)には、コマチゴケ科のみを含むコマチゴケ亜綱 (Haplomiriidae)とトロイブゴケ科のみを含むトロイブゴケ亜綱 (Treubiidae)が含まれる。コマチゴケ綱は造卵器や造精器を保護するための特別な葉的器官をもたない。また、仮根を持たず、コマチゴケ科では、葉をつけない根茎で生育基物にとりつくなど、コケ植物として例外的な特徴がある(図a)。これらの特徴はタイ類の中でも原始的な形態と考えられている。ゼニゴケを含むゼニゴケ綱(約400種)は、扁平な葉状体の外形をもつグループである。ゼニゴケ綱では、外界と通じる小さな穴(気室孔)を備えた細胞間隙(気室)をもつ複雑葉状性とよばれる体制が典型的である。ゼニゴケ綱は、ウスバゼニゴケ亜綱 (Blasiidae)とゼニゴケ亜綱 (Marchantiidae) に分けられる。ウスバゼニゴケ亜綱は、ウスバゼニゴケ (Blasia pusilla)とシャクシゴケ (Cavicularia densa)の2種からなるウスバゼニゴケ科 (Blasiaceae) のみを含む。これら2種は、ゼニゴケ綱としては例外的に気室をもたない単純葉状性の体制をもち、ツノゴケ類のように、ラン藻を共生させる小室をもつ。葉状体の頂端部に、タイ類としては大型の胞子体を形成する。ゼニゴケ亜綱のうち、もっとも大きな分類群であるゼニゴケ目では雄器托・雌器托とよばれる、生殖器官をつけるための傘状の枝をもつものが多い。ゼニゴケ科では雌器托上部の雌器床から沢山の小型の胞子体が懸垂して成長する(図b)。ツボミゴケ綱はタイ類の大半の種を含む分類群で、その形態も多様であり、直立する茎葉性(図c:ツボミゴケ亜綱・ツボミゴケ目)、生育基物に沿って匍匐する茎葉性(図d:ツボミゴケ亜綱・クラマゴケモドキ目)、組織分化に乏しい扁平な単純葉状性(図e:ミズゼニゴケ亜綱, f:フタマタゴケ亜綱)と様々である。カリプトラに包まれた胞子体は、さらに花被(葉状性の種では偽花被)とよばれる、葉が癒合したツボミ状の保護組織に覆われた状態で成長する。
 以下に示すタイ類の分類体系は、基本的にはCrandall-Stotlerらが2009年に発表した分類体系に基づいている。フタマタゴケ目のヌエゴケ科に関しては、私たちの研究グループの研究結果に基づき、ツボミゴケ目ツキヌキゴケ科に含める見解を採用した。

 セン類は、約13,000種を含み,最近の分類体系では,ナンジャモンジャゴケ綱 (Takakiopsida)、ミズゴケ綱 (Sphagnopsida)、クロゴケ綱 (Andreaeopsida)、 クロマゴケ綱 (Andreaeobryopsida)、イシヅチゴケ綱 (Oedipodiopsida)、スギゴケ綱 (Polytrichopsida)、ヨツバゴケ綱 (Tetraphidopsida)、マゴケ綱 (Bryopsida)の8つの綱に分類されている。セン類のほとんどの種類はマゴケ綱に含まれ、その他の分類群は、セン類の進化の初期に分岐した遺存的な分類群と考えられている。マゴケ亜綱に関しては、分子系統学的解析が不十分な科が多く、ハイゴケ上目などを中心に今後も分類体系の再編成が進むと思われる。
 ナンジャモンジャゴケ綱は、ナンジャモンジャゴケ綱は、葉が棒状で、造卵器や造精器が裸出すること、葉をつけない根茎状のシュートを持つこと、仮根を持たないこと、胞子嚢が斜めに裂開するなど、他のセン類にみられない特異な形態で特徴づけられる(図g)。配偶体の形態にタイ類のコマチゴケ綱と共通する点が多いため、かつてはタイ類に分類されていたこともある。
 ミズゴケ綱はミズゴケ目 (Sphagnales)のみからなり、ミズゴケ科,フラトベルグミズゴケ科,ムカシミズゴケ科がみとめられている。大半の種はミズゴケ科に含まれ、フラトベルグミズゴケ科は1種,ムカシミズゴケ科は2種のみを含む。今まで研究の進んでいなかった南半球の種についても今後、分子系統学的研究が進むにつれ、分類体系は再編成されていくだろう。ミズゴケ綱の胞子体は球状の外形をもち、胞子嚢が乾いて縮むと上部の蓋が開き、胞子を爆発的に放出する。セン類の胞子体は胞子嚢をもちあげるための蒴柄とよばれる構造をもつのが普通だが、ミズゴケ綱の胞子体には蒴柄がない。そのかわり、胞子体の基部付近の配偶体組織が伸長した偽柄とよばれる組織で胞子嚢がもちあげられる(図h)。葉には、孔の開いた水を貯えるための死細胞(透明細胞または貯水細胞)と光合成を行う細胞(葉緑細胞)が交互に並んでいるのが特徴である。胞子が発芽すると、幅の広い葉状の原糸体を経て茎葉性の植物体が形成される。
 クロゴケ綱は黒みを帯びた配偶体をもち、主に高標高、高緯度の地域に分布する。原糸体は複数の細胞列からなるリボン状である。胞子体はミズゴケ綱と同様に蒴柄がなく、偽柄によってもちあげられる。胞子嚢には蓋がなく、縦方向に4−8列のスリットが生じることで胞子を放出する(図i)。クロマゴケ綱は、クロゴケ綱とよく似た形態をもつが、胞子体に柄をもつことが大きく異なっている。
 イシヅチゴケ綱はイシヅチゴケ (Oedipodium griffithianum) 1種のみを含み、南米大陸の南端、北半球の高緯度あるいは高標高の地域にのみ分布する。短い茎に柔らかい葉が密についた配偶体をもつ。胞子体には蓋があり、胞子嚢は蓋を持ち、先端で横方向に裂開するが、蒴歯をもたない。原糸体は幅の広いヘラ状である。
 スギゴケ綱は、葉の表面に薄板とよばれる突起が並んでいることで特徴づけられる。スギゴケ綱ではコケ植物としては通導組織がよく発達し、ハイドロイドとレプトイドとよばれる、機能的に維管束植物の仮道管と師管に相当する組織が発達する。糸状に分岐した単列の細胞からなる原糸体を形成する種が多い。胞子体の上部には蓋が分化し、蓋が外れた開口部には多数の死細胞の列からなる無関節蒴歯 (nematodontous peristome) がある。
 ヨツバゴケ綱は胞子体に気孔がなく、蒴歯が4枚しかないことで特徴付けられる。原糸体は幅の広いヘラ状である。
 マゴケ綱はセン類の中で最大の分類群で10,000種以上を含み,形態も多様性に富んでいる。糸状に分岐した単列の細胞からなる原糸体を形成する種が多い。胞子体の蒴歯は、死細胞の細胞壁の一部からなる有関節蒴歯 (arthrodontous peristome) で、典型的には内外二重の蒴歯をもつが,退化している場合も多い。蒴歯の形態はマゴケ綱の分類で重要な形質となっている。マゴケ綱は、以下の6つの亜綱に分類されている。キセルゴケ亜綱 (Buxbauimiidae)は腐生的な生育をする微細な配偶体の上に、配偶体に比べ大型で非対称な外形の胞子体を形成することが特徴である。イクビゴケ亜綱 (Diphiysciidae)は短い茎に葉が密についた配偶体の上に、蒴柄が非常に短い胞子体をつけることで特徴づけられる。トランペット型の原糸体を形成し、その根元から植物体がつくられる。クサスギゴケ亜綱 (Timmiidae)は内外二重の蒴歯をもち,内側の蒴歯の基部が互いに繋がって膜状となっているのが特徴である。ヒョウタンゴケ亜綱 (Funariidae)は内外二重の蒴歯が重なるように配列する対生型複列蒴歯を持つものが多い(図k)。シッポゴケ亜綱 (Dicranidae)は、単列蒴歯をもつものが多い(図l)。マゴケ亜綱 (Bryidae)は内外二重の蒴歯が交互に配置する互生型複列蒴歯をもつものが多い(図m)。分子系統学的研究により、マゴケ綱でみられる蒴歯型の中で、対生型複列蒴歯が祖先的な形態であることが指摘されている。

 タイ類とセン類では胞子体内部の組織分化が同調的におこり、胞子形成(減数分裂)も一斉におこるのに対し、ツノゴケ類の胞子体は、基部に分裂組織をもち、上方に向いて新たな胞子体組織を継続的に形成し続ける(図n)。ツノゴケ類は約150種のみを含み,タイ類、セン類と比べて小さな分類群である。ツノゴケ類の分類では、胞子や弾糸、造精器の表皮細胞の形態、1つの造精器腔あたりの造精器の数、胞子体内部の組織構造、気孔の有無、葉緑体の内部構造や数などが分類形質として重要視されている。最近、ツノゴケ類の中でスジツノゴケ (Leiosporoceros dussii)1種のみからなるスジツノゴケ属 (Leiosporoceros) が、形態的にも系統的にも他のツノゴケ類とは全くかけ離れていることが明らかになった。ツノゴケ類ではすべての種で空中窒素を固定するラン藻を共生させるための球状の小室を葉状体内部に多数もっているが、スジツノゴケ属ではラン藻の共生している部分が植物体(葉状体)の中央部分で、生長軸方向に長く伸びた管状の構造となっている。胞子体は胞子を形成する胞原組織がツノゴケ類の中で最も分厚く発達しており、6〜9細胞の厚みを持っている。胞子は他のツノゴケ類では典型的なY字型の筋や表面の模様を欠いている。
 ツノゴケ類については、ここではRenzagliaらが2008年に発表した分類体系に従っている。従来の分類体系ではすべての種がツノゴケ科とツノゴケモドキ科に含められていたが、新しい分類体系ではスジツノゴケ科、ツノゴケ科、ツノゴケモドキ科、キノボリツノゴケ科、ナガイモツノゴケ科に大別される。ツノゴケ科は、胞子が黒色で模様があり、1つの造精器腔に数十個に達する、多数の造精器を形成することなどで特徴づけられる。ツノゴケモドキ科は翼部のある比較的色の薄い色の胞子、1つの造精器腔に数個の造精器を形成することなどで特徴づけられる。ツノゴケモドキ科には発達した胞子体をもつニワツノゴケ亜科と胞子体が退化的で気孔をもたないツノゴケモドキ亜科を含んでいる。キノボリツノゴケ科は、1つの造精器腔に1つの造精器しか形成しないこと、タイ類でみられるような螺旋肥厚をもつ弾糸を形成するものが多いことなどで特徴づけられる。キノボリツノゴケ科に含まれる分類群では,生育基物、葉緑体の数や形態、胞子体の形態などに多様性があり、樹上で固着生活をするキノボリツノゴケ属 (Dendroceros)、ピレノイドのない多数の葉緑体数を持ち、胞子体に気孔がないアナナシツノゴケ属 (Megaceros)など、ツノゴケ類としては例外的な性質、形態をもつものがある。ナガイモツノゴケ科はツノゴケモドキ科とキノボリツノゴケ科の中間的な形態をもつ2種からなり、ナガイモツノゴケ属のみを含む。葉状体の腹面に、非常に長い柄をもつ無性芽を形成する。

コケ植物の新しい分類体系(科より上位)

「新しい植物分類学II」の巻末分類表校了時のエクセルファイル張りました。
斜体は日本に生育しない分類群です。

コケ植物の新しい分類体系(2012年12月20日版)                        
                        目名・亜目名 科名・亜科名
コケ植物
Marchantiophyta Stotler & Crand.-Stotl. タイ門(タイ類)
Haplomitriopsida Stotler & Crand.-Stotl. コマチゴケ綱
Treubiidae Stotler & Crand.-Stotl. トロイブゴケ亜綱
Treubiales Schljakov トロイブゴケ目
Treubiaceae Verd. トロイブゴケ科
Haplomitriidae Stotler & Crand.-Stotl. コマチゴケ亜綱
Calobryales Hamlin コマチゴケ目
Haplomitriaceae Dĕdeček コマチゴケ科 
Marchantiopsida Cronquist, Takht. & W. Zimm. ゼニゴケ綱
Blasiidae He-Nygrén, Juslén, Ahonen, Glenny & Piippo ウスバゼニゴケ亜綱
Blasiales Stotler & Crand.-Stotl. ウスバゼニゴケ目
Blasiaceae H.Klinggr. ウスバゼニゴケ科
Marchantiidae Engl. ゼニゴケ亜綱
Sphaerocarpales Cavers ダンゴゴケ目
Sphaerocarpaceae Heeg, ダンゴゴケ科
Riellaceae Engl. リエラゴケ科
Neohodgsoniales D.G.Long ホジソンゴケ目
Neohodgsoniaceae D.G.Long ホジソンゴケ科
Lunulariales D.G.Long, ミカヅキゼニゴケ目
Lunulariaceae H.Klinggr. ミカヅキゼニゴケ科
Marchantiales Limpr. ゼニゴケ目
Marchantiaceae Lindl. ゼニゴケ科
Aytoniaceae Cavers ジンガサゴケ科
Cleveaceae Cavers ジンチョウゴケ科
Monosoleniaceae Inoue ヤワラゼニゴケ科
Conocephalaceae Müll.Frib. ex Grolle ジャゴケ科
Cyathodiaceae Stotler & Crand.-Stotl. ヒカリゼニゴケ科
Exormothecaceae Müll.Frib. ex Grolle ジャゴケモドキ科
Corsiniaceae Engl. ゼニゴケモドキ科
Monocarpaceae D.J.Carr ex Schelpe アワゼニゴケ科
Oxymitraceae Müll.Frib. ex Grolle ハタケゴケモドキ科
Ricciaceae Rchb. ウキゴケ科
Wiesnerellaceae Inoue アズマゼニゴケ科
Targioniaceae Dumort. ハマグリゼニゴケ科
Monocleaceae A.B.Frank ミミカキゴケ科
Dumortieraceae D.G.Long ケゼニゴケ科
Jungermanniopsida Stotler & Crand.-Stotl. ツボミゴケ綱
Pelliidae He-Nygrén, Juslén, Ahonen, Glenny & Piippo ミズゼニゴケ亜綱
Pelliales He-Nygrén, Juslén, Ahonen, Glenny & Piippo ミズゼニゴケ目
Pelliaceae H. Klinggr, Höh. ミズゼニゴケ科 
Fossombroniales Schljakov ウロコゼニゴケ目.
Calyculariineae He-Nygrén, Juslén, Ahonen, Glenny & Piippo ミヤマミズゼニゴケ亜目
Calyculariaceae He-Nygrén, Juslén, Ahonen, Glenny & Piippo ミヤマミズゼニゴケ科.
Makinoiineae He-Nygrén, Juslén, Ahonen, Glenny & Piippo マキノゴケ亜目
Makinoaceae Nakai マキノゴケ科
Fossombroniineae R.M.Schust. ex Stotler & Crand.-Stotl. ウロコゼニゴケ亜目
Petalophyllaceae Stotler & Crand.-Stotl. ハナビラゼニゴケ科
Allisoniaceae Schljakov アリソンゴケ科
Fossombroniaceae Hazsl. ウロコゼニゴケ科
Pallaviciniales W.Frey & M.Stech クモノスゴケ目
Phyllothalliineae R.M.Schust. ウロコゴケダマシ亜目
Phyllothalliaceae E.A.Hodgs. ウロコゴケダマシ科
Pallaviciniineae R.M.Schust. クモノスゴケ亜目
Sandeothallaceae R.M.Schust. ヤマトヤハズゴケ科
Moerckiaceae Stotler & Crand.-Stotl. チジレヤハズゴケ科
Hymenophytaceae R.M.Schust. コケシノブダマシ科
Pallaviciniaceae Mig. クモノスゴケ科
Metzgeriidae Barthol.-Began フタマタゴケ亜綱
Pleuroziales Schljakov ミズゴケモドキ目
Pleuroziaceae Müll.Frib. ミズゴケモドキ科
Metzgeriales Chalaud フタマタゴケ目
Metzgeriaceae H.Klinggr. フタマタゴケ科
Aneuraceae H.Klinggr. スジゴケ科
Jungermanniidae Engl. ツボミゴケ亜綱
Porellales Schljakov クラマゴケモドキ目
Porellineae R.M.Schust. クラマゴケモドキ亜目
Porellaceae Cavers クラマゴケモドキ科
Goebeliellaceae Verd. ゲーベルゴケ科
Lepidolaenaceae Nakai フクロクラマゴケモドキ科
Radulineae R.M.Schust. ケビラゴケ亜目
Radulaceae Müll.Frib. ケビラゴケ科
Jubulineae Müll.Frib. ヒメウルシゴケ亜目
Frullaniaceae Lorch ヤスデゴケ科
Jubulaceae H.Klinggr. ヒメウルシゴケ科
Lejeuneaceae Cavers クサリゴケ科
Ptilidiales Schljakov テガタゴケ目
Ptilidiaceae H.Klinggr. テガタゴケ科
Neotrichocoleaceae Inoue サワラゴケ科
Herzogianthaceae Stotler & Crand.-Stotl. ヘルツォークゴケ科
Jungermanniales H.Klinggr. ツボミゴケ目
Perssoniellineae R.M.Schust. ペルソンゴケ亜目
Perssoniellaceae R.M.Schust. ex Grolle ペルソンゴケ科
Schistochilaceae H. Buch オヤコゴケ科
Lophocoleineae Schljakov ウロコゴケ亜目
Pseudolepicoleaceae Fulford & J. Taylor マツバウロコゴケ科
Trichocoleaceae Nakai ムクムクゴケ科
Grolleaceae Solari ex R.M.Schust. グローレゴケ科
Mastigophoraceae R.M.Schust. オオサワラゴケ科
Herbertaceae Müll.Frib. ex Fulford & Hatcher キリシマゴケ科
Vetaformataceae Fulford & J.Taylor ムカシウロコゴケ科
Lepicoleaceae R.M.Schust. ヤクシマスギバゴケ科
Phycolepidoziaceae R.M.Schust. モクズムチゴケ科
Lepidoziaceae Limpr. ムチゴケ科
Lophocoleaceae Vanden Berghen ウロコゴケ科
Brevianthaceae J.J.Engel & R.M.Schust. ソコマメゴケダマシ科
Chonecoleaceae R.M.Schust. ex Grolle コヤバネゴケモドキ科
Plagiochilaceae Müll.Frib. & Herzog ハネゴケ科
Cephaloziineae Schljakov ヤバネゴケ亜目
Adelanthaceae Grolle ケハネゴケモドキ科
Jamesoniellaceae He-Nygrén, Juslén, Ahonen, Glenny & Piippo アキウロコゴケ科
Cephaloziaceae Mig. ヤバネゴケ科
Cephaloziellaceae Douin コヤバネゴケ科
Scapaniaceae Mig. ヒシャクゴケ科
Jungermanniineae R.M.Schust. ex Stotler & Crand.-Stotl. ツボミゴケ亜目
Myliaceae Schljakov カタウロコゴケ科
Trichotemnomataceae R.M.Schust. ケバゴケ科
Balantiopsidaceae H.Buch ヤクシマゴケ科
Acrobolbaceae E.A.Hodgs. チチブイチョウゴケ科
Blepharidophyllaceae R.M.Schust. コオイゴケモドキ科
Arnelliaceae Nakai アルネルゴケ科
Jackiellaceae R.M.Schust. タカサゴソコマメゴケ科
Calypogeiaceae Arnell ツキヌキゴケ科
Delavayellaceae R.M.Schust. デラヴァイゴケ科
Jungermanniaceae Rchb. ツボミゴケ科
Solenostomataceae Stotler & Crand.-Stotl. ソロイゴケ科
Geocalycaceae H.Klinggr. ソコマメゴケ科
Gyrothyraceae R.M.Schust. ネジミゴケ科
Antheliaceae R.M.Schust. カサナリゴケ科
Gymnomitriaceae H.Klinggr. ミゾゴケ科
Bryophyta Shimp. セン門(セン類)
Takakiopsida Stech & W.Frey ナンジャモンジャゴケ綱
Takakiales Stech & W.Frey ナンジャモンジャゴケ目
Takakiaceae Stech & W.Frey ナンジャモンジャゴケ科
Sphagnopsida Ochyra ミズゴケ綱
Sphagnales Limpr. ミズゴケ目
Sphagnaceae Dumort. ミズゴケ科
Flatbergiaceae A.J.Shaw フラトベルグミズゴケ科
Ambuchananiaceae A.J.Shaw ムカシミズゴケ科
Andreaeopsida J. H. Schaffn. クロゴケ綱
Andreaeales Limpr. クロゴケ目
Andreaeaceae Dumort. クロゴケ科
Andreaeobryopsida Goffinet & W.R.Buck クロマゴケ綱
Andreaeobryales B. M. Murray クロマゴケ目
Andreaeobryaceae Steere クロマゴケ科
Oedipodiopsida Goffinet & W.R.Buck イシヅチゴケ綱
Oedipodiales Goffinet & W.R.Buck イシヅチゴケ目
Oedipodiaceae Schimp. イシヅチゴケ科
Polytrichopsida Doweld スギゴケ綱
Polytrichales M. Fleisch. スギゴケ目
Polytrichaceae Schwägr. スギゴケ科
Tetraphidopsida Goffinet & W.R.Buck ヨツバゴケ綱
Tetraphidales M. Fleisch. ヨツバゴケ目
Tetraphidaceae Schimp. ヨツバゴケ科
Bryopsida Rothm. マゴケ綱
Buxbaumiidae Doweld キセルゴケ亜綱
Buxbaumiales M. Fleisch. キセルゴケ目
Buxbaumiaceae Schimp. キセルゴケ科
Diphysciidae Ochyra イクビゴケ亜綱
Diphysciales M. Fleisch. イクビゴケ目
Diphysciaceae M. Fleisch. イクビゴケ科
Timmiidae Ochyra クサスギゴケ亜綱
Timmiales Ochyra クサスギゴケ目
Timmiaceae Schimp. クサスギゴケ科
Funariidae Ochyra ヒョウタンゴケ亜綱
Gigaspermales Goffinet, Wickett, O. Werner, Ros, A.J. Shaw & C.J.Cox ハイツボゴケ目
Gigaspermaceae Lindb. ハイツボゴケ科
Encalyptales Dixon ヤリカツギ目
Bryobartramiaceae Sainsb. ホオズキゴケ科
Encalyptaceae Schimp. ヤリカツギ科
Funariales M. Fleisch. ヒョウタンゴケ目
Funariaceae Schwägr. ヒョウタンゴケ科
Disceliaceae Schimp. ヨレエゴケ科
Dicranidae Doweld シッポゴケ亜綱
Scouleriales Goffinet & W.R.Buck クロカワナガレゴケ目
Scouleriaceae S.P.Churchill in Funk & D.R.Brooks クロカワナガレゴケ科
Drummondiaceae Goffinet オオミゴケ科
Bryoxiphiales H. A. Crum & L. E. Anderson エビゴケ目
Bryoxiphiaceae Besch. エビゴケ科
Grimmiales M. Fleisch. ギボウシゴケ目
Grimmiaceae Arn. ギボウシゴケ科
Ptychomitriaceae Schimp. チジレゴケ科
Seligeriaceae Schimp. キヌシッポゴケ科
Archidiales Limpr. ツチゴケ目
Archidiaceae Schimp. ツチゴケ科
Dicranales H. Philib. ex M. Fleisch. シッポゴケ目
Fissidentaceae Schimp. ホウオウゴケ科
Hypodontiaceae Stech & W.Frey ニセカタシロゴケ科
Eustichiaceae Broth. エビゴケモドキ科
Ditrichaceae Limpr. キンシゴケ科
Bruchiaceae Schimp. ブルッフゴケ科
Rhachitheciaceae H.Rob. キブネゴケ科
Erpodiaceae Broth. ヒナノハイゴケ科
Schistostegaceae Schimp. ヒカリゴケ科
Viridivelleraceae I.G.Stone エツキカゲロウゴケ科
Rhabdoweisiaceae Limpr. ヤスジゴケ科
Dicranaceae Schimp. シッポゴケ科
Micromitriaceae Smyth ex Goffinet & Budke カンムリゴケ科
Leucobryaceae Schimp. シラガゴケ科
Calymperaceae Kindb. カタシロゴケ科
Pottiales M. Fleisch. センボンゴケ目
Pottiaceae Schimp. センボンゴケ科
Pleurophascaceae Broth. ツヤサワゴケ科
Serpotortellaceae W.D.Reese & R.H.Zander ハイヨリイトゴケ科
Mitteniaceae Broth. ミナミヒカリゴケ科
Bryidae Engl. マゴケ亜綱
Bryanae (Engl.) Goffinet & W.R.Buck マゴケ上目
Splachnales (M. Fleisch.) Ochyra オオツボゴケ目
Splachnaceae Grev. & Arn. オオツボゴケ科
Meesiaceae Schimp. ヌマチゴケ科
Bryales Limpr. マゴケ目
Catoscopiaceae Broth. ゴルフクラブゴケ科
Pulchrinodaceae D. Quandt, N.E.Bell & Stech ウツクシナゾゴケ科
Bryaceae Schwägr. ハリガネゴケ科
Phyllodrepaniaceae Crosby カタフチゴケ科
Pseudoditrichaceae Steere & Z.Iwats. ニセキンシゴケ科
Mniaceae Schwägr. チョウチンゴケ科
Leptostomataceae Schwägr. ハリヤマゴケ科
Bartramiales D. Quandt, N.E.Bell & Stech タマゴケ目
Bartramiaceae Schwägr. タマゴケ科
Orthotrichales Dixon タチヒダゴケ目
Orthotrichaceae Arn. タチヒダゴケ科
Hedwigiales Ochyra ヒジキゴケ目
Hedwigiaceae Schimp. ヒジキゴケ科
Helicophyllaceae Broth. ホゴケモドキ科
Rhacocarpaceae Kindb. ミナミヒジキゴケ科
Rhizogoniales (M. Fleisch.) Goffinet & W.R.Buck ヒノキゴケ目
Rhizogoniaceae Broth. ヒノキゴケ科
Aulacomniaceae Schimp. ヒモゴケ科
Orthodontiaceae Goffinet タチハゴケ科
Hypnanae W.R.Buck, Goffinet & A. J. Shaw ハイゴケ上目
Hypnodendrales N.E.Bell, A.E.Newton & D.Quandt キダチゴケ目
Braithwaiteaceae N.E.Bell, A.E.Newton & D.Quandt ブレイスウェイトゴケ科
Racopilaceae Kindb. ホゴケ科
Pterobryellaceae (Broth.) W.R. Buck & Vitt ハネキダチゴケ科
Hypnodendraceae Broth. キダチゴケ科
Ptychomniales W.R.Buck, C.J.Cox, A.J.Shaw & Goffinet スジイタチゴケ目
Ptychomniaceae M. Fleisch. スジイタチゴケ科
Hookeriales M. Fleisch. アブラゴケ目
Hypopterygiaceae Mitt. クジャクゴケ科
Saulomataceae W.R.Buck, C.J.Cox, A.J.Shaw & Goffinet ヤリバアブラゴケ科
Daltoniaceae Schimp. ホソバツガゴケ科
Schimperobryaceae W.R.Buck, C.J.Cox, A.J.Shaw & Goffinet. シンパーゴケ科
Hookeriaceae Schimp. アブラゴケ科
Leucomiaceae Broth. ホソハシゴケ科
Pilotrichaceae Kindb. カサイボゴケ科
Hypnales (M. Fleisch.) W.R.Buck & Vitt ハイゴケ目
Rutenbergiaceae M. Fleisch. アフリカトラノオゴケ科
Trachylomataceae W.R.Buck & Vitt オオハシゴケ科
Fontinalaceae Schimp. カワゴケ科
Climaciaceae Kindb. コウヤノマンエングサ科
Amblystegiaceae G.Roth ヤナギゴケ科
Calliergonaceae ササバゴケ科
Helodiaceae Ochyra ヌマシノブゴケ科
Rigodiaceae H.A.Crum タチシノブゴケ科
Leskeaceae Schimp. ウスグロゴケ科
Thuidiaceae Schimp. シノブゴケ科
Regmatodontaceae Broth. ニセウスグロゴケ科
Stereophyllaceae W.R.Buck & Ireland カタハゴケ科
Brachytheciaceae G. Roth. アオギヌゴケ科
Meteoriaceae Kindb. ハイヒモゴケ科
Myriniaceae Schimp. マイリンゴケ科
Fabroniaceae Schimp. コゴメゴケ科
Hypnaceae Schimp. ハイゴケ科
Catagoniaceae W.R.Buck & Ireland フナバハイゴケ科
Pterigynandraceae Schimp. ネジレイトゴケ科
Hylocomiaceae M. Fleisch. イワダレゴケ科
Rhytidiaceae Broth. フトゴケ科
Symphyodontaceae M.Fleisch. ウニゴケ科
Plagiotheciaceae (Broth.) M.Fleisch. サナダゴケ科
Entodontaceae Kindb. ツヤゴケ科
Pylaisiadelphaceae Goffinet & W.R.Buck コモチイトゴケ科
Sematophyllaceae Broth. ナガハシゴケ科
Cryphaeaceae Schimp. イトヒバゴケ科
Prionodontaceae Broth. サガリノコギリゴケ
Leucodontaceae Schimp. イタチゴケ科
Pterobryaceae Kindb. ヒムロゴケ科
Phyllogoniaceae Kindb. フナバゴケ科
Orthorrhynchiaceae S.H.Lin ニセフナバゴケ科
Lepyrodontaceae Broth. ミナミイタチゴケ科
Neckeraceae Schimp. ヒラゴケ科
Echinodiaceae Broth. コワバゴケ科
Leptodontaceae Schimp. スズゴケ科
Lembophyllaceae Broth. コクサゴケ科
Myuriaceae M. Fleisch. ナワゴケ科
Anomodontaceae Kindb. キヌイトゴケ科
Miyabeaceae Enroth, S.Olsson, Buchbender, Hedenäs, Huttunen & D.Quandt ミヤベゴケ科
Theliaceae M. Fleisch. ヒゲゴケ科
Microtheciellaceae H.A.Mill. & A. J.Harr. スジバヒナノハイゴケ科
Sorapillaceae M.Fleisch. スケバゴケ科
Anthocerotophyta Stotl. & Crand.-Stotl. ツノゴケ門
Leiosporocerotopsida Stotl. & Crand.-Stotl. スジツノゴケ綱
Leiosporocerotales Hässel スジツノゴケ目
Leiosporocerotaceae Hässel ex Ochyra スジツノゴケ科
Anthocerotopsida Jancz. ex Stotl. & Crand.-Stotl. ツノゴケ綱
Anthocerotidae Rosenv. corr. Prosk. emend Duff et al. ツノゴケ亜綱
Anthocerotales Limpr. in Cohn. ツノゴケ目
Anthocerotaceae Dumort. corr. Trevis. emend Hässel ツノゴケ科
Notothylatidae Duff, J.C. Villarreal, Cargill & Renzaglia ツノゴケモドキ亜綱
Notothyladales Hyvönen & Piippo ツノゴケモドキ目
Notothyladaceae (Milde) Müll.Frib. ex Prosk., emend. Hässel ツノゴケモドキ科
Notothylatoideae Grolle ツノゴケモドキ亜科
Phaeocerotoideae Hässel ニワツノゴケ亜科
Dendrocerotidae Duff, J.C. Villarreal, Cargill & Renzaglia, キノボリツノゴケ亜綱
Dendrocerotales Hässel emend. Duff et al. キノボリツノゴケ目
Dendrocerotaceae (Milde) Hässel emend Duff et al. キノボリツノゴケ科
Dendrocerotoideae R.M.Schust. キノボリツノゴケ亜科
Phaeomegacerotoideae Duff, J.C.Villarreal, Cargill & Renzaglia ミナミツノゴケ亜科
Phymatocerotales Duff, J.C.Villarreal, Cargill & Renzaglia ナガイモツノゴケ目
              Phymatocerotaceae Duff, J.C.Villarreal, Cargill & Renzaglia     ナガイモツノゴケ科

新しい植物分類学II(講談社)で新たに提案した和名について

新しい植物分類学II(講談社)で巻末の分類表のコケの部分を担当するにあたり、新分類群の提案や分類群の定義の変更に関連し、新たな和名を提案した。主要な変更点として、Jungermanniidaeについて、従来「ウロコゴケ亜綱」の和名が与えられることが多かったが、今回はじめて「ツボミゴケ亜綱」の名称を用い、Jungermannia属の名を冠したすべての分類階級で「ツボミゴケ」の和名を用いている。Jungermannia属の名を冠する分類群すべてに「ウロコゴケ」の名称を用いた場合,ウロコゴケ亜目に,ウロコゴケ属(Heteroscyphus)が含まれないという齟齬が生じていた。「科」の階層に関しても、新しい分類体系では、これまで長年使われてきた和名が、その科に含まれる日本産の属や種の和名とうまくかみ合わないということが生じているので、いくつかの科で和名の変更を提案した。例えばGeocalycaceaeについては、従来「ウロコゴケ科」の和名でよばれてきたが、現在この科に含まれる属の形態はソコマメゴケ属(Geocalyx)でみられるように多肉質の下垂する雌花序(マルスピウム)で特徴づけられるため、「ソコマメゴケ科」の和名を与えた。その一方で、和名に〜ウロコゴケの名称がつく種の大半を含んでいるLophocoleaceaeに「ウロコゴケ科」の和名をあてた。 また、学名をカタカナ表記した表記はなるべく避けてほしいとの依頼があり、日本国内に生育せず、これまで和名がなかったいくつかの分類群にも新たに和名を提案した。 日本の野生植物コケ(平凡社)、生物学事典(東京化学同人)など広く普及している書籍で使われている和名には可能な限りしたがったが、従来使われてきた和名の一部は現在の分類体系と齟齬が生じており、今後も再考が必要である。

Jungermanniopsida ツボミゴケ綱
新称:Jungermania属の名を冠した上位分類群の名称はツボミゴケの和名で統一した.従来用いられた「ウロコゴケ綱」の和名は,コマチゴケやトロイブゴケなど,ツボミ状の胞子体保護器官(花被)を持たない分類群も含む、旧分類体系における名称として利用すれば良いのではないか

Petalophyllaceae ハナビラゼニゴケ科
新称:(petal+phyllum)に由来。

Sandeothallaceae ヤマトヤハズゴケ科
新称:ヤマトヤハズゴケ Moerckia japonica=Sandeothallus japonicaの和名で代表させた。

Lepidolaenaceae フクロクラマゴケモドキ科
新称:従来サワラゴケ科とよばれていたが、新しい分類体系ではサワラゴケ属を含まない.クラマゴケモドキに似て腹片が袋状になるLepidolaena属の形態的特徴から新名称をつけた。

Neotrichocoleaceae サワラゴケ科
新称:従来Lepidolaenaceaeの和名であったが,新組み合わせにともなう処置.Neotrichocolea属の和名に由来.Neotrichocolea, Trichocoleopsisを含む.

Herzogianthaceae ヘルツォークゴケ科
新称:人名Herzogに由来

Lophocoleineae ウロコゴケ亜目
新称:Jungermannineaeの名称をツボミゴケ亜目としたことに伴う処置.Jungermannineaeにはカタウロコゴケ属を除き,ウロコゴケの和名をもつ分類群(Chiloscyphus, Heteroscyphusなど)を含まない。

Grolleaceae グローレゴケ科
新称:人名 Riclef Grolleに由来。

Lophocoleaceae ウロコゴケ科
新称:新しい分類体系ではLophocolea属(トサカゴケ属)をみとめていない, Chiloscyphus, Heteroscyphus属に多い和名で代表した。

Brevianthaceae ソコマメゴケダマシ科
新称:当初は、Jackiellaタカサゴソコマゴケ属に分類された種からなるが、生殖器官のつけかたが異なる。学名は brevis + anthus=雌雄の生殖器官がごく短い側枝につくの意。Chonecoleaceaeコヤバネゴケモドキに近縁とされる。介在分枝しかしない。腹葉なし,瓦状で全縁の葉,細かい磨りガラス状のパピラ.

Blepharidophyllaceae コオイゴケモドキ科
新称:Diplophyllumシロコオイゴケ属との類似から。

Delavayellaceae デラヴァイゴケ科
新称:人名(Pierre Jean Marie Delavay)に由来。

Solenostomataceae ソロイゴケ科
新称:片桐・古木2012で提案されたSolenostoma属に対する名称,「ソロイゴケ属」にしたがった。

Geocalycaceae ソコマメゴケ科
新称:Geocalyx(ソコマメゴケ属)から。新しい分類体系では〜ウロコゴケの和名をもつ種が多いHeteroscyphus属やChiloschyphusを含まないので従来のウロコゴケ科の名称は使わない。

Flatbergiaceae フラトベルグミズゴケ科
新称:人名に由来(Flatberg)

Ambuchananiaceae ムカシミズゴケ科 (ブキャナンミズゴケ科)
新称:山口富美夫博士の提案。ミズゴケに似た化石植物 Protosphagnum属との混同に注意。学名は人名由来。

Serpotortellaceaeハイヨリイトゴケ科
新称:学名(Serpo+Tortella)に由来。

Scouleriales クロカワナガレゴケ目
Scouleriaceae クロカワナガレゴケ科

新称:Scouleria属の生育環境に詳しい出口博則先生の提案.

Hypodontiaceae ニセカタシロゴケ科
新称: カタシロゴケ属との類似から.

Pulchrinodaceae ウツクシナゾゴケ科.
新称:学名 (pulchre : beautifully, + nodus : a knotty problem.)に由来

Rhacocarpaceae ミナミヒジキゴケ科
新称:ヒジキゴケ科との類似と分布から。尖った葉が螺旋状にびっしりつく。

Orthodontiaceae タチハゴケ科
新称: (orth- + odont) Orthodontiumの立ち上がった外蒴歯が目立つことに由来.

Braithwaiteaceae ブレイスウェイトゴケ科
新称:人名(Robert Braithwaite)に由来

Pterobryellaceae ハネキダチゴケ科
新称:キダチゴケとの形態の類似性から

Saulomataceae ヤリバアブラゴケ科
新称:形態の類似性から.(同じくHookerialesアブラゴケ目に含まれるDaltoniaceae ホソバツガゴケ科に似ている)

Schimperobryaceae シンパーゴケ科
新称:人名 (Wilhelm P. Schimper)に由来。

Calliergonaceaeササバゴケ科
新称; 従来、ヤリノホゴケ科とよばれていた。新しい分類体系ではヤリノホゴケ属(Calliergonella)はハイゴケ科に移動した。あらためてCalliergonササバゴケ属の和名をあてた。ヤリノホゴケの和名は地衣類にもあるので注意。

Stereophyllaceae カタハゴケ科
新称:かつて台湾から報告されたStereophyllum属の種につけられていた和名に由来

Myriniaceae マイリンゴケ科
新称:人名(Claes Gustav Myrin)に由来。

Catagoniaceae フナバハイゴケ科
新称:葉の形態から

Prionodontaceae サガリノコギリゴケ科
新称:ノコギリゴケとの類似から。着生,茎が毛に覆われている外形.新しい分類体系ではPrionodon属のみを含む.従来タイワントラノオゴケ科とよばれていたが、新しい分類体系ではタイワントラノオゴケTaiwanobryumはLeptodontaceaeに含まれる.

Orthorrhynchiaceae ニセフナバゴケ科
新称:フナバゴケ科との形態の類似性から.従来Phyllogoniaceaeフナバゴケ科に含まれていた.

Lembophyllaceae コクサゴケ科
新称:従来トラノオゴケ科とよばれてきたが、新しい分類体系ではトラノオゴケ属Dolichomitraはヒラゴケ科Neckeraceaeに分類されているためトラノオゴケ科の名称は使えない。 Lembophyllum属は、日本に生育せず和名がない。この分類群に含まれるDolichomitriopsis属、Isothecium属、Neobarbella属に多い「〜コクサゴケ」の名称を利用した。

Leptodontaceae スズゴケ科
新称:Leptodonが日本に生育しないため、スズゴケ属(Forsstroemia)で代表させた。 この科にはタイワントラノオゴケ属Taiwanobryumを含むが,タイワントラノオゴケ科の名称は従来Prionodontaceae(現在のノコギリゴケモドキ科)に使われてきたので混乱をさけるため使わない。

Leiosporocerotopsida スジツノゴケ綱
Leiosporocerotales スジツノゴケ目
Leiosporocerotaceae スジツノゴケ科

新称:葉状体中に,共生藻のコロニーがスジ状に分布しているのが目立つ。

Phaeomegacerotoideae ミナミツノゴケ亜科
新称:南半球中心の分布に由来。アナナシツノゴケMegacerosとは異なり胞子体に気孔がある。外部形態レベルでの際立った派生形質はないようだ。

Phymatocerotales ナガイモツノゴケ目
Phymatocerotaceae ナガイモツノゴケ科

新称:葉状体下面の長い突起物に由来.同様なものはPhaeocerosでもみられるがより目立つ。

参考文献

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