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目の前の血糖を見るだけではない、患者さんの10年後を診ることが必要である。
私たちの科は、糖尿病と内分泌、大きく二つの分野を担当していますが、外来の患者数でみると、糖尿病患者が圧倒的に多いです。糖尿病に関して言うと、目の前にいる患者さんの社会的背景を考慮しつつ、その方の10年あるいはもっと先を考えて診療する必要があります。例えば高齢の方に、どこまで厳密な血糖コントロールをするかは、医療者の思いと、患者さんや周りの御家族で温度差がある事もしばしばです。例えばインスリン自己注射の一日4回打ちを一律に行わせる事が可能か?高齢で体の不自由な方にはできない。ではどうするのか?その人の生活習慣や背景をみて、10年後15年後、その人が元気でいられるかということが重要です。
つまり、血糖やインスリンといった現在の状態だけではなく、その方の未来像までみるよう努力する必要があると言えるでしょう。
例えば循環器の先生は、心筋梗塞後適切な治療によって元気に外来通院される患者さんに「あの人は、私がカテーテルを入れたから元気になった」と考えるかもしれません。それはそれで大変素晴らしい医師としての仕事です。しかし、私たちが通院中の患者さんに思う事は少し違う様に思います。「ぼくらの治療が、あの人を元気にしている」と。つまり、「倒れた人を助けた」か、「助けて倒れないようにしている」か、という違いでしょうか。5年10年の長いスパンで患者さんを診ていくのですね。
内分泌疾患に関しては、その疾患自体の患者数はとても少ないと考えられていましたが、実際にはもう少し多いようです。我々も精力的に診断・治療に努めています。いずれも患者さんが元気なうちに早めに見つけて早めに治療する。我々の扱う疾患はそれがトレンドになっている様に思います。
日系米人を30年以上調査。
今後はさらにステップアップした基礎研究を始めます。
研究面の柱としては、私たちは生活習慣病のリスク因子を探る観点から「ハワイ・ロサンゼルス日系米人医学調査」を30年以上行っています。何十年も前に、広島からハワイやロサンゼルスへ多数の方が移住されました。その方々とその子孫の皆さんは、日本人と比較しても生活習慣が早期にかつ高度に欧米化していると考えられます。そこでその方々が現在どのような生活習慣病を発症しておられるのかということを調査しています。この日系米人の医学調査で、糖尿病に関するいくつかの危険因子を見つけました。この研究をもとに、日系米人と日本人の比較を今まで以上に精密に行い、研究の質をさらにもう一段階ステップアップしたいと考えています。また今後、本研究により明らかになった成果を証明するための細胞や実験動物を用いた基礎研究を新たに立ち上げ、そのメカニズムの解明を積極的に行いたいと考えています。
今が新しいスタート地点だと考え、
新しい研究や試みをどんどん取り入れていく予定です。
私たちの科の面白いところは、患者さんの人生と向き合える科であるということです。
私自身、学生実習や研修医のときに診させて頂いていた患者さんが、10年以上経った今、私の患者さんになっているという事があります。患者さんも私のことを覚えていましたよ。そういう人と人としての長い付き合いができる科です。実に内科らしい、本当の意味での内科医になれる科だと、私は考えます。
最近若い先生の中にも専門医志向が強い方もおられ、ともすると少しでも専門分野から外れると診療レベルの質が低下する恐れがあります。そのため若い先生には、研修先で、内科全般に幅広い知識をもち、患者さんの様々な訴えに対応できる様な医師を目指して頑張って頂いています。
また、大学病院と他の研究施設、地域医療との連携やインフラ作りをしていくのも、自分の仕事だと思います。新しい基礎・臨床研究、他の先生方との共同研究を始め、さらに他ではやっていない様な研究で成果をあげたい。今すぐではなくても、5年後に「面白い活動をしているな」と言われるようなグループにしていきたいと考えています。









