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生物に関わるデータ採取をすべて_Movie_動画によって行う方法を考える -

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生物に関わるデータ採取をすべて_Movie_動画によって行う方法を考える Counter

私は長年、植物の細胞でどんなことが起きているかを探るために、植物をすりつぶして様々な分子を抽出し分析する作業を行ってきた。しかしあまりの面倒さに耐えられなくなってきた。もっと簡単に、時系列の、できれば画像で生物、細胞に関する数値データを大量に得られるようにできないと困る。そこでそのために役立つ情報を集めたい。

生命動態システム科学推進拠点事業 核内クロマチン・ライブダイナミクスの数理研究拠点形成

http://www.hiroshima-u.ac.jp/upload/0/news_events/2012nendo/20130110_monkajigyousaitaku/pawapo.pdf

広島大学理学研究科数理分子生命理学専攻によるすばらしい研究

「本拠点研究では, 特定の遺伝子領域を狙って蛍光標識する独自の実験技術を用いて, 細胞の状態に応じてクロマチンが核内でどのように動くかを3次元ライブイメージとして観測する」と書かれている。ノイズの少ない、大量の(多次元ならもっとよい)生物由来時系列データを得ること、そこから規則性、周期性、相関、変動がどれくらい尾を引くかなど有用な情報を引き出すことが可能になるだろう。クロマチンを観測するには顕微鏡を用いる。得られたデータはデジタルの数値となって分析に供される。天文学も、スケールは全然違うが望遠鏡を用いて観測してデジタルの数値となったデータを分析する。データ解析のレベルになると似た手法が用いられる。

細胞内マグネシウムイオン濃度の違いを画像化する

Establishment of an in planta magnesium monitoring system using CAX3 promoter-luciferase in Arabidopsis.   Kamiya T, Yamagami M, Hirai MY, Fujiwara T.   J Exp Bot. 2012 Jan;63(1):355-63. Epub 2011 Sep 13.   PMID: 21914662

RNAを用いた細胞内代謝物の蛍光イメージング

Jeremy S. Paige, Thinh Nguyen-Duc, Wenjiao Song, Samie R. Jaffrey   http://www.sciencemag.org/content/335/6073/1194.abstract

細胞内のRNAを可視化する

In vivo visualization of RNA in plants cells using the λN(22) system and a GATEWAY-compatible vector series for candidate RNAs.   Schönberger J, Hammes UZ, Dresselhaus T.   Plant J. 2012 Jan 23. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.04923.x. [Epub ahead of print]   PMID: 22268772

発生:位相勾配がコードする胚パターン形成のスケーリング

Volker M. Lauschke, Charisios D. Tsiairis, Paul Fran & Alexander Aulehla Nature 493, 101;105 (03 January 2013) doi:10.1038/nature11804

実験系を工夫し、画像としてデータを採取している。実験系を工夫することはとても大切だろう。私は今までそれをおろそかにする傾向があったので反省している。

 この研究のために、我々は新しい実験モデルを作製した。このモデルは、 ex vivo 
 での初代細胞培養解析であり、ほぼ単層の前体節中胚葉細胞(mPSM)における、
 マウス中胚葉のパターン形成と体節スケーリングを再現する。

中胚葉のパターン形成をそのまま分析しようとしても難しい。そこで、組織から将来中胚葉に発達する部分の細胞を採取する。それを初代細胞(分析のスタートとなる状態の細胞)とする。初代細胞を、様々な工夫をした(培地成分、温度、シャーレの形など)条件でうまく培養することで、初代細胞から中胚葉発生(とほとんど同じ変化)を引き起こす。初代細胞を、余計な細胞が混ざっていないようにうまく調製することで、ほとんどすべての細胞が時間的に同調して発生が進行するので分析が行いやすくなる。

こういう方法(個体そのままでは分析しにくい過程を、個体から切り出した細胞を用いて引き起こすことで分析しやすくする)は、様々な分野で有効だろう。発生の分野では、よく使われているらしい。

 遺伝子活性のリアル
 タイム画像化と組み合わせることで、位相振動における漸進的変化を定量化できる
 ようになり、その結果としてmPSMの全体にわたって生じる位相勾配を測定できる。

位相勾配の傾きは、体全体のサイズや温度が変化しても影響を受けにくい。それが体節のサイズを決める基準になるということらしい。