プロラクチノーマ                              


プロラクチノーマってなに?

こんな症状に注意

放置すると?

プロラクチノーマの治療

プロラクチノーマの治療成績


プロラクチノーマってなに?

プロラクチノーマとは下垂体にできるできものです。下垂体からはいくつものホルモンが産生されています。プロラクチンもそのひとつです。プロラクチノーマとはこのプロラクチンを産生する細胞が増殖したできものです。このできものができるとプロラクチンを産生するために正常より何倍も多くのプロラクチンが血中にまわるために体の異常がおこります。


こんな症状に注意

プロラクチノーマの症状は
1)生理不順(月経不順)、無月経(生理が止まる)
2)乳汁漏出(妊娠していないのにおっぱいが出る)
が主な症状です。
プロラクチンは乳腺を発達させるホルモンで本来、妊娠すると赤ちゃんにおっぱいを与えるために大量に産生されるほるもんです。プロラクチノーマではこのホルモンが妊娠していないのに大量に産生されます。この結果、体のホルモンバランスは妊娠しているのと同じ状況となり、生理(月経)がとまります。それとともに乳汁漏出がおこります。


放置すると

不妊の原因になります。
骨粗鬆症の原因になります。



プロラクチノーマの治療

下垂体腺腫の治療は通常手術療法が一番良い治療法です。しかしながらプロラクチノーマは有効な薬がある腫瘍です。
つまりプロラクチノーマの治療法には薬物治療と手術治療の2通りがあります。
プロラクチンは体内のドーパミンというホルモンによってコントロールされています。このドーパミンに似た成分を持つ薬によってプロラクチンをコントロールするのです。
90%のかたすなわち10人中9人程度はこの薬でプロラクチン値を正常にすることができます。
以前は副作用として吐き気、嘔吐、気分不良、めまいなどがありこの副作用のために飲み続けることができない方も多かったのですが最近はこの副作用を抑えた薬(テルロンなど)も発売されています。この薬の作用は8時間程度でそのため少なくとも1日1回は内服しないといけませんでした。最近は作用の長い薬(カバサール)が主流となっています。カバサールは1週間に1回か2回程度内服するのみで効果が得られるようになりました。
これらの薬は非常に有用な薬ですが欠点は根治するためには長期間(通常4-5年以上)内服する必要があることです。飲み続けている間はプロラクチン値を下げておくことができますが服用をやめると再びプロラクチンは上昇しもとにもどります。つまり、プロラクチン値を正常にするためにはずっと飲み続けないといけません。
薬が効きやすい腫瘍の場合には4-5年きちんと内服すれば治癒率は高いですが中途半端に内服しても治癒しません。

これらの薬にはプロラクチン値を下げる作用だけでなく、プロラクチノーマを小さくする作用もあります。また、これらの薬を長期間服用すると腫瘍は線維化といって硬く縮まります。このため、薬を長期間内服した後では腫瘍が硬くなり、手術療法を行うことは難しくなります。
プロラクチノーマが縮小する時に腫瘍内に出血を起こすことがあり、ひどい場合には出血によって腫瘍の大きさが一時的に急激に大きくなり「下垂体卒中」といって急激な視力障害をきたしたり、急激なホルモン分泌不全をおこすこともあります。この場合には最悪の場合失明したりすることもあります。これらは腫瘍が比較的大きいときにおこりやすいです。
このため、薬を内服する際にも一度はMRIによる下垂体の検査を行っておくのが無難です。

手術療法も選択肢の一つです。手術は通常経鼻的下垂体手術といって鼻から行う手術です。傷跡は外からはわかりませんし、脳をさわらない脳外科の手術です。手術の方法についてはこちらをご覧ください。手術療法の最大の利点は1回の手術で根治可能であることです。腫瘍をうまく摘出できれば手術後プロラクチン値は正常化し、薬を飲む必要もありません。ただし、プロラクチノーマは周囲の組織にしみこむように発育する性質があり、周囲の組織に深くしみこんでいると手術療法でも根治できなくなります。このような場合は薬による治療が必要です。また、手術というからには必ず合併症が生じるリスクが大なり小なり存在します。下垂体腺腫の手術は脳外科手術の中では比較的安全な部類にはいりますがそれでも数%の危険性があります。この危険性を受け入れることができるかどうかが手術療法をうけるかどうかの判断の一つになります。

それではどちらの治療を選ぶのがよいのでしょうか
薬物療法を選ぶか、手術療法を選ぶかはすなわち病気と仲良くつきあっていくあるいは長期間薬をのむか、病気を一度で排除してしまうかという選択です。

1)手術が嫌い。手術は絶対にしたくない人。
 この場合は選択肢は薬物療法しかありません。

2)薬を飲み続けたくない人。薬の副作用が怖い人。薬を飲んでいる時に妊娠したくない人
 この場合は手術療法が第一選択となります。ただし、腫瘍が小さく周囲の組織にしみこんでいないことつまり手術で根治できる可能性があることが条件です。

3)薬が効かない人。薬の副作用のため薬が続けられない人(薬の副作用には便秘、肝機能障害、貧血などがあります)
 この場合は手術療法が第一選択です。

4)腫瘍が大きく視力障害がある人
 この場合、大抵手術だけで根治させることはできません。薬物療法で治療するか手術療法を行った後に薬物療法を行うかのいずれかです。薬物療法では上述したように腫瘍に出血をおこして急激に症状が悪化することがあります。ですから手術療法で出来物の大きさをできるだけ小さくして、薬物療法を行うことも多いです。この場合には薬の量も少なくて済みます。

これらのことから、若い女性(これから子供を産みたい人)で腫瘍が小さく手術療法で根治できる場合は手術療法がよいですが手術には経験が必要ですから十分な経験を積んでいる医師(プロラクチノーマを数多く手術している医師)を選ぶことが大切です。下垂体腺腫でもホルモン産生をしない腫瘍などの場合には必ずしも腫瘍がとりきれなくても症状はよくなるので脳外科医師ならある程度の成績(症状をよくする:視力視野を改善させる)を残すことができますが、ホルモン産生腫瘍の場合ホルモンを正常化するさせるためには完全に腫瘍を取り去る必要があり難しい手術になります。



プロラクチノーマの治療成績

上述した様に薬を使う場合90%の人は有効ですが約10%の人で薬の効きが悪い人がいます。
薬が効きやすい腫瘍の場合には4-5年以上の内服により60-70%治癒します。

手術成績
腫瘍が10mm以下であれば手術でプロラクチンを正常化できる割合は熟練した医師であれば90%以上です。
10mm以上で腫瘍が周囲にしみこんでいない場合は50ー90%程度です。
周囲にしみこんでいる場合には10-20%程度でしょう。

手術後に1年以上経過して再びプロラクチンが上昇することがあります。

これらのことを参考にして治療法を選択するのがよいでしょう。