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研究内容紹介 (ヒトのUDP-ガラクトース輸送体遺伝子) |
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植物の機能を強化したり、新しい機能を付加したりするためには、従来からの手法として、
そのような機能を持った植物との交配を行う、いわゆる植物育種という手法があります。しかし、この手法では交配できることが最低限必要となります。一方、遺伝子組換えで外
来遺伝子を導入すると、予想できなかったような形質が現れることがあります。
私たちが最近作出したヒトのUDP-ガラクトース輸送体遺伝子(hUGT1)を導入した遺伝子組換えタバコ植物は、生育促進と草丈の増加、有限花序の打破、クロロフィル含量
の増加、葉の厚さの増加などの形質が見られました。また、組織レベルでは、茎の木部の細胞数が増加し、あたかも植物ホルモンであるジベレリンを投与したときに見られる茎の
組織形態に類似していました。そこで、ジベレリン生合成酵素遺伝子の発現を調べてみましたが、ジベレリン生合成のキーとなるGA20酸化酵素遺伝子の転写は減少しており、ジベ
レリン生合成の活性化によるジベレリン生産量の増加ではないと思われました。現時点では、ジベレリン感受性に関与するといわれているアラビノガラクタンタンパク質の関与で
はないかと考えています。
C, コントロール; 23, hUGT1形質転換植物 |
★ 糖ヌクレオチド輸送体とは?
ゴルジ膜に局在し、糖転移酵素の糖鎖付加の基質となる糖ヌクレオチドを細胞質からゴルジ装置に輸送するタンパク質です。動物はもちろん、植物や酵母、カビなどの真核生物に存在す
ることが分かっています。
★ 細胞壁の合成
植物では(一次)細胞壁はセルロース、ヘミセルロース、ペクチンで構成されています。セルロースは細胞膜上に存在するセルロース合成酵素で合成されますが、細胞壁マトリックスとも
呼ばれるヘミセルロースとペクチンはゴルジ装置の中で合成され、細胞外へ分泌されます。ヘミセルロースはセルロースを架橋し、ペクチンはその間隙を埋めることで細胞壁が出来上がっています。
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