吉原新一

[研究内容]

(1)薬毒物の生体内挙動と薬効・毒性との関連性に関する研究

 医薬品や農薬、環境汚染物質など体内に摂取された生体異物の代謝変換による  化学構造の変化に起因する生物活性(薬効や毒性)の変動を明らかにすること  を通して生体影響のリスク低減の方策を探る。既に社会的な関心を集めている  内分泌攪乱物質(環境ホルモン)のビスフェノールA(BPA)がヒトやラットの  肝S9による代謝変換の結果、BPA自身よりも遙かに強いエストロゲン活性を  示す活性代謝物を与えることを明らかにしている(Toxicol. Sci., 62, 221-  227(2001))。現在、この活性代謝物の構造決定と生体影響評価の解明を図っ  ている。また、現実に可成りの量が摂取されている大豆イソフラボンのゲニス  テインや生薬甘草の成分であるグラブリジンなどの植物エストロゲンについて  も代謝変換によるエストロゲン作用の修飾を明らかにする研究を進めている。

(2)薬毒物の代謝様式並びに代謝酵素系に関する研究

 チトクロームP450など既知の異物代謝酵素の他、肝サイトソールのアルデヒド  酸化酵素(AO)など新規代謝酵素による新たな異物代謝の生物学的意義の解明を  図る。既にパーキンソニズム発症物質である1−メチル−4−フェニル−  1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)の解毒にAOが関与することを明らかに  している(Drug Metab. Dispos.,28, 538-543(2000))。現在内在性の発症  物質候補と考えられているテトラヒドロイソキノリン(TIQ)類についても解毒酵  素としてのAOの関与の可能性について検討を進めている。また、前述のBPAの  代謝的活性化にはミクロソームのP450とともにサイトソール中の未知因子の  関与が示唆されており、その解明は新規代謝様式の確立へ繋がる可能性がある。

[Research Subjects]

1. Metabolic Modulation of Hormonal Activity of Endocrine Disrupting Chemicals by Xenobiotic Metabolizing Enzymes.

2. Metabolic Activation of Estrogenicity of Bisphenol A by Rat Liver S9 Fraction: Involvement of Cytosolic Component(s) as an Essential Factor.

3. Metabolism of Parkinsonism-inducing Tetrahydroisoquinoline Analogues and β-Carbolines by Hepatic Molybdenum Hydroxylase.

4. Effects of Licorice Root Extract and Its Components on Drug Metabolism Catalyzed by Cytochrome P450.







last updated : 2002/6/6

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生体機能分子動態学研究室