小児歯科学研究室で行われている研究の一部を紹介します。
教授以下、助教の先生個人の研究テーマです。 |
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香西教授
小児の齲蝕(むし歯)の予防を大きなテーマに以下のような研究を展開しています。
小児へのむし歯菌の伝播
遺伝子的な手法を用いることで小児に伝播するむし歯菌がどこから感染するのかを研究しています。従来、小児に伝播するむし歯菌は母親由来であるとされてきました。しかしながら、私たちの研究では50%が母親由来であったのに対し、父親由来の菌株も30%程度あり、考えられているよりも父親からの伝播が多いことがわかりました。
天然生薬からのむし歯菌抑制物質の抽出
大棗という生薬に、むし歯菌による歯垢合成を抑制する活性があることを発見しました。さらにこの活性は大棗に含まれるオレアノール酸とウルソール酸という2種のトリテルペン物質がmutans streptococciのグルコシルトランスフェラーゼという酵素を阻害することによる生じることを証明しました。ネズミの餌にオレアノール酸を混ぜてみると、ネズミのむし歯は劇的に減少することが確かめられたため、臨床的な応用も期待されています。
低pH飲料の齲蝕誘発能
スポーツドリンクや乳酸菌飲料など低pH飲料によるむし歯の発生メカニズムについて研究しています。これらの飲料は糖分を多量に含んでいることに加え、pHが大変低い(酸性)ことが特徴です。歯のエナメル質はpH5.4以下で溶け出しますが、これらの飲料のpHは3〜4であり、飲料の酸による脱灰と糖分による齲蝕が複合的に生じている可能性があります。
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海原助教(診療講師)
私の研究テーマは小児の歯列・咬合の成長発達に関してです。小児歯科臨床に携わっていると、治療の過程や結果の中に,主治医としてのさまざまな「気づき」を見出すことがあります。そうした「気づき」の中から興味深いと感じたものを研究テーマとして取り上げています。例えば,歯列咬合の成長発達の過程について、癒合歯や低位乳歯を有する歯列の特徴、咬合誘導の治療法などです。
臨床の中での「気づき」を少しずつ実証していくことを心がけています。
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光畑助教(診療講師) 大学院在学中に中枢神経系のドパミン神経のシナプスに発現しているドパミントランスポーター(DAT)の薬物構造相関に関するテーマをいただいたことで,そこから派生し、DATが注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬メチルフェニデートのターゲット部位であることから、ADHDの発症機序,ストレスが脳の発達に及ぼす影響などにとても興味があります。これらに係わる研究ができたらよいなと考えております。
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太刀掛助教
私の研究テーマは小児期の若年性歯周炎の発症機序の解明です。小児歯周疾患の原因菌の一つであるActinobacillus Actinomycetemcomitans(A. a)が骨芽細胞の分化へ及ぼす影響に注目して研究を行っています。これまでの研究からA. aは骨芽細胞に働きかけ,血球系幹細胞から破骨細胞への分化を刺激することが判っていますが、我々の研究結果ではA. aが骨芽細胞の分化を抑制することが明らかになりました。つまりA. aによる歯槽骨の減少(=歯周炎)は破骨細胞の分化促進による骨吸収の増加だけでなく、骨芽細胞の分化抑制による骨新生の減少も関与している可能性が示されました。
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角本助教
齲蝕(むし歯)の原因菌は親子伝播することが知られています。それに対し、小児の歯周病原因菌はいつ頃、どこから感染するのかいまだによく分かっていません。これを明らかにするために遺伝子的および細菌学的な手法を用いて調べています。
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平田助教 私の研究テーマは「小児の歯の外傷」に関してです。保育所、幼稚園、学校では、頭や手足だけでなく歯や口に外傷が多く発生しています。小児歯科臨床においては、歯や口の外傷は速やかで適切な対応が必要です。しかし、外傷には、破折、脱臼、脱落など色々なパターンがあり、さらに年齢、歯根の形成状態、かみ合わせの違いなどにより対応の仕方が変わってきます。外傷を受けた乳歯や永久歯に対し長期にわたる臨床研究を行うことにより、予防法と適切な治療法の確立を目指しています。
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坪井助教
抗がん治療や造血幹細胞移植(骨髄移植など)を受ける患者さんのお口には,様々な合併症が現れることが知られています。特に口腔粘膜炎は,痛みからお口のお掃除ができなくなり,症状が重篤化するケースも少なくありません。私はこの口腔粘膜炎が重篤化する因子について,口腔常在菌由来の物質に注目して研究しています。また,これらの治療を受ける小児患者さんに対し,口腔粘膜炎の予防方法の開発や臨床成績の評価を行っています。
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大原助教 齲蝕は、バイオフィルム(デンタルプラーク)の中で原因菌が産生した酸により歯が溶けることで生じます。酸は歯を溶かすだけでなく原因菌自身にも障害を与えますが、原因菌は、酸に対する耐性(耐酸性)を持つことで酸環境でも生存できるとされています。これまでの研究で、原因菌の一つであるStreptococcus mutans (S. mutans)の耐酸性は、齲蝕が多い小児のほうが少ない小児よりも高いことが解りました。耐酸性が低いS. mutans が高い耐酸性能を獲得する原因を明らかにすることで、新しい齲蝕予防方法を見つけることはできないかと考えています。
以上の他、医局を挙げて小児糖尿病や全身疾患を有する小児の口腔ケアに関する研究や外傷を受けた歯の治療に関する研究などの臨床研究に取り組んでいます。
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