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放射線 Q&A

質問一覧

Q1:放射線って何ですか?
Q2:放射線によって体が侵されるメカニズムについて教えてください。
Q3:原爆からはどのような放射線が出ますか?
Q4:広島大学では放射線の取り扱いはどのようにされていますか?
Q5:レントゲンによる被ばくはどの程度のものですか?
Q6:放射線と放射性物質の違いは何ですか?
Q7:放射線の防ぎ方は?
Q8:今後どのような事(分野)に放射線が利用できるのですか?

解答

Q1:放射線って何ですか?

A1:
「電磁波や運動している粒子で、物質の密度の大小によっても異なるが、同物質を通過する能力をもったもの」と、定義されています。具体的には、アルファ線は高速のヘリウム原子核の流れ、ベータ線は、高速の電子の流れ、ガンマ線は、高エネルギーの電磁波、X線はガンマ線よりはエネルギーの小さい電磁波、中性子線は中性子の流れです。詳細は「放射線とは」を参照して下さい。

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Q2:放射線によって体が侵されるメカニズムについて教えてください。

A2:
人体への放射線を考える場合、人体の構成成分の約80%が水でできているため、水の放射線化学反応を考えることが重要となります。pH7の水中を放射線が通過したとき、次のような複雑な反応が起こります。

  • H2O + 放射線 → H2O+ + e-
  • H2O + 放射線 → H2O*
  • H2O+ + H2O → H3O+ + OH
  • e- → e-sol
  • H2O* → H + OH
  • e-sol + H3O+ → H + H2O
  • H + H → H2
  • OH + OH → H2O2

まず、水分子(H2O)は(1)、(2)の反応によってイオン化および励起されます。イオン化によってできたH2O+カチオンは、隣接した水分子と(3)のように反応してH3O +カチオンとOHラジカルを生成します。また、(1)の反応でできた電子(e-)は周りの水分子によって溶媒和されて水和電子(e-sol)となります。(2)の反応によってできた励起水分子(H2O*)は(5)のような反応を起こしてHおよびOHラジカルを生成します。高い反応性を持つ水和電子は、最終的に(6)のような反応によってHラジカルと水になり、HラジカルやOHラジカルは再結合して水素分子(H2)や過酸化水素(H2O2)になります。
 これらの反応で生成された水和電子、OHラジカルおよびHラジカルは生体高分子を攻撃して高分子ラジカルを生成し、それがさらにDNAの損傷を引き起こしています。
 以上のような反応は放射線が水中を通過するとき、水中で均一に起こっているのではなく局所的に起こり、ラジカルやカチオン等の活性分子を高濃度で含んだスパー(spur)と呼ばれる領域を形成しています。スパーはアルファ線によって最も形成されやすく、このことは体内被ばくではアルファ線が最も危険であることにもつながっています。
 (参考:「放射線安全取扱の基礎~アイソトープからX線・放射線まで」 西澤邦秀著/名古屋大学出版)

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Q3:原爆からはどのような放射線が出ますか?

A3:
広島と長崎に投下された原子力爆弾はそれぞれ濃縮ウラン(235)を用いたもの(Little Boy)とプルトニウム(240)を用いたもの(Fat Man)であり、核分裂連鎖反応によって放出される大量のエネルギーを利用した爆弾です。
 ウラン(235)は半減期7.038x108年で、アルファ壊変します。プルトニウム(240)は半減期6570年でやはりアルファ壊変します。しかし、原爆の中心部にはベリリウム-ポロニウムからなる中性子源であるイニシエーターが組み込まれており、ベリリウム-ポロニウムからでる中性子によってウランおよびプルトニウムは核分裂を起こし、中性子を放出します。この核分裂では一回の壊変によって2~3個の中性子を放出します。原子爆弾中ではウラン(235)もしくはプルトニウム(240)は二つの離れた部分に分けて保存されており、原子爆弾の投下に伴う起爆装置の働きによって二つに離れた部分がくっつき、臨界点を突破することで核分裂連鎖反応が進行することになります。

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Q4:広島大学では放射線の取り扱いはどのようにされていますか?

A4:
放射線と言っても大きく二つに分けることができると思われます。ひとつは加速器等によって発生させられる放射線と、もうひとつは放射能を持つ物質による放射線です。前者は密封型の放射線と呼ばれ、後者は非密封の放射線と呼ばれています。この二つの違いによって取り扱いは大きく異なっています。加速器を利用することで発生する放射線は、加速器を止めることでその発生を止めることができます。しかし、発生する放射線のエネルギーが大きいことから、加速器の周辺に存在している物質が放射化されてしまう恐れがあります。一方、非密封型の放射能を持つ物質は半減期があり次第に放射線を出さなくなります。しかし、物質そのものが放射線を出し続けているため、その物質そのものによる汚染という危険が伴います。以上のことを踏まえて、放射線の取り扱いはICRP(International Commission on Radiological Protection)の勧告によって世界的にその使用に制限が設けられています。日本の法律もその勧告に従って作成されており、広島大学としてもその法律に従う独自の予防規定を作成することで放射線の安全な取り扱いを遵守しています。

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Q5:レントゲンによる被ばくはどの程度のものですか?

A5:
胸のエックス線検査では0.15 mSv、胃の透視エックス線では2 mSvと言われています。人体の中にはカリウムがあり、その中にはカリウム(40)という天然放射線も含まれています。体内にあるこのカリウム(40)によって人は年間0.35 mSv程度被ばくしていることから、その影響の小ささがわかります。

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Q6:放射線と放射性物質の違いは何ですか?

A6:
A4でも触れましたが、放射線とはA1に示すような性質をもつ線の流れであり、放射性物質とはそのような放射線を自発的に放出する物質です。

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Q7:放射線の防ぎ方は?

A7:
放射線の防護は放射線の性質によって防護方法が異なります。アルファ線は物質の透過力が小さく、紙一枚を介すことで防ぐことができます。ベータ線はアルファ線よりも透過力が大きく、1cm程度のアクリル板で防ぐことができます。ガンマ線およびエックス線は透過力が非常に高く、コンクリートや鉛など密度の大きい物質で防ぐ必要があります。このほか、放射線の線量はその線源からの距離の二乗に比例して小さくなることが知られています。そのため、放射線源から距離を置くということも、放射線の防護に繋がります。また、放射線を浴びている時間を短くすることでその影響を少なくすることができます。以上のことをふまえ、放射線を扱う上では、「距離」、「時間」、「遮蔽」に気をつけ安全性を確保するように心がけましょう。

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Q8:今後どのような事(分野)に放射線が利用できるのですか?

A8:
今後どのような分野で利用できるかどうかはこれからの科学の進歩に依存するので言うことができませんが、現在では一般の生活や医療の分野で広く使われています。以下の表に示します。

一般の生活 車のタイヤ 放射線をあてることで、ゴムを重合している。
蛍光灯のグロー プロメチウム(147)から出るβ線の電離作用によって放電が起こりやすくなっている。
煙感知器 アメリシウム-241からのアルファ線の電離作用により、電離電流が流れている。この電離電流の変化によって煙を感知している。
品種改良 放射線の照射によって突然変異を引き起こしている。
医療 エックス線 エックス線の透過力を利用して、身体の内部を調べている。
ガン治療 ガン細胞は細胞分裂活性が高く、放射線の感受性が正常な細胞よりも高いことを利用して、ガン細胞を放射線によって特異的に死滅させている。
PET診断 炭素(11)のような半減期の短い核種を人体に投与して、患者の体内の様々な診断をおこなっている。
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