設立の趣旨
広島大学大学院理学研究科では,理学の目的である自然の真理を探究することを通して,知的文化を創造し,それによって人類の調和ある進歩に役立つことを理念としている。
昭和4年創設の広島文理科大学の伝統を受けて,昭和24年5月広島大学の設置とともに理学部が設置され,昭和28年に本研究科が設置された。その後,多くの拡充がなされ,平成11年に本学では唯一,大学院の重点化が実施された。 現在,6つの専攻(数学専攻,物理科学専攻,化学専攻,生物科学専攻,地球惑星システム学専攻及び数理分子生命理学専攻)と4つの附属教育研究施設(臨海実験所,宮島自然植物実験所,両生類研究施設及び植物遺伝子保管実験施設)において,理学の各分野における最前線の研究の推進と,その研究に基づく創造性豊かな人材の育成を進めている。
最近,理学の各分野の研究が深化する一方,従来の学問分野の枠にとらわれない融合領域の研究と教育の重要性が増し,専攻や研究科の枠を越えた共同研究が推進されるようになった。 本学でも自立的で自由な発想の下で展開される研究活動を推進するために「プロジェクト研究センター」が設置されている。 本研究科に軸足を置くプロジェクト研究センターとしては,量子生命科学プロジェクト研究センター(QuLiS),生命秩序の再構築プロジェクト研究センター,宇宙・地球化学的進化に関する同位体プロジェクト研究センター(MIRAGE),数理シミュレーション科学プロジェクト研究センター(INSAM),高エネルギー宇宙プロジェクト研究センターがあり,活発に研究活動が進められている。 さらに,本研究科でも融合領域の人材養成として,平成15年度からは,科学技術振興調整費新興分野人材養成「ナノテク・バイオ・IT融合教育プログラム」(NaBiT)が,生命科学・物質科学・情報科学を融合させた研究と教育を強力に進め,平成17年度からは,「魅力ある大学院教育」イニシアティブ「数理生命科学ディレクター養成プログラム」が,生命科学と数理科学の融合的教育研究を発展させている。 また,本研究科が中心となって広島大学デジタル自然史博物館を立ち上げており,本学が保有する学術標本資料や生物教材などをネット経由で閲覧・検索・学習する高度生涯学習支援システムを構築している。
このように,本研究科では,専攻の枠を越えた融合領域の研究と教育が進んでいる。 しかし,同時に専攻独自の専門性の高い研究と教育も,これまで以上に推進する必要がある。 そこで,従来の専攻における教育研究の枠組みを保った上で,融合領域の教育研究を更に一層効率的に推進するために,『広島大学大学院理学研究科附属理学融合教育研究センター』を設立する。これは,本研究科の全専攻横断のセンターであり,専攻の枠を越えた教育研究と研究者の交流を推進する場である。 本研究科では,研究に関する中期目標として,世界トップレベルの研究の推進,研究水準のさらなる向上,及び国際的な交流の促進等を挙げている。これらの目標を達成するために,研究科支援推進プログラムに重点的に取り組み,更に新たな支援推進プログラムを積極的に開拓する計画である。 現在の研究科支援推進プログラムとしては,生命科学と数理科学の融合的研究,地球惑星進化素過程と地球環境の将来像,物質循環系の分子認識と分子設計,スーパーサイネットを活用する数理科学,放射光(HiSOR)による物質科学研究,数学の新展開-大域数理と現象数理-がある。また,教育に関する中期目標の一つとして,専攻を越えた柔軟な教育体制をとることを挙げている。 本センターの設立は,これらの本研究科の中期目標を達成するための具体的な措置である。
