Noriaki Shimizu, Yuri Miura, Yu Sakamoto and Ken Tsutsui (2001)
" Plasmids with a Mammalian Replication Origin and a Matrix Attachment Region Initiate the Event Similar to Gene Amplification."
Cancer Research
(IF = 8.649), vol.61, no.19, p6987-6990.
(概要)2000年のJCSに公表した研究で得られた、DMの細胞内動態と細胞外排出機構に関するモデルを、さらに分子レベルで深め、より広範な染色体外遺伝因子一般に適用できる法則を得ることを目的にした研究を行った。すなわち、哺乳動物複製起点を持ち、自律複製できるプラスミドをヒトがん細胞に導入し、その動態を検討した。その結果、このような自律複製プラスミドは、DMを持つ細胞内ではDMに選択的に組み込まれるか、或いは、染色体に組み込まれてプラスミド配列からなるHSRを形成した。また、DMを持たない細胞内では、新たにDMの形成を誘導した。このような遺伝子増幅と類似の現象の誘導には、導入したプラスミドが複製起点を持ち自律複製できることが必須であった。したがって、この実験系は、哺乳動物複製起点の機能構造を解析するための格好の系となる。実際、我々は本論文の中で核マトリックス結合領域が哺乳動物複製起点からの複製に必須であることを初めて直接示すことができた。さらに本実験系は、がん細胞に見られる遺伝子増幅の分子機構を理解するための格好の系であると考えられる。