Noriaki Shimizu, Takaya Ochi and Kazuyo Itonaga (2001)
"Replication Timing of Amplified Genetic Regions Relates to Intranuclear Localization but not to Genetic Activity or G/R-Band."
Experimental Cell Research
(IF=3.949), vol. 268, no. 2, p201-210
(概要)1998年のJCSに公表した研究に関連して、DMの複製タイミングを詳細に調べた。その結果、大部分のDMは早期に複製されることを見いだした。このことから、DMは複製されるために核内部へ移行することが示唆された。一方、DMを長期間培養すると増幅遺伝子が染色体上に組み込まれたHSRを持つ細胞となる。我々の研究により、このようなHSRはDMと同じ配列の縦列反復からなっていることを見いだした。にもかかわらず、HSRの複製タイミングはS期の極めて遅い時期であった。DMとHSRで増幅しているc-myc遺伝子の発現レベルは変わらなかったことから、同じ遺伝子が、細胞遺伝学的局在によって、転写レベルの変化なしに複製タイミングが変化する例として注目される。さらに我々は、HSRの内部に複製タイミングに関してバンド構造を見いだした。このことは、染色体バンド構造の成因を考える際、極めて興味深い。