Noriaki Shimizu, Kenta Shingaki, Yukiko Kaneko-Sasaguri, Toshihiko Hashizume and Teru Kanda (2005)
"When, where and how the bridge breaks: Anaphase bridge breakage plays a crucial role in gene amplification and HSR-generation."
Experimental Cell Research (IF=3.949), Vol 302, no. 2, p 233-2433 
(概要)我々の人工的に遺伝子増幅を誘導するプラスミド実験系を用いて、HSRの形成機構について解析した。HSRは、Breakage-Fusion-Bridge機構で形成される。この際、2動原体性染色体が形成され、分裂後期に橋状構造(anaphase bridge)が生じて、それがどのように切れるかが鍵となる。本論文では、HSRの内部構造を詳細に解析し、さらにHSRを生細胞で可視化して時間経過を追った観察を行うことにより、以下の発見があった。1)anaphase bridgeは、紡垂糸から伝わる機械的な力で引きちぎられる。2)HSRはプラスミド構造のみからなる均一な配列であるにもかかわらず、HSRからなるanaphase bridgeはセントロメアから等距離の点で千切れる。これはこの位置に「特異点」が生じることを意味している。このような特異点は、cruciform 構造がこの位置にできることで説明できる。3)ちぎれたBridgeは、急速に丸まって娘細胞の核内に収まる。また、HSRが長くなりすぎて切れなかった場合は、その中に瘤ができる。これらは、分離した姉妹染色分体が、その中に「ねじれ力」を持つことを示唆し、G1期の核内染色体テリトリーの形成に関与するかもしれない。4)HSRが長くなりすぎると、ちぎれることができず、細胞質分裂が抑えられて2核細胞となる。これはHSRの長さの上限を規定する機構となる。