■ 認知発達理論分科会第23回例会のご案内
第23回例会を下記のように開催いたします。今回は「言語とコミュニケーション」をテーマにし,次の文献を取り上げます。“Language, literacy, and cognitive development: The development and consequences of symbolic communication” 2002、(Ed.) E. Amsel and J.P. Byrnes (LEA)です。開催地は東京(早稲田大学)で,コメンテーターには内田伸子先生をお迎えすることができました。言語とコミュニケーションに関する最新の文献の紹介と,この分野の第一人者である内田先生からのコメント,さらに内田先生ご自身のご研究を含むショートレクチャーを聴くことができる貴重な機会ですので、多数の皆様のご参加をお待ちしております。テキストに関する情報については、次のサイトをご覧下さい。http://www.psypress.com/9780805834949
● 日時:2007年9月22日(土)午前10時00分~午後5時30分
● 場所:早稲田大学 西早稲田キャンパス14号館716号室
* 例会当日は大学院入試のため、14号館1階から入館することができません。必ず2階から入館してください。2階入り口はエレベーターが2機ある側の入り口で、西早稲田キャンパス西門からもっとも近いところにあります。
■ 会場へのアクセス
会場の早稲田大学西早稲田キャンパスまでの交通案内は,以下のホームページをご覧ください。西早稲田キャンパスまでの交通:http://www.waseda.ac.jp/koho/guide/univ18.html
西早稲田キャンパス内の校舎の配置 14番の建物が会場です:
http://www.waseda.ac.jp/koho/guide/nisiw.html
●例会当日の時間割
司会:小島 康次(担当幹事・北海学園大学)
10:00 開会
10:00~11:20 第2章
報告者:阪脇 孝子さん(早稲田大学大学院博士課程)
11:20~12:40 第4章
報告者:小林 肖さん(お茶の水女子大学大学院修士課程)
12:40~13:50 昼休み
13:50~15:10 第5章
報告者:伊藤 崇さん(北海道大学教育学部)
15:10~16:30 第8章
報告者:柿原 直美さん(早稲田大学大学院博士課程)
16:30~17:30 ショートレクチャー
講師:内田 伸子 先生(お茶の水女子大学教授・副学長)
● 講師紹介
内田伸子先生(学術博士)は,現在,お茶の水女子大学理事・副学長を務められ,日本学術会議会員のほか文部科学省や文化庁の国語に関する審議会委員など多方面の公職をこなされているわが国でもっとも多忙な心理学者のお一人です。ご専門は,発達心理学・認知心理学で,とくに言語発達心理学のご研究の第一人者であられます。ご研究は幅広く,言語発達,認知発達の領域で乳幼児から大人までを対象にした実験研究や参与観察研究を行うと同時に,保育や授業の観察を行い,広い文脈での子どもの育ちを探る研究を継続中です。多数のご著書がありますが,ことばに関するものを抜粋して以下にご紹介します。『子どもの文章−書くこと考えること−』(東京大学出版会,1990),『ことばと学び』(金子書房,1990),『子どものディスコースの発達』(風間書房,1996),『言語発達心理学』(編著,放送大学学術振興会,1998),『発達心理学−ことばの獲得と教育−』(岩波書店,1999),『ことばの生まれ育つ教室−子どもの内面を耕す授業−』(監修著,金子書房,2005)等。
● ショートレクチャーの概要
演題:「書くこと・考えること:作文の心理学」
書くことと考えることの関連について考察する。
ヴィゴツキー(Vygotsky, 1963)は「テクノロジーや道具の変化が労働の構造に変化をもたらすように,話しことばや書きことばといったシンボル体系の変化は精神活動の再構造化をもたらす」と述べている。人間の認識活動のあらゆる形式は,歴史的発展の過程でつくりあげられたものである。したがって,シンボル体系に変化をもたらすような社会文化的変化は,より高次の記憶や思考の,そして,より複雑な心理的体制化を担うことになると考えた。
ルリア(Luria, 1974)は短期の教育でリテラシーを習得した人々と文字を知らない人々を比較し,三段論法推論などの認知課題の全てでリテラシーに習熟した人の優位性を確認し,ヴィゴツキー説を証明した。スクリブナーとコール(Scribner &Cole, 1978; 1981; Cole & Scribner, 1974)は,読み書き能力の要因だけを他の経験や活動とは独立に扱えるリベリアの伝統社会のヴァイ族を対象にして,読み書きの獲得が抽象的思考にどのような影響を与えるかについて調べたところ,リテラシーが抽象的思考能力や知的技能全般に変容をもたらすわけではないことを実証した。
しかし,読み書き技能の適用の範囲が広がればその行使の結果もたらされる認知的所産も拡大すると考えられる。この可能性を確かめるため,内田(1989)は小学生の作文の推敲過程について発話プロトコル法を用いて観察した結果,推敲過程で思考が深化し,推敲を新たなアイディアが発見されることすらあることを見いだした。推敲や彫琢は作文を清書し終えてから始まるものではない。推敲や彫琢は自分のアイディアや意識を明確にするために構想段階からすでに始まっている。作文の推敲は時間をかけて考えを練る過程でピッタリしたことばに言い表し,考えの筋道をはっきりさせる営みなのである。これまでの作文教育の中では意識をことばでとらえる瞬間が必ずしも大事にされてはこなかった。構想段階の「組み立てメモ」は「思考の尖端」であり,メモする過程で「世界に対する意識の<一瞬のひらめき>をことばによってとらえる」ことができるのである。この瞬間こそが大事にされなくてはならない。
■ 参加申し込み・参加費・問い合わせについて
事前の参加申し込みは必要ありません。また参加費に関しましては日本発達心理学会認知発達理論分科会員の皆さんは,規約にありますように年会費(今回のみの参加費ではありません)として千円徴収しますが,院生など定職のない人は無料です。
■ 問い合わせ 本例会について内容に関してのお問い合わせは小島康次(第23回例会幹事:北海学園大学)E-mail:kojima@elsa.hokkai-s-u.ac.jp,その他に関しては山名裕子(事務局:秋田大学)E-mail: yamana@gipc.akita-u.ac.jpまでお願いいたします。
また認知発達理論分科会の紹介や過去の例会に関しましては下記のホームページをご覧ください。
http://home.hiroshima-u.ac.jp/shinsugi/t_cd/
■ 懇親会 研究会終了後、キャンパス内の会場にて懇親会を開く予定です。こちらもご参加を歓迎いたします。なお、学生会員・参加者には参加費の割引があります。
以上です。
小島 康次 kojima@elsa.hokkai-s-u.ac.jp
北海学園大学経営学部経営情報学科・大学院経営学研究科