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『洗顔術と仏性』
 最近、十四回目の健康断食を真珠養殖で有名な三重県鳥羽市で開きました。非公開でしたので小規模なものでしたが、とても格調の高い内容となりました。まず神話の世界で、大和姫が天照大神を導いて上陸したという海岸に建つタラソ志摩は、とても気持ちのよいリゾートホテルでした。
 昼は快晴の下、海の色がどこまでも青く、夜は満月の光が会場の中まで差し込んで来ました。そういう環境の中で、参加者のお一人である聖心女子大学の鈴木秀子さんが、みずからの臨死体験を物語ふうに話してくださり、皆が静まり返って聞き入りました。  その後、ハート型の石が拾えるという海岸を全員で散歩し、私はただ一人、見事にハートの形をした小石を発見しました。これを見つけた人には、何かいいことがあるそうな。(ウッフッフ)
 次に、タラソ志摩の社長で、エステシャンとして世界グランプリ賞をとられた今野華都子さんが、洗顔術セミナーを特別に開いてくださいました。典型的中高年男性である私は、エステなど「おおよそ関係なし」と思っていたのですが、お話を聞いているうちに、目から鱗、というか厚顔無恥の顔面から垢がボロボロと落ちて行きました。
 自分に「ありがとう」という気持ちで、どこまでも優しいタッチで顔を洗う。そのお話を聞いているうちに、これは己れの仏性を磨く霊的技術に他ならないと確信しました。その証拠に、今野式洗顔術で見違えるほど若返るだけでなく、生き方そのものまで変わり、幸福な人生を送れるようになったという報告が、山ほどあるそうです。
 わが健康断食でも二日目あたりから、肌がすべすべになりましたという人が続出するわけですが、それに加えて、神業的洗顔術を学んだわけですから、今回の参加者はじつに幸せ者です。
 さらには、二十年ぶりの架け替えが完成した翌日に、霜の降りた宇治橋を朝5時から渡り初め、内宮に全員で参拝した時は、澄み切った満月が浮かび、帰途には眩しい朝日が昇り、得も言われぬ不思議な時空を体験することが出来ました。
 シェフが腕にヨリをかけて用意してくれた明けの食事を頂いた後、タラソセラピーの海水プールで中央大学の吉村先生から水中歩行訓練を受けました。それが終わって、屋上ジャグジーで体を温めながら、志摩半島の絶景を楽しみました。今回の断食ばかりは参加費がずいぶんと高額なものになってしまいましたが、あと何某かを追加請求しても、皆さんが喜んで払ってくれたのではないでしょうか。
 ということで、この誠に目出度き健康断食を境目に、私は心を入れ替えることにしました。長年の温冷浴のおかげで、肌の若さには自信があったものの、顔の手入れなど考えもつかなかった私が、こっそりと特製洗顔フォームまで買って来て、男を磨く気になったのです。さてさて、その結果はハイビジョン・テレビででも、どうぞお確かめあれ。(2009・11・10)

「タラソの浜」